2010年10月26日火曜日

末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について(Vol170)

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

先の国会での質問を受けて(がん末期に適したか介護保険にしてほしいを参照ください)、厚生労働省より、本日付けで通知Vol.170が出されました。早いですね。ありがとうございます!

でも、がんについて協議をしたり、研修をしたりしている市町村は動いていけるけど、そうでない多くの市町村では、なんでこんなに、末期がんの通知が来るんだ?なんて思っているのではないでしょうか。審査会委員もちゃんと理解できている人がいるといいのですが・・。それに、そもそも、主治医意見書がしっかり書かれていないと無理ですよね。
今からでも遅くありません。なんとか、迅速な対応をお願いします!!

末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について

宮城県がさすがに動きが早いですね。その日のうちに出していくなんて、すばらしい。

要点は、ふたつ(一部省略しました。全文を上記で見てください)。

1.算定について
要支援者及び要介護1の者であっても、末期がんの急速な状態悪化等、疾病その他の原因により状態が急速に悪化し、短期間のうちに日常的に起きあがりや寝返り等が困難となることが確実に見込まれるものについては、市町村の判断により指定福祉用具貸与費及び指定介護予防福祉用具貸与費を算定することができます。
 なお、判断にあたっては、医師の医学的な所見(主治医意見書や医師の診断書等)に基づき判断され、かつ、サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与が特に必要である旨が判断されている場合、書面等により確認し、その要否を判断してください。

2.介護認定審査会が付する意見について
介護認定審査会は、審査判定の結果を市町村に通知する際に、サービスの有効な利用に関する留意事項について意見を付すことができます。
つきましては、末期がんの急速な状態悪化等、疾病その他の原因により状態が急速に悪化することが見込まれる方については、介護認定審査会において必要に応じ市町村への意見付記を活用していただきますよう、審査会委員への周知をお願いします。

2010年10月21日木曜日

がん末期に適した介護保険にしてほしい

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

今日10月21日に
参議院厚生労働委員会において梅村さとし議員が
再度「がん末期の介護保険」について質問されました。
(介護保険は25:15から)。

その中でも、4月30日に出していただいた
末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」への御礼がございました。
私も、いくつかのところで、当日に認定調査に来てもらえた、という感謝の言葉を頂いています。重ねて御礼申し上げます。

質問の中で、「申請が午後3時。調査がその日のうちに入り、19時にベッドを入れて、21時に亡くなられた。家族はとても感謝されていた」という事例の発表がありました。がん患者の為に、夜遅くにがんばってくださった事業所の皆様に、本当に厚く御礼を申し上げます。

でもね~、このような迅速な動きをしてくれる市町村だけではないわけで、どこに住んでいるかで、決まってしまうのも、なんだかな~と思います。
福祉用具については、現行の制度の中でも、短期のうちに悪化すると確定している場合は、要支援、要介護1でも、市町村の判断(ここが問題)で、福祉用具を借りることを認めていると宮島老健局長がお話しされていました。
要するに、全部、市町村によって差がでるわけです。

なんの認定調査もせずに、要介護2(私は要介護3)以上がほしいと言っているわけではないのです。
これから、高齢者の増加に伴い、認定調査を本当に間に合わせることができるのか、とても心配しています。がん患者の全員が申請時に必ず「がん、迅速必要」と言えればいいですが、現状ではそうではありません。窓口で「がん」と把握できなければ、通常どおり、要介護度が認定されるのは約30日かかるわけです。それでは遅すぎます。
寝たきりや認知症等のために作られた介護保険。そこに「がん」を加えて頂きました。
よりよい穏やかな最後の為に、介護保険はどうこたえてくれるのか、そこのところが問われているのだと思います。

私も、「終末期医療のあり方に関する懇談会」に出させて頂いています。もうすぐ会議があり、報告書が出てくることになっています。この会議は、医政局が仕切っています。

梅村議員が言われたように、次の医療と介護の同時改正のときに、医政局と老健局が一緒になって、「人生の集大成」のために介護保険はどうあるべきか、そこを議論して、つなげてほしいと願っています。
がん等の迅速な対応が必要な場合についての新しい認定調査の仕組みを、ぜひ、老健局や社会保障審議会で議論をして作ってほしいのです。国民としてお願いします!!

2010年10月17日日曜日

千葉県立佐原病院 緩和医療に本腰

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

昨日16日は、在宅がん緩和ケアボランティア養成研修の初日だった。
千葉県がんセンターから県立佐原病院の副看護部長になられた山岸さんから、県立佐原病院の緩和医療についてお話があったが、今日10月17日(日)読売新聞朝刊に記事が出ていた。

読売新聞2010年10月17日(日)朝刊によると
県立佐原病院が来年4月から、終末期のがん患者らの痛みを取り除く緩和医療を本格的に始める。病床を7床増やして対応する予定で、将来的には緩和病棟の設置を目指す。県内には緩和病棟が7病院に計151床あるが、香取市周辺にはなく、地域医療の充実につながるとして期待されている。
(中略)
終末期の治療方針は、庭野医師が患者の意向などを踏まえて決定する。同病院で必要な処置をした後、患者はいったん退院して自宅に戻り、近くの診療所などの医師や看護師の往診を受ける。病院と診療所が連携することにより、終末期の患者が住み慣れた自宅で、家族や友人と過ごす時間を増やすことができる。症状が悪化すれば、佐原病院に再入院できる。
庭野医師は「団塊世代の高齢者が急速に増えるため、終末期医療難民の出現が予想される。そうならないためにも、各地域で緩和医療の充実が求められている」と意義を語っている。

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嬉しいな~。
千葉県には、在宅につなげる緩和ケア病床が、千葉県がんセンター、船橋市立医療センター、そして県立佐原病院と広がっているのですね。他にも、緩和ケア病棟は持たないけど、在宅医療を進めている病院もあるし、地道に一歩一歩がんばってきた甲斐がありました。2008年に全国大会を幕張メッセで開催して良かった。大変だったけど、良かった。

来年は、日本死の臨床研究会の年次大会が千葉県幕張メッセであるし、ゆっくりと静養して、次の種まきを始めましょうかね。

2010年10月12日火曜日

独居のがん患者さんでも家で最期まで暮らせる

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

10月8日~10日に日本在宅ホスピス協会の全国大会が岐阜であった。
分科会が3つに分かれていて、私はコーディネーター、ボランティアなどの分科会Ⅲの座長をした。

3つの事例の2つが、独居で認知症のがん患者さん。
ひとつは、生活保護なので行政がしっかりとついていて、もうひとつは、離れて暮らす息子さんがいた。もう一つの事例は、認知症ではないが、やはり離れて暮らす息子さんがいるケースだった。

こんな大変な事例でも、痛みをとる緩和ケア技術をもった医師がいて、支える訪問看護や介護。そして隣近所や行きつけの店や民生委員やあれやこれや全部をつなげていくコーディネーターがいれば、独居で認知症のがん患者さんが最期まで家で暮らせるんだ。

離れて暮らす息子さんも、最初は「できない」と。
でも、一人で介護をしなくていいんだ、なんだか、楽しそうだな、なんて感じてもらえば、会いに来て、そして、患者さんから「ありがとう」の言葉が自然に出てくる。「ここにいるだけでいいんだ」そう思えること。

ナラティブアプローチで、昔好きだったことややりたいと思っていたこと、それを実現していく。

あ~あ~、介護保険ではできそうもないですよね・・・。優秀なケアマネジャーならやっているのかな~。

介護保険の話といえば、要介護3だったのに、たまたま、具合がいいときに認定調査が入って、要介護1になってしまった、という話だった。もうあとわずかの命なのに、なんで、そうなるのか。在宅サービスでなんとかもっていたのに、一気に悪化して、再度の認定は、要介護4。
このがん患者さんの介護保険の問題は、別立てで考えてほしいです。

緩和ケア病棟は、認知症など問題行動を起こす患者さんの受け入れはしないらしいですよ。そんな話も出ていました。ア~ア~、緩和ケアって、なんだったのかな。
住んでいる場所で、治療も格差、最期も格差なのか、と寂しくなってしまいましたが、まだまだ間に合いますよね。
自分らしい暮らしを最期まで、そう望むことが大切ですよね。

2010年10月2日土曜日

乳がん検診で石灰化と言われたら

藤田敦子のひとりごと(緩和ケア・がん対策)

この間、
乳がん検診はこのままで大丈夫なのか?
というブログを書いた。
あの後、石灰化って何だろうという思いが続いている。

今日、船橋市乳がん市民公開講座が(財)ちば県民保健予防財団とアストラゼネカ株の共催で開催されたので行ってきた。事前質問を受け付けていたので、「石灰化」について質問を書いて提出しておいた。

乳がん「自分は大丈夫」と、思っていませんか?
 ~16分の1という現実~

この講演の中で、
マンモグライフィーを毎年撮っていれば大丈夫か?について
1.写らない乳がんがある
2.写せない場所がある
3.小さい乳がんはわからない
という答えだった。
2年の検診間隔の間に発見される乳がんがあり
マンモグラフィーだけでなく、超音波や自己検診も必要ということだった。

乳房といっても、人それぞれ大きさなど違うわけで
また、ガイドラインも、年齢によっての推奨が違う。

治療も、本人によって何が一番大事なのか、それによって治療が決まるという。
どんな治療も長所、短所があり、全摘か温存か、じっくりと医師から情報をもらって、決めることが大事。再建も、すぐやるほうがいいのか、後から行うか、お金も100万くらいかかるらしいから、それも含めて決めていくしかない。

私が気にしていたとおり、専門施設に患者が集中し、外来混雑等による
診療機能が低下しているという。これでは、一人ひとりへのきめ細やかな治療はできない。

石灰化については、良性と悪性があり
良性は、乳腺炎などの後、乳腺症に伴うもの、繊維腺腫に伴うもの、
その他がある。
悪性は、乳がんに伴うもの、非常に細かく形がふぞろい、
石灰化=がん、ではない

インターネットで調べたら、ちば県民保健予防財団の橋本秀行先生が2004年に発表されたPDFがあった。

マンモグラフィの読影~新しいマンモグラフィガイドライン~ 橋本秀行医師

マンモグラフィのカテゴリー分類と診断フローチャートが出ている。
自分の石灰化が、悪性なのか良性なのか、少しはわかる。
診断を受ける前に読んでおき、医師に自分の石灰化はどれなのか
印をつけてもらうといいかもしれない。
石灰化は0期で転移はおそらくしていないが、温存だけでなく、全摘という選択もあるのだということがわかる。全摘の場合リンパは残せるから、全摘・再建でしょうか

橋本氏が言うには、マンモグラフィの石灰化のアプローチは下記だ
MMG上、明らかな良性石灰化を正しく良性と診断し必要のない精密検査を避ける
良悪性を識別する必要のある石灰化についてはその形態と分布で診断する

しっかりと診断ができる医師に、乳がん検診をしてもらうことが一番大事ですね。
いまだ、触診だけの検診があるのはどうしてなのか。石灰化は触診ではわからない。早期検診・早期発見が合言葉のはずなのに、なんのための検診クーポンなんだろう。何とかしなければいけませんね。