2010年8月23日月曜日

伴侶の死に「悲嘆ケア」を 垣添忠生氏

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

私は、厚生労働省の終末期医療のあり方に関する懇談会で「悲嘆ケア」の充実を訴えてきました

国立がんセンター名誉総長だった垣添先生はがんの奥様を在宅で看取られました。
死後、3カ月、精神的にも肉体的にも大変過酷な時期を経験されました。
「妻を看取る日」というご本を出されています。

「現在のわが国の超多忙な医療現場では患者が死亡して退院すると、そこで医療は終わる。しかし、残された遺族の悲しみ、苦しみはそこから始まる。日本では、年間約20万人の人ががんで配偶者を喪っている。その人たちの残された人生に対する医療的、社会的支援体制がもっと考えられて良いのではないか?いわゆる悲嘆の研究、あるいはグリーフ・ケアといわれる領域である」

米国やヨーロッパでは、グリーフケアに関する多数の研究があり
家族支援のためのプログラムが開発されています。
でも、日本ではボランティアで一部行われているだけです。

読売新聞8月23日朝刊地球を読むに、上記、垣添先生の論説が掲載されています。
悲嘆ケア、伴侶の死、在宅医療に関心ある方は、ぜひ、ご一読ください。

がん対策の中で、家族のケアが置き去りにされています。
一歩一歩前に進んでほしいです。

地球を読むには、最後にこんなコメントが書かれていました。

「国のがん対策推進基本計画は12年、当初の5年間の成果を評価し、後半の5年に向けて見直しが加えられる。その際、こうしたがんの在宅医療やグリーフ・ケアに関する視点も積極的に取り入れる必要があると強く思う」

2010年8月17日火曜日

介護保険 末期がんに対応できず NPO調査(神戸新聞)

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

ちょっとブログをお休みしていました。ぼちぼち始めます。

神戸新聞から
「介護保険、末期がんに対応できず、NPO調査」
という記事が出ていました。

私が梅村さんにご紹介した調査についてのご紹介です。
北海道新聞では、私へインタビューがあり、下記のコメントをしました。
「要介護3程度になるように、要介護認定調査基準を見直すなどをするべきだ」

神戸新聞が厚生労働省に問い合わせをしたところ
「末期がん患者のみ要介護度をあげるのは公平性に欠ける」とのこと。

別に高い要介護度をほしいと言っているわけではないのです。
実態にあった要介護度が出る仕組みを作ってほしいと言っているのです。
何度も変更するのは、税金の無駄だと思うのです。
死を前にした患者と家族に、余計な負担をかけないでください。
豊かな死、満足のある生、それを望んではいけないのですか!

全国の新聞社の皆様、メディアの方
それぞれの地域で記事を書いてほしいのです。
使える量を使えないほうが、不公平ではありませんか?
施設を20年近く使うわけではないのに・・・。

**************************
介護保険関係の今までの記事
8月6日  がん患者が介護保険を上手に使うには
7月8日  介護保険 末期がんにも ばらつく自治体
5月20日 がんの介護保険特定疾病に「末期」は必要なの?
5月17日 長妻大臣と語る「みんなの介護保険」行ってきました
5月2日  末期がん等の要介護認定について(厚労省)
4月20日 がん末期の介護保険認定を迅速に
**************************

2010年8月6日金曜日

がん患者が介護保険を上手に使うには

藤田敦子のひとり言

がんナビで、がん患者の介護保険について紹介がありました。

がんに負けないお金の話(3)がん患者が介護保険を上手に使うにはhttp://cancernavi.nikkeibp.co.jp/report/100803_01.html

がんで、介護保険を使う人は、是非読んでくださいね。
患者・家族、医療・福祉関係者、行政マンは読んで下さいね。
図も入れて、わかりやすい文になっています。

以前も書きましたが、緩和ケア病棟も、「末期がん患者」が使用の一文をはずしましたね。介護保険も、「がん」だけで十分です。「いのち」を大切にする国、豊かな死(最後まで大切に、生きていけること)がある国に、なんでならないんだろう。


在宅医にすぐに役に立ちそうな個所を、研究会の梁さんが抜粋して箇条書きしてくれましたので、小文字で紹介します。
1. がん患者の場合、訪問看護は医療保険で受けるのが一般的だが、その場合は自己負担は2~3割。介護保険なら自己負担が1割なので、介護保険で訪問看護を利用する人もいるという。しかし、訪問看護を利用する際に問題になるのは、がん患者が利用する場合に限らず、介護保険の認定には時間がかかることだ

2. 藤田氏ら患者団体の訴えを受けて、参議院議員の梅村聡氏は、4月20日の参議員厚生労働委員会で、末期がん患者の介護認定の迅速化とがん患者の実情に合った要介護認定が行われるように制度の改正を求めた。これを受けて厚労省が、各都道府県と市区町村の介護保険担当課に対し、4月30日、「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」という事務連絡(表1参照)を出し、介護認定の迅速化を促すことになった。厚生労働省老人保険局老人保健課は、4月30日、各都道府県と市町村の介護保険担当課に事務連絡を出し、がん患者の介護認定の迅速化を促した。

(ア)事務連絡にもあるように、居宅支援事業者に依頼してケアマネジャーに暫定ケアプランを作成してもらえば、要介護認定が出る前でも、特殊寝台(背中や足の部分が可動するベッド)のレンタルや身体介護などのサービスが受けられる。本人が入院中であれば、病院までケアマネジャーに来てもらい、ケアプランを立ててもらえばよいわけだ。

3. ただ、万が一、認定が下りる前に亡くなっても暫定ケアプランで利用したサービスの利用料に介護保険を適用してもらう(全額自己負担にならないようにする)ためにはポイントがある。
(ア)「暫定ケアプランで介護サービスを利用する際には、なるべく早く、市区町村か地域包括センターに申請を出し、要介護認定を受けるために必要な訪問調査を受けておくことが重要です」と、NPO法人姫路市介護サービス第三者評価機構理事長でケアマネジャーの田中洋三氏は強調する。実際には、翌日か翌々日には訪問調査を行うようになっているという。


4. 「要支援1、要支援2は、今よりも悪くならないように予防サービスしか受けられない状態です。いつ急変するか分からないがん末期の人に対して、介護予防のためのケアプランを立てることはできない。どう考えてもおかしい」と田中氏は憤る。
(ア)「要支援」にならないようにするコツ:介護保険の利用を申請する際、せめて「要支援」「要介護1」にならないようにするにはどうしたらよいのだろうか。
● 「『主治医意見書』の診断名を書く下に、『症状としての安定性』を書く欄があります。ここを『安定』ではなく『不安定』に印を付けてもらえば、コンピューター判定でも『要介護2』以上になる可能性は高く、少なくとも『要支援』にはならないはずです。
● 一部の市区町村の介護保険認定調査会では、主治医意見書の「特記すべき事項」に「末期がん」という記載があれば、「要介護2以上」にすると決めているところもある。しかし、介護保険の運用は自治体に任されているので、自治体によって、認定にかかる期間や要介護度などがん患者に対する対応に温度差があるのも確かだ。

(イ)「どこに住んでいても、がんの患者さんが介護保険を利用して自宅で最後の大切な時間を過ごせるようにするためには、デイホスピスや十分な訪問介護サービスも必要であり、『要介護3』程度になるように、国がコンピューター判定の要介護認定基準などを見直す必要があるのではないでしょうか、と藤田敦子氏は話す。

2010年8月3日火曜日

地域がんサロン設置モデル事業が採択されました!

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

7月4日の在宅緩和ケア公開講座の助成金報告書を書いていましたら、嬉しい便りが届きました。

船橋がんサロンで行っていくことを、ちゃんと記録に残して、千葉県中に、地域がんサロンが広まってほしいと思い、「医療・福祉ネットワーク千葉」の「患者と家族のがん研究基金」に応募しておりましたが、見事、採択されました。嬉しいです。竜理事長ほか理事の皆様、ありがとうございます!!

今日、HPで確認したら、今までと違って、患者会ではピュアだけでした・・・。
昨年は激戦地でしたが、2年続いては応募されなかったのでしょう。

昨日の船橋がんサロン終了後のミーティングで世話人に報告し、記録集の案を提示しました。
在宅ホスピスケアガイド―千葉市版を世に出して、来年で10年になりますね。
きっといいものに、みんなに役に立つものを作りたいと思っています。

8月2日に行った、船橋がんサロンですが、ケアマネジャーからご紹介された患者さんも来られました。7月4日の公開講座で配布したちらしを持って来られました。
ちょうど、ほかの参加者の中から「痛みに苦しむことはないですか?緩和ケアはどこでも受けられますか?」という質問が出て、在宅緩和ケアを体験されたご家族からの報告もありました。
これから始められる治療の効果が出て、次回も参加してほしいと心から願いました。
「がん」は、何故こうも普通の幸せを奪うのでしょうか。悔しいです。何も悪いことなんかしていないのに。

9月18日、19日にリレーフォライフ千葉が開催されます。
チーム「NPOピュアここにおいでよ」では、一緒に参加する仲間を募集しています。
テントの設営や、1時間くらいの助っ人ウォーク、差し入れなどのご協力も大募集しています。
夕方に行うルミナリエへの参加もいいですよ(思いを書いて点灯します)。

みんなで一緒に行って、がんなんかに負けるか、人生を奪われないぞと、誓いましょうね。