2012年12月30日日曜日

生むな「終末期がん難民」日ホス研千葉大会2008

シルバー新報に平成20年(2008年)7月18日「生むな『終末期がん難民』」日本ホスピス・在宅ケア研が提言、拠点病院で緩和ケアを が掲載された。2008年に第16回全国大会(藤田敦子大会長)を開催した時に研究会として提言した内容を記す。

生むな「終末期がん難民」 拠点病院で緩和ケアを 日本ホスピス・在宅ケア研が提言

NPO法人日本ホスピス・在宅ケア研究会は12日、千葉市で第16回全国大会を開催し、がん治療の拠点病院に緩和ケア病棟を設置し、時間外や休日の訪問看護費を割増するなどして終末期の患者が誰でも適切な緩和ケアを受けられるようにする「終末期がん難民を生まないための提言」を発表した。

がん難民とは、2005年に初めて開催された「がん患者大集会」などで使われ始めた言葉で、納得できない治療で病院を転々とする患者を表す。がん拠点病院や大学病院ではDPC(診断群分類包括評価)の導入で入院期間の短縮化が強まり、再発後の患者の入院に消極的なところが増えていることから、同研究会は適切な緩和ケアなどが受けられない「終末期がん難民」が増えるのではないと危機感を表明。

難民を生まないための提言として、①がん拠点病院に緩和ケア病棟の設置を必須とする、②現状で、末期がん患者を受け入れている中小病院の医師に、症状緩和教育プログラムを大々的に実施する、③在宅療養支援診療所で医師の負担を少なくする仕組みを推進、④ファーストコールを訪問看護師が受けられるように、時間外や休日の訪問看護費の割増し加算の改善、⑤死亡診断を看護師にゆだねるようにする、⑥最後の1~2週間に24時間の泊まり込み看護・介護制度の創設、⑦有床診療所による緩和ケア病棟を増やす診療報酬の改善―など。

全国大会は、医療従事者だけでなく介護職や市民まで1600人の参加者が集まり、立ち見が出るほどの熱気。初日に行われた鼎談「在宅エンド・オブ・ライフケアの課題」で、広井良典千葉大学法経学部教授は、日本の社会保障給付費は年金の割合が高いが、今後は医療・福祉重点型になっていくべきとし、財源として、消費税を欧米並みの15%程度にまで引き上げるのが望ましいとの方向性を示した。

また、「在宅高齢者のターミナルケア」をテーマに全国の訪問看護ステーションと看取りを経験した家族を調査した近藤克則日本福祉大学教授は、現在、在宅緩和ケアの質を標準化していくためのアセスメントツールを開発中であることを明らかにした。

以上、2008年7月18日シルバー新聞掲載記事

他に千葉大会では、千葉日報に「終末期ケアへの理解を深めて」が掲載された。

2012年12月18日火曜日

がんになっても、住み慣れた地域で安心して過ごせるように平成25年2月17日上野千鶴子氏

NPO法人ピュアの藤田敦子です。講演会のお知らせです。申込は1月からスタートです。

平成24年度 千葉県在宅がん緩和ケアフォーラム
がんになっても、住み慣れた地域で安心して過ごせるように
日時 平成25年2月17日(日)13:00~16:30 (開場12:00)
ロビーにて相談コーナーや介護用品の展示あり
場所 千葉市文化センター 3階アートホール
千葉市中央区中央2-5-1 TEL043-224-8211
JR千葉駅、京成千葉中央駅より徒歩10分
定員   450人(申込先着順)  
対象   一般県民及び在宅緩和ケアに携わる施設関係者等
参加費  無 料 〆切り 2月12日

チラシと申込書(PDF)

千葉県では、がんになっても住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、「在宅緩和ケア」の推進を掲げ、千葉県在宅緩和ケア支援センターを千葉県がんセンターに設置しています。
このフォーラムでは、「在宅ひとり死は可能か?」と問う上野千鶴子氏に基調講演を頂きます。
続くパネルディスカッションでは、千葉県がんセンター、在宅医、薬剤師、訪問看護師、ケアマネージャーから実践を、患者家族より在宅看取りをお話し頂きます。発表後の討論の中で、千葉県の高齢社会も踏まえて、在宅緩和ケアの現状や問題点、今後の方向性などを話し合います。

基調講演  「在宅ひとり死は可能か?」
講師  上野千鶴子 社会学者・東京大学名誉教授 

パネルディスカッション
「がんになっても、住み慣れた地域で安心して過ごせるように」

西  育子 千葉県がんセンター がん看護専門看護師
永谷 計  板倉訪問クリニック 院長
高橋 眞生 カネマタ薬局 代表
福田 裕子 まちのナースステーション八千代 所長
中山 明美 居宅介護支援事業所 ゆいけあ 代表
患者家族  在宅緩和ケア体験者
コメンテーター :土橋正彦 千葉県医師会副会長
コーディネーター:藤田敦子 NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表

問い合わせ 千葉県在宅緩和ケア支援センター(千葉県がんセンター内)
電話 043-264-5465  HP http://www.chibazaitaku.jp

申し込み先 在宅がん緩和ケアフォーラム事務局(NPO法人ピュア内) 
FAX 047-495-9555 Eメール kanwaforum@gmail.com
電話 070-5554-3734(火・金のみ) HP http://www.npo-pure.npo-jp.net/

申し込み方法 申込先着順450人
*郵便番号、住所、申込代表者名、参加人数、職業(所属)、FAX番号を記入の上、FAX、Eメールでお申し込みください。定員になり次第、締め切ります。
*事前申し込みの受付は、2月12日必着。以後は当日受付になります。会場へお越しください)。
*申込代表者へ参加証をお送りいたします。

申込内容
申込代表者氏名(フリガナ)、参加人数 名
住所(所属先) 〒
職業(所属)医師、看護師、MSW、薬剤師、他医療者、保健師
行政、ケアマネージャー、ヘルパー、社会福祉協議会他福祉、一般
FAX番号(またはTEL)

*ご記入いただいた個人情報は、当事業以外の目的で使用することはございません。

主 催 千葉県、千葉県がんセンター、NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワーク ピュア
後 援 
千葉市、船橋市、柏市、千葉県市長会、千葉県町村会、千葉県医師会、千葉県歯科医師会、千葉県薬剤師会、千葉県看護協会、千葉県がん診療連携協議会、千葉県社会福祉協議会、千葉県訪問看護ステーション連絡協議会、千葉県地域包括・在宅介護支援センター協会、千葉県社会福祉士会、千葉県医療社会事業協会、千葉県介護支援専門員協議会、千葉県介護福祉士会、千葉県ホームヘルパー協議会、千葉県理学療法士会、千葉県民生委員児童委員協議会、千葉ヘルス財団、ちば県民保健予防財団、NHK千葉放送局、 、朝日新聞千葉総局、毎日新聞千葉支局、読売新聞社千葉支局、産経新聞社千葉総局、日本経済新聞千葉支局、(株)千葉日報社、東京新聞千葉支局、(株)時事通信社千葉支局、(一社)共同通信社千葉支局、日刊工業新聞社千葉支局、NPO法人医療・福祉ネットワーク千葉、(公社)船橋地域福祉・介護・医療推進機構、千葉大学福祉環境交流センター


2012年11月30日金曜日

【震災】岩手県被災地、1年半経過し復興半ば

NPO法人ピュアの藤田敦子です。岩手県盛岡市で講演した翌日平成24年11月26日に、盛岡駅から宮古市へ行き、そこから山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、(気仙沼市)、一関駅と、三陸沖被災地へ行ってきました。盛岡からバスで宮古まで2時間もかかり、そこから一関駅まで9時間かかりました。山間地域が多く、新幹線からの交通の便がとても悪く、復興の妨げになっているように感じました。

宮古市で見たチリ地震津波の後に建てられた記念碑「 地震がなくとも潮汐が異常に退いたら津波が来るから早く高い所に避難せよ」 隣の碑にも、「大地震の後には津波が来る。大地震があったら高い所に集れ」とある。 被災地でで見たものは、がれきは、処理をする場所へ片付けられていましたが、ところどころに廃墟となっている建物が残り、土台が家々がかってあったことをうかがわせていました。少しずつ復興へ向けた足がかりが進んでいるように見える反面、広い土地がなく、小さな集落で仮設住宅が並んでいました。

ある所では後背地の市街地は残存し、その中に仮設住宅が並んでいて、取り残されていく人たち、復興の波に乗れない人たちが出る予感を強く感じました。岩手県は県立病院が多く、沿岸地域に建てられていたため、山田病院、大槌病院、高田病院は全壊になったところもありました。

また壊滅的な被害を受けた市町村には、いまだに建築物がなく、都市計画という大きな難題が突きつけられているように思えました。陸前高田市は市役所も含め市街地すべてがなくなっていました。すぐ目の前に海があり、この場所に再び建てることは考えられず、さりとて、同じような広さの土地があるとは思えませんでした。

がれきの山は仕分けが行われていますが、すべてを岩手県内で処理することができず、他県に住む人たちの理解がなければ、どんどん復興が遅れていくばかりです。大きながれきの山がいくつもありました。岩手県の沿岸地域には家を建てたりできる土地が少ないので、遠くに住む私たちが応援できることは負担を減らすことだと思います。

また、これからお歳暮や年末年始の買い物の時期になります。ボランティアとして入り手足となって動くことができない人にも、岩手県を応援する手立てはあると思います。各地で、プレハブなど仮施設で、復興食堂や物産センターが作られ、牡蠣や帆立、うに、いくらなど魚介類が店先に並び、販売されていました。お昼を復興食堂の三陸定食にしましたが、これだけ豪華で1500円でした。

釜石で、津波てんでんこの話を聞きました。この地域は明治29年、昭和8年の三陸地震津波、昭和35年のチリ地震津波と100年の間に3回も津波があったところです。それで、大地震が来たら、家族もちゃんと逃げていると思い、高台に逃げるようにという言い伝えがあります。
釜石の奇跡と呼ばれた中学生の話に泣けました。以前は高台にあったのに、中学校、小学校、幼稚園が平地に建てられ、そこから高台に向けて、中学生がみんなを誘導し逃げ切ったと言います。先生方もがんばりました。なのに、大人は、平地に作られた地区防災センター(公民館機能あり)で防災訓練をしたばかりに、251人がそこに集まり、助かったのはわずか30人だったと言います。センターの中に入り、何故こんな場所に建てたの?何故ここに避難したの?と本当に悲しかったです。「逃げる文化」をしっかりと根付かせる必要があります。

一関へ行く途中、宮城県気仙沼に入りました。巨大は船がまた陸の上にあり、建物も片付けられていませんでした。ここも大きな被害にあった市として有名ですね。でも気仙沼は、駅の周辺の商店街はそのまま残っており、漁師の住む沿岸との落差がとても大きかったです。

大きな地震だったとはいえ通常の活気がある内陸地と交通の便が悪い沿岸地域。もともと、医師不足もあり、これから高齢者をどのように支えていくのか、課題も大きいと感じました。東京から新幹線で3時間かかり、そこから2時間かかって沿岸に着くと言う悪循環もあり、ともすると、宮城県の陰に隠れてしまう恐れがあります。岩手を忘れないで、ずっと応援し続けたいと思っています。再び活気のあるまちへ願いを込めて!

2012年11月17日土曜日

社会保障改革国民会議 民自公 検討項目

NPO法人ピュアの藤田敦子です。
11月16日に衆院解散が行われ、日本の未来は次の選挙にかかっています。今、日本は国の内外に多くの問題があります。国内だけで政党を選ぶと、他国と摩擦を呼び、経済に影響が出て、ますます、困窮するのは目に見えていますね。

そんな中、社会保障・税一体改革で決められ、これから話し合いが始まる「社会保障改革国民会議」について、民自公の検討項目全文が新聞に掲載されていました。選挙の後に、後ろに戻ったりすることは、合意形成のない国と言われますね。そんなことのないように、ブログに入れておきます。特に、「医療の在り方について」が、現行の方向性ととともに、「医療基本法」や「患者の権利」、「尊厳死法制化」とのからみも想像させますので、今後の行方に注目しています。次の内閣は、決めていくことを、国民に合意してもらえるよう、十分な説明を行う体制を取れなければ、多くの混乱を招くでしょう。その決意があるところはどこなのか、1か月間私たちも考えないといけませんね。

社会保障改革国民会議 民自公の検討項目全文

▽医療の改革
①健康の維持増進、疾病の予防及ぶ早期発見等を積極的に促進するとともに、医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等を図ることにより、国民負担の増大を抑制しつつ、必要な医療を確保

②医療保険制度について、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を実施

③医療の在り方について、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備

④今後の高齢者医療制度にかかる改革

▽介護の改革
介護保険の保険給付の対象となる介護サービスの範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保

▽年金の改革
①今後の公的年金制度にかかる改革
②現行年金制度の改善(低年金・無年金者対策、厚生年金の適用拡大、被用者年金一元化等)

▽少子化対策
社会保障制度の基盤を維持するための少子化対策を総合的かつ着実に実施


(以上、読売新聞2012年11月17日朝刊より記載)

デンマークやオランダへ行ったせいでしょうか。合意形成という言葉に深く考えるようになりました。今回、たくさんの政党が出ています。また、選挙に勝つことを第一にして政策の合意が取れていませんから、今回の政府と同じように、大事な局面で反対や離党をする人も出てくるでしょう。これでは、決められない政治の繰り返しで、私たち国民のためになりません。「合意形成の下に決めていく政治」に舵を取ってほしいと、切に願っています。

2012年11月7日水曜日

オランダ視察 安楽死・尊厳死を考える

NPO法人ピュアの藤田敦子です。
10月21日~28日まで、オランダケア付き高齢者住宅の視察へ行ってきました。オランダは今日本で始まる地域包括ケアのモデルと言われています。また、病院・在宅・ケア付き住宅での看取りが、約3割ずつという世界の中でも病院死が少ない国です。

オランダというと、安楽死を初めて認めた国として有名ですが、実際にケア付き住宅へ行き、高齢者にお会いすると、とても人のいのちを大事にする国という印象でした。

日本の中では、今、議員立法で、尊厳死の法制化を求める動きがありますが、オランダの医療の仕組みや医師の姿勢をみると、日本はいのちを軽んじているように思えてきます。

今回、オランダ安楽死協会 Dr John代表からお聞きした中で、一番印象に残ったのは、ゆりかごから墓場まで診るホームドクターの存在です。

患者と医師との長い間の信頼関係があって、医師は患者の性格や家族との関係などすべてを知る中で、安楽死を望むことは、本当にそれは患者の意思なのか、経済的な問題がからんでいないか、家族からの圧力がないか、そんなことを、患者と何度も何度も対話をして、家族からも聞いて、その上で、判断をしていきます。本人の本当の意思でなければ、安楽死になりません。安楽死を依頼された医師と同じく、独立した別の医師が、同じように、確認を行っていきます。

この時に、医師は、本人の自由意思による、よく考えた上での要請であると確認をし、本人の病の状況が耐え難く絶望的だと確信し、伝えます(本当に『絶望的です』と伝えるようです。日本でこれができるでしょうか?)。本人が自分のおかれた状況や他に治療する方法がないと納得し、その上での、安楽死の要望でなくてはなりません。もちろん、家族の質問にも答えていきます。

そして、別の独立した医師が、上記すべてを改めて行います。

法律的には、安楽死(生命の終了行為)は処罰されるものです。医師による自殺ほう助も同じですが、「入念な激しい条件のすべてを満たした場合」のみ、安楽死は合法となり、起訴はされません。但し、上記のとても細かい厳しい条件に違反したとみなされた場合は起訴されます。

安楽死を依頼された医師と、別の独立した医師二人が、それぞれ報告書を提出する以外に、各自治体の検死官が行き、死体の外部検査を行います。その後、必要な書類を「地域検証委員会」へ送ります。委員会は、送られてきた書類をもとに、「定めに従った厳しい条件と、実行した医師の行為が一致しているを判断します。委員会のトップは法律家、その次が医師、生命倫理の人で構成されます。

これは、ケア付き住宅で聞いたことですが、認知症の人の家族から、胃ろうのことなど希望が出ることがありますが、家族にどうして胃ろうを望むのか、現在の患者の状態や胃ろうをした後のマイナスやプラスなど、すべて話して、何度も対話を繰り返して、患者本人の意思を尊重するように話をしていきます。家族へのフォローがとてもしっかりと行われています。日本のようにいつ書いたかわからない事前指示書が独り歩きすることはないです。

アメリカのカレン事件を例にして聞いてみたのですが、オランダでは、本人の明確な意思がなければ、夫や親の意見で決めたりはしないと言われていました。

アンネの家へ行ってきました。今回通訳をしてくださった後藤猛さんが言われていましたが、オランダの社会教育は、「アンネの日記」から始まっています。戦争とは?生きるとは?平和とは?そして、いのちとは?を、子供の時から考えて行きます。

また、自己決定は、終末期だけに、突然起こるわけではありません。予防(健康教育)から、じっくりとインフォームドコンセントを行います。オランダでは(北欧やヨーロッパではホームドクター制が多い)、患者に一人ホームドクターがつき、そのホームドクターと患者が対話を重ねていきます(ホームドクターは変えることもできます)。

私は「緩和ケアと安楽死との関係や、緩和ケアの教育について質問をしました。緩和ケアのことはよく聞かれるようですね。大学の科目に、安楽死や緩和ケアを学ぶコースがありますし、医師は医師になった後も、たえず勉強を続けると言っていました。緩和ケアの世界に「セデーション」という混乱を起こしたり、痛みが激しい患者の意識を少し落とす行為があるのですが、安楽死は意識がはっきりしている時に行うと言っていました。(私はセデーションもあんまり好きではないのですが・・・)。緩和ケアは、この安楽死法案ができてから、急激に広まったようです。お話を聞いていた時に、モルヒネに関する誤解があるように感じたのですが、何回も質問ができなかったので、確認ができていません。

ケア付き住宅へ行って見てきたものは、残存能力を活かし、楽しく明るく、孤独や孤立がないように、支えあう姿でした。オランダでは、ワークシェアで働く人が多いので、ケアの仕方など勉強してボランティアで動く人がとても多いです。あるユニットでは、専門家が一人だけで、あとはすべてボランティアでした。ただ、ここのボランティアは日本のボランティアとは違い、もともと資格を持っている専門家や研修を受けた人たちで、国がボランティアを認定すると言っていましたので、日本のヘルパー2級のようなものかな、と勝手に思いました。

認知症に関する専門看護師がいたり、老年学を学んだ医師がいたり、ケア付き住宅の場合は、チームで話し合っているようです。あるケア付き住宅に「安楽死をした人はいますか?」と聞いたところ、3年間で一人だと言われ、ケアがしっかりとある所では、安楽死を選ぶ人も少ないようですね。ベッドから毎日起こして、昼間はデイなどでくつろいでいますから、夜はぐっすりと眠れるようですね。

後藤氏によると、2010年に亡くなった人は13万6千人で、安楽死を行った数は3136件、うち、がん患者が2548人で、だいたい約9割が、末期のがん患者だということです。

オランダは、ホームドクターがすべての責任を持ちますので、安易に救急車で病院へ行くこともありませんから、日本のように救急車のたらいまわしやタクシー代わりに使うということもありませんね。

ホームドクター制度には、ゲートキーパーの役割もあり、日本のようにフリーアクセスできた国では適さないかもしれませんが、「患者の為に自分たちは行っている」と言う代表の言葉に、少しウルウルしてしまいました。自己決定を促す取り組みも、情報提供の在り方も、本当に、うらやましく思いました。 上下関係でない、フラットな関係を保っています。これには、国民の成熟度があってのことなのでしょう。

日本尊厳死協会が「尊厳死」という言葉を作りましたが、アメリカオレゴン州では、尊厳死=安楽死ですし、人の死を法律をもとに、殺人罪に問われないと判断するのであれば同位置にあると言えます。リビングウィルも、ただ機械的に聴収しても、複雑な臨床現場の状況に家族や医療者が対応できないという研究もあるようです。

必要なことは、「死」ぬことだけでなく、どんなことを大切にして、どんなふうに生きてきたのか、そして、もし自分が意思表示が出来なくなった時に、どんな治療を望んでいるのか、そんなことを確認しあっていく経過が大事なのであり、何度でも、患者がわかる状況の変化があった時に、確認を行っていくことなのだと思います。「尊厳」とは、生きる時こそ、必要なことなのです。

今、日本のがん対策は、患者との「対話」の道が、始まったばかり。緩和ケアをもっと進めていき、患者本位の、コミュニケーションを大事にした、チームケアを、家族も支えながら、確立してほしいと望んでいます。そして、できることなら、緩和ケアの持つ上記の4つの条件を、他の疾患にも応用していき、温かいぬくもり中で最期まで生ききることができるようにしてほしいです。

*オランダ報告は、私が今回の視察で、見て聞いてきたことをもとに書きました。一部、後藤さんの著書にて確認を行っています。他にもすてきな現場をいっぱい見てきましたので、おいおい、ブログにて公開していきますね。

2012年10月20日土曜日

オランダ認知症村ニュースから 生きる現場を見てきます

NPO法人ピュアの藤田敦子です。
オランダへ高齢者施設視察旅行へ行くので、いろいろとネットなどで情報を集めています。
下記は、ネット友達からの情報です。記事を張り込んでおきますね。

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地域全体が介護ホーム オランダの幸せな認知症村

アムステルダム郊外にある介護施設「ホーゲヴェイ」には、適切な判断や身の安全を自分で守ることができなくなった認知症の老人たちが暮らしている。この施設がいわゆる「老人ホーム」と大きく異なるのは、スーパーやカフェ、美容室などが用意された“小さな村”のような作りとなっていること。塀で囲まれてはいるものの、内側では患者が自由に出歩くことができる。

オランダの一都市の縮図ともいえる村を「再現」した介護施設は、欧州全土を探してもここだけ。2009年のオープン以来、欧州のみならず、世界中の介護従事者たちの注目を集めている。スイスには近く、同施設を手本にした介護施設も建設される予定だ。

現在の入居者は152人。建物は「田園棟」や「都会棟」「クリスチャン棟」「高級棟」など、それぞれの好みやライフスタイルに合わせて選ぶことができる。入居者たちは、互いの部屋を行き来することもできるので、一日中一人でベッドの上で過ごす、なんてこともない。

迷子になっても介護者が家まで連れて帰ってくれるし、スーパーのレジは財布を忘れても通してもらえる。アップルピューレの瓶を大量に持ち帰ってしまったとしても、とがめられることはない。介護スタッフが後でちゃんと返しに行ってくれるからだ。

85歳のイヨ・ベルーフは数年前から「都会棟」に暮らしている。同じ棟で暮らすのは、アムステルダムやその近隣の町で銀行員や企業家として働いていた人々だ。彼らは自分で洗濯物をたたみ、夕食のポテトの皮を自分で剥(む)く。どの棟でも毎日それぞれが料理を作るので、夕方になると、おいしそうな匂いが漂ってくる。

「ここには休暇で来ているのよ」と、ベルーフ。とても幸せそうだ。

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ここには行きませんが、同じように、認知症の人などが、いきいきと暮らす場を、見てきます。「ホスピス」にも行きます。また、オランダと言えば、「安楽死法制化」の国ですから、オランダ安楽死協会へも行きます。また、最近、話題の訪問看護事業者ヨス氏にもお会いできるようです。

社会の仕組みは、その国の文化が色濃く出ています。断片的に伝えられていることを、聞き取りをしながら、しっかりとみてきたいと思います。

日本にだって先駆的な志をもった人たちによって、すてきな「ケア」が出来ています。でも、衝撃的なニュースにもならないことは、広まっていかないのかもしれませんね。
また、どんなすてきなことも、望まなければ、大きな声になっていきませんよね。

つたない文でも、書いていくことって大事。頑張ります\(^o^)/

2012年10月14日日曜日

患者の「どう生きるか」を支えるエンド・オブ・ライフケア

NPOピュアの藤田敦子です。

今日は、千葉大学大学院看護学研究科エンド・オブ・ライフケア看護学の長江弘子教授をお招きして、第2回エンド・オブ・ライフケア講座を開催しました。参加者それぞれが死別体験を持っていたり、現在、ケア従事者として働いているピュアの会員で、長江さんからの自己紹介と参加者それぞれの体験談を聞き、「自分らしい生き方」を考えて行きました。3時間があっという間に過ぎていき、死生観を高めあうことができました。

エンド・オブ・ライフケアとは、「診断名、健康状態、年齢にかかわらず、差し迫ったあるいはいつかは来る死について考える人が、生が終わる時点まで最善の生を生きることができるように支援すること」です。

この考えは1999年、香港で開催されたアジア太平洋ホスピス看護ケアネットワークの学術総会で、米国の医師フォーリー氏によって提唱されたことが始まりです。

フォーリー氏は、「人生の終焉は誰にでも訪れ、終焉の原因は病気のことが多く、しかも原因となる最近の病気の多くは長い経過をとる。そんな最期の日々の痛みや苦しみを十分に治療し、本人が望みどおりに過ごせるように支援すること」と言われたと長江さんは述べられました。

たとえば、70代、呼吸不全患者の終末期という考えを、70代、妻と娘2人がいる一家の主、会社役員、人生のしめくくりの段階を生きる男性とみて、支えていくことです。

そのためには、病気としてではなく自分の生の一部としてエンド・オブ・ライフについて考え、周囲の人、大切な人と語り合う文化を創り出すことが重要です。

今回のエンド・オブ・ライフケア講座は、NPOピュアとエンド・オブ・ライフケア看護学の共催で開催されています。

第1回 7月8日 あなたは、どこで、誰と、最後を過ごしたいと思いますか?

第2回 10月14日 自分らしい生き方、考えてみませんか

第3回 11月11日 アドバンス・ディレクティブ(事前指示)を考える
*オランダ高齢者施設視察報告(藤田敦子)あり

第4回 1月13日  題未定 ワークショップ含む

第5回 2月10日  題未定 ワークショップ含む

他に、11月24日(土)に千葉大学けやき会館で市民協働シンポジウム「あなたは最期までどのように生きたいですか?」を開催します。

今年度は、ピュア会員限定で同伴者は可能という形で開催しています。
自分らしく生きるとは、どのように生きたいかを考えることから始まっていきます。何をしている時が自分らしくいられるのか、そんなことをじっくり話し合っていくことで、患者自身の生きるを支える看護となっていくのでしょう。

2012年10月9日火曜日

がん政策サミット2012秋に参加して

NPO法人ピュアの藤田敦子です。

10月6日(土)~8日(祝)と、奈良県かしはら万葉ホームにおいて「がん政策サミット2012秋」が開催され、参加をしてきました。このがん政策サミットは、特定非営利活動法人日本医療政策機構市民医療協議会主催で年1~2回開催され、今までは、東京で開催されてきた。今回は奈良県共催という初めての開催でしたが、約110名の患者関係者、都道府県議会議員、行政担当者、医療提供者、民間、メディアの参加がありました。
今回の奈良での開催は、患者委員の馬詰さん、吉岡さんの強力な後押しがあり、たくさんの苦難を乗り越えての地方開催でした。このブログを借りて、お二人に、そして支えてくださった行政や議員の皆様、寄付を出してくださった皆様に感謝申し上げます。

今回のテーマは、「患者と地域に成果をもたらす県計画に仕上げよう」で、国会がん患者と家族の会から、尾辻秀久会長、梅村聡事務局長の挨拶から始まり、みんなで、タウンミーティング「地域に最適ながん診療連携拠点病院」へ意見を述べ合いました。議論された内容は、後日、公開されると思います。

私の拠点病院のあり方に関する考えとしては、標準治療が間違いなく提供され、地域に向けて緩和ケアの提供体制が整い、何より、施策のベースになる「がん登録」体制がしっかりとあることだと思います。「集約化」することと「均てん化」することを、どちらかにするのでなく、機能別に話し合っていくべきだと思います。提供する側の「連携」の考え方がばらばらでは、国民に理解できるわけがありませんから。がんになって治療をするとき、どんなふうに治療を受けていきたいのか、どんなふうに生きていきたいのか、大きなグランドデザインを描きながら、話し合われていくといいですね。

今回のがん政策サミットでは、門田協議会会長、岡田厚労省がん対策推進官、今井国立保健医療科学院統括研究官、宮田東大准教授、堀田国立がん研究センター理事長のお話を伺い、みんなで、第2次都道府県がん対策推進基本計画をよりよいするためにグループワークも行いました。4つのステークホルダーがそれぞれのグループに入り、話し合いをしていきましたが、とってもためになり、今後の千葉県での会議の中で、指標についての意見を提出しようと思っています。

最後の8日は、午前中は、アメリカのアドボケート ポーラ・キムさんによる講義をお聞きし、一人ひとり決意表明をして別れました。午後は有志による観光旅行に私は参加をしましたが、日ごろの疲れも取れ、他県の患者関係者とも意見交換をすることができ、東京で開催とは別の意味で有意義なサミットでした。

さて、梅村議員に政務官就任の御祝を述べ、がん末期の介護保険問題を進展させるために永田町へ行く約束も致しました。これは私にしか解決できない問題だからしっかりと考えていきたいと思います。千葉県の介護保険担当者のご挨拶はすでにがん対策担当と一緒に済ませています。現状を把握するため、市区町村担当者の声を聞くことからはじめますね。がんばります!

2012年9月28日金曜日

平成25年度厚労省医政局概算要求

NPO法人ピュアの藤田敦子です。

平成25年度厚労省医政局の概算要求が、HPに出ていました。

平成25年度 概算要求額 1,911億7百万円
うち、要求額 1,455億7百万円
特別重点要求 226億9千6百万円
東日本大震災復旧・復興対策経費(復興特別会計)
厚生労働省計上分 229億4百万円
平成24年度 当初予算額 1,625億8千7百万円
差引増減額 285億1千9百万円
対前年度比 117.5%
(注)上記計数には、厚生労働科学研究費補助金等は含まない。


在宅医療の推進として掲げられているのは下記です。
あくまで概算要求なので、決定ではありません。選挙もあります(社会保障と税一体改革で話し合ったことは三党でしっかりと対応してほしいです。国民のいのちと暮らしのことですから)。
下記から、今後の方向性が読み取れますね。

Ⅱ.在宅医療の推進
施設中心の医療・介護から、可能な限り、住み慣れた生活の場において必要な医療・介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活を実現できる社会を目指す。

1 在宅チーム医療を担う人材の育成 100百万円
・ 平成24 年7月にとりまとめられた厚生労働省版「提言型政策仕分け」の提言内容などを踏まえ、今後、増加が見込まれる在宅療養者への質の高い在宅医療を提供できるよう、地域で多職種がチームとして協働し、在宅療養生活を支えるための人材を育成する。
※ 厚生労働省版「提言型政策仕分け」(平成24 年6月~7月実施)の提言関連

2 在宅医療連携体制の推進 3,013百万円
【 うち、特別重点要求 1,965百万円 】
【 うち、復旧・復興対策経費(厚生労働省計上) 1,048百万円 】

① 病状急変時の対応などを強化した在宅医療連携体制の推進(特別重点)
1,965百万円
 在宅医療・介護あんしん 2012 における取り組みを地域全体に拡大していくため、平成24 年7月にとりまとめられた厚生労働省版「提言型政策仕分け」の提言などを踏まえ、市町村などを中心とした多職種協働による医療と介護の連携の下で在宅医療が提供される体制づくりを推進する。特に在宅療養者の病状が急変した場合の対応や、在宅で療養する小児・障害者などを支える広域的な医療・福祉の連携体制の強化を図る。
※ 厚生労働省版「提言型政策仕分け」(平成24 年6月~7月実施)の提言関連

② 災害時の安心につながる在宅医療連携体制の推進(復興)
1,048百万円
 災害が発生した場合でも在宅医療を必要とする人が安心して医療サービスを受けることができるよう、市町村を中心とした、多職種協働による医療と介護の連携の下で在宅医療が提供される体制づくりを推進するとともに、災害時の在宅医療に必要な備品の整備を併せて行う。
※ 厚生労働省版「提言型政策仕分け」(平成24 年6月~7月実施)の提言関連

3 小児在宅医療患者の相談支援体制の整備 115百万円
【 うち、特別重点要求 115百万円 】
・ 小児在宅患者の保護者の在宅療養への不安感を解消するため、小児在宅患者の症状などに応じて療養上の助言やかかりつけ医などとの調整などを行うための相談支援体制を整備する。【新規】(特別重点)

4 在宅歯科医療の推進
※ 医療提供体制推進事業費補助金(22,000 百万円)の内数、医療施設等設備整備費補助金等 (749 百万円)の内数の他、衛生関係指導者養成等委託費18 百万円
・ 生涯を通じて歯の健康の保持を推進するため、寝たきりの高齢者や障害者などへの在宅歯科医療について、地域における医科、介護等との連携体制の構築、人材の確保、貸出用在宅歯科医療機器の整備等について財政支援を行う。
・ 在宅療養者を介護する家族への歯科口腔保健の知識等の指導・普及を図るため、在宅歯科医療を実施している歯科診療所等に口腔ケアに必要な口腔内洗浄装置などを整備する。

詳しいことは、ぜひ、厚労省のHPで確認ください。

2012年9月18日火曜日

千葉県在宅がん患者緩和ケア支援ネットワーク指針への意見書2002年

NPOピュアの藤田敦子です。
2013度予算概算要求の中に、緩和ケアが特別重点課題にあげられています。
○がん性疼痛緩和推進事業(特別重点) 4.8億円
 地域がん診療連携拠点病院において、がん性疼痛の緩和についての相談支援事業を強
化する。
○緩和ケアセンター整備事業(特別重点) 3.5億円
 都道府県がん拠点病院等において、緩和ケアチーム、緩和ケア外来、緊急緩和ケア病
床の確保などが実施できる体制を整備する。同時に診断時より切れ目のない緩和ケア診
療体制を構築する。


今から10年ほど前、千葉県がんセンターに緩和医療センターを作るに当たり、2002年(平成14年)度に「千葉県在宅がん患者緩和ケア支援ネットワーク指針」策定委員会ができ、ネットワークとなる人的・社会的資源などをまとめていました。そのことを在宅医から聞いた私は、千葉県庁へ行き、自分たちが必要だったと思うことを担当者に伝えました。アポイントも取らずに尋ねてきた私の話を担当者はじっくりと聞いてくださり、「会議の席には、今聞いたような話は一度も出たことがない。とても貴重な意見なので、指針へ入れる資源への提案を出してください」とやさしく言ってくださいました。
会へ戻り、家族介護をした会員の声も集め、まとめあげて提出したのが、下記の意見書と人的・社会的資源への提案です。
この意見書は、策定委員会へ提出され、そして驚くことに、「看取り等」と「今後の方向性」として、ほとんどが入りました。今、国のがん対策基本法や基本計画策定などにも関わることができるようになり、このときの出来事が本当にすごいことだったことを痛感しています。ちょうど、千葉県知事が変わり、当事者の声を大事にした施策に転じたところだったことも幸いしたのでしょう。
長文ですが、10年前に私が提出した「意見書」をもう一度読んでいただき、がん対策にいかして頂けたら幸いです。

2002年10月26日(2003年3月13日加筆)
千葉県在宅がん患者緩和ケア支援ネットワーク指針への意見書

NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワーク ピュア
        (NPOピュア)代表 藤田敦子
 
 末期がん患者を看取った家族の立場で、感じたことを述べさせていただきます。 在宅で最期を迎えるために必要なことは、下記が考えられます。
 
1. どこの場所でも同じ緩和ケアが受けられる保障
2. 患者・家族へ自助努力を強いない相談窓口やコーディネーターの設置
3. 24時間の緩和ケア保障
4. 最期の場所を自由に選ぶことができる「自律」保障
5. 既存システム外のサービスの提供
6.家族(遺族)への支援体制への確立
7. 市民、関係機関への在宅緩和ケアの啓蒙
8. 在宅の新たな形の調査・研究

1.どこの場所でも同じ緩和ケアが受けられる保障
 疼痛緩和技術やモルヒネ、尊厳死に対する考え方が統一され、 県がんセンター以外の医療機関においても同一の緩和ケアが受けられることが絶対条件です。 そのためには、研修以外にマニュアルやガイドラインを県が作成することが大切です。 そして、がん患者一人ひとりの疼痛緩和ケアは、個別性があり、 研修だけでなくいつでも求めに応じ適切なケアを施すことが出来るように、 県がんセンターに技術指導窓口の設置(FAXやメールの利用)をお願いしたいと思います。 また、医療サイドだけでなく患者自身が医療者の痛みのケア等に対し不満や疑問を投げかけられる窓口があり、 どこにおいても適切なケアが受けられることを望みます。

2.患者・家族へ自助努力を強いない相談窓口やコーディネーターの設置
 介護保険においての介護保険課のように、在宅緩和ケアを扱う市町村単位での窓口の設置を希望します。がん患者のケアは他の在宅ケア療養者と違い、とてもすばやい対応とチームケアが必要となります。また、介護保険適応前の発症も多く、障害者窓口とは異なります。前医療機関での説明不足の場合もあり、在宅緩和ケアに対する理解や情報提供、 他機関へのコーディネーター、困難事例の対処、事例検討会の開催などを地域単位で行なうことが大切です。 介護者のいない患者の在宅緩和ケアを可能にするためには、従来の社会資源以外に法律家、 配食や移送サービスも必要となります。個々のケースにおいて対応できる幅広い知識や調整機能をもった相談窓口やコーディネーターの設置が望まれます。  患者・家族に安心感を与えるシステムがあってこそ在宅緩和ケアが可能になります。

3.24時間の緩和ケア保障
 地域格差があり、在宅医療を行なう医療機関が限られています。 かかりつけ医に在宅緩和ケアに参入してもらうためにも、24時間医療をかかりつけ医のみに任せるのでなく、 システムとしてささえる機能の確立が必要です。 訪問看護の24時間ケアを推進させるための施策が必要であり、医師会単位で患者情報の共有化を図るよう検討してもらいたいと願っています。 また、県がんセンターは、病状急変の後方支援ベットを担うとともに、一般病院において緩和ケアがなされるように一般病院や医師、訪問看護との連携が必要であり、 緩和ケアの理解を深めるため情報をたえず発信することが大切です。  モルヒネが麻薬扱いのため、医療機関において常備必要な量の確保がなされていない場合があります。 24時間の訪問薬局または管理を確保していただきたいと思います。痛みの緩和が24時間行われることが最も大切なことです。

4.最期の場所を自由に選ぶことができる「自律」保障
 インフォームドコンセント(説明と同意)は、がん告知のみに行なわれるものでなく最期まで続けられることを望みます。 医療機関において、これ以上の治療が望めないと判断された時は、今後のケアについて充分な説明が必要となります。 現医療機関または他医療機関での治療継続、ホスピス(緩和ケア病棟)への転院、在宅緩和ケアの導入です。 在宅緩和ケアを導入する場合は、起こり得る病状の変化やそれに対する対処の仕方の説明を患者・家族にすることがとても大切です。できれば治療医療機関が後方ベットとして位置することが望ましいと思います。 継続性があってこそ、在宅緩和ケアは可能となります。  初めての体験のため、病状の変化により決定が変わることがあります。 どのように生きどのように死ぬか、患者の生き方が問われてきます。 現在、確固とした死生観がない患者・家族が多く、突発的な出来事によりケアの方向が変わる場合があります。 ケア導入時からの継続的なインフォームドコンセントが多くの問題を解決する糸口となるでしょう。 患者の望むケアを継続的に提供することが大切であると考えます。

5.既存システム外のサービスの提供
 急激な病状悪化に伴うサービスの提供は、既存の提供方法では間に合わない場合があります。 障害者福祉サービスや介護保険法サービスなど、認定とサービス提供の迅速化を図るべきです。また医療と福祉サービスの狭間に陥り易い壮年期に対し、いろいろなサポートが受けられるよう支援システムを整える必要があります。

6.家族(遺族)への支援体制の確立
 患者との会話や信頼が充分にあり、思い残すことなく介護をすることが出来たとき、遺族は死後の喪失感より立ち直ることができます。 患者本人だけでなく、介護者へのケアはとても大切です。 介護の代わり、疲れの緩和や家族を失う心の痛みに対し、ケアが継続的になされるために専門家や研修を受けたボランティア、市民団体の存在が必要となります。  悲嘆ケアにおいては配偶者のみならず、親を亡くした子供、兄弟、子を亡くした親等さまざまなケースが考えられ、個別性をもってケアすることが望ましいです。

7.市民、関係機関への在宅緩和ケアの啓蒙
 千葉県においては医療機関、NPO等市民団体、患者会において講演会や相談活動等自主的に開催されていますが、 在宅緩和ケアへの啓蒙を一層深める為に、在宅での看取り教育が県レベルで行なわれることが望ましいです。 フォーラムの開催を始め、多くの場や機会を使って緩和ケアの理念を広めることが必要です。在宅緩和ケアが継続できない理由として、周囲の何気ない一言により患者や家族が傷つき、入院を決断する場合があります。 一般市民やケアに携わる関係機関に対して在宅での死や緩和ケアの啓蒙は必要です。 学校教育や生涯学習の一環として、死の看取り教育がなされていくことが大切と思います。 死の看取り教育により、家族の死を前にしてうろたえることなく在宅死を迎えるための適格な判断がなされます。 また、医学教育や看護教育においても、在宅緩和ケアのプログラムを取り入れ、在宅緩和ケアを普遍化する必要があります。  インターンシップの取り入れにより、大学生がNPOにおいて自らの専攻やキャリアに関連した体験を学ぶことは、大学では得られない知識や経験を深めることになり、今後推進させることが必要です。 地域の中でささえるためには、その地域に緩和ケアを理解したボランティアが必要となります。一人暮らしであっても在宅緩和ケアを行なえるネットワークこそが望まれていることでしょう。

8.在宅の新たな形の調査・研究
 少子高齢化というわが国の人口構成のなか、老々介護、ひとり暮らしの増加があり、自宅のみを在宅ととらえるのでなく、新しい在宅のあり方を調査・研究していくことが必要です。 ケアハウス、グループホーム等に暮らし、さまざまなサービスを受け、地域のなかで自分らしく生きることをささえるシステムの構築が望まれます。

在宅緩和ケアとは、いつもと同じ普通の生活をかなえることと思います。 普通の暮らしの中には、仕事があり、遊びがあり、食があり、家族友人がいます。 最期の瞬間まで自分らしく生きることを支援するネットワークの確立を願っています。 今回策定されたネットワークが指針として示されるだけでなく、 千葉県緩和ケアネットワークとして設立され、 継続的な在宅緩和ケアの啓蒙につながることを期待します。 指針は、今回の作成で終わりとせず、随時見直しを図っていく必要があります。

以上の観点から、指針への修正案を提言いたします(省略)。

*謝辞
 上記、意見書をまとめるにあたり、日本ホスピス・在宅ケア研究会市民ネットワークのみなさまにご助言をいただきました。 また、千葉大学法経学部広井良典教授にご教示いただきました。厚く御礼を申し上げます。

この意見書は、ホスピスケアと在宅ケア(Hospice and Home Care)2003年Vol.10 No.3 ISSN 1341-8688 日本ホスピス・在宅ケア研究会に一部収められています。また、全文を「家に帰ろう!在宅ホスピスケアガイド―千葉市版」に収めてあります。









2012年9月10日月曜日

厚労省人事異動9月10日付は何を目指すのか

NPOピュアの藤田敦子です。
社会保障と税の一体改革法案が通った後、厚労省は思い切った人事異動を行いました。この異動が、今後何を産みだしていくのか、眼が離せません。今後の為に、ブログに残しておきますね。(文全体は長いです)

☆今回の異動について小宮山大臣はこんなことを記者会見で述べています。

9月4日記者会見(厚労省HPより)
(大臣)
おはようございます。今日は、冒頭私から人事異動について申し上げたいと思います。(中略)
なお、女性の局長が2人となっています。この女性局長2人というのは、10年ぶりのことで、厚生と労働1人ずつ女性局長がいるのは初めてのことだと思います。こうした人事は9月10日付けで発令します。
今回お伝えする人事異動の内容は以上です。今回は、少し若返りを図ったということが一つ、それから女性を優遇したというよりは女性の能力を公正に評価をした結果、局長級以下のところでも各所できちっと評価をして位置付けをしたつもりです。それから、社会保障と税の一体改革も通りましたので、そうした改革を局横断的にしっかりと進められるように、かなり大幅な人事異動をしたということです。
《質疑》
(記者)
今、人事についてお話がありましたが、今回特に人事の狙いというか、改めていちばん重点を置いたところをお願いします。
(大臣)
一つ目は、事務次官が在任2年そして厚生労働審議官が在任3年を超えましたので、人心一新ということでこちらは交代ということにしました。そして二つ目は、ご承知のように、各局とも非常に重要課題を抱えていますので、体制の強化を図るために、適材適所の人事異動を図ったということです。今申し上げたように、だいぶ年次は若返っているかと思います。
(記者)
人事ですが、社会援護局長に村木厚子さんが内定されましたけれども、村木さんは、裁判で無罪が確定してから3年ぶりに厚労省に復帰となりますが、改めて大臣が村木さんに期待されることを教えて下さい。
(大臣)
村木さんは、内閣府の政策統括官として、社会保障と税の一体改革の中でも重要な位置づけで、私も兼務をして少子化対策担当大臣としても関わってきた、子ども・子育て対策の関連法案など、この成立に向けて与野党間、各省間、関係団体との調整など中心的な役割を果たしてきてもらいました。まだまだ、こちらのほうの仕事もあるのですが、一体改革法案が成立したこのタイミングで、厚労省に復帰してもらいたいと考えまして、今回のような形をとりました。また、村木さんに代わってやってもらえる人で、福祉分野にも明るい人、内閣府でも経験があるとうことで、これまで社会・援護局長をしていた山崎さんしかいないということで、山崎さんにそちらの内閣府のほうの統括官になってもらうことにしました。(後略)
(記者)
人事についてお伺いしたいのですが、医政局長が原さんという案がでておりますが、医系技官ということです。また、保険局長のほうですがこれまでは医系技官でしたけれども、事務官ということで、このへん人事のお考えについて。
(大臣)
医政局長を医系技官に、保険局長を事務官にポスト替えをする理由ということだと思うのですが、そこは、あまり固定的な概念にとらわれずに重要な課題と進めるために適材適所の人事としたということです。(後略)

☆異動については、ゆきさん(国際医療福祉大学大学院教授)からのメールを一部転記します。
参考:福祉と医療・現場と政策をつなぐ「えにし」ネット
( )の中は、入省の年とこれまでのポストです。

◎局長級人事
★退任・阿曽沼慎司さん(昭和49年 事務次官)
後任の事務次官は金子順一さん(昭和51年 労働基準局長)
その後任は、中野雅之さん(昭和54年 政策統括官)
そのまた後任は、熊谷毅さん(昭和56年 審議官(労働条件)

★退任・外口崇さん(医系 保険局長)
後任の保険局長は、木倉敬之さん(昭和54年 医薬食品局長)
その後任には、栄畑潤さん(昭和53年 年金局長)
そのまた後任の年金局長には、香取照幸さん(昭和55年 政策統括官)
そのまた後任には、唐沢剛さん(昭和55年 審議官(医政・保険・医療・介護連携)

★退任・外山千也さん(医系 健康局長)
後任の健康局長には、矢島鉄也(医系 技術総括審議官)さん

★退任・太田俊明さん(昭和50年 厚生労働審議官)
後任の厚生労働審議官(略称・厚労審)には、大谷泰夫さん(昭和51年 医政局長)
その後任には、医系技官の原徳寿さん(防衛省大臣官房衛生監)
そのまた後任は、鈴木康裕さん(医系 保険局医療課長)

★退任・宮島俊彦さん(昭和52年 老健局長)
後任の老健局長には、原勝則さん(昭和54年 内閣総務官)

★退任・森山寛さん(昭和53年 職業安定局長)
後任は、岡崎淳一さん(昭和55年 官房長)
そのまた後任の官房長には、二川一男さん(昭和55年 総括審議官)

★退任・高井康行さん(昭和53年 雇用均等・児童家庭局長)
後任には、石井淳子さん(昭和55年 審議官(雇用均等・児童家庭)

★退任・小野晃さん(昭和53年 職業能力開発局長)
後任には、山田亮さん(昭和55年 東京労働局長)

★山崎史郎さん(昭和53年 社会・援護局長)と
村木厚子さん(昭和53年 内閣府政策統括官)が交代

◎審議官・課長級・医系の人事(医療福祉関係)

★年金局長になる香取照幸さん(昭和55年 政策統括官)の後任に、
唐沢剛さん(昭和55年 審議官(医政・保険・医療・介護連携)
その後任に神田裕二さん(昭和57 内閣府審議官(経済財政運営担当))

★健康局長になる矢島鉄也さんの
後任の技術総括審議官は、三浦公嗣さん(医 食品安全部長)
後任に、新村和哉さん(昭和59 農水省)
その後任は、塚原太郎さん(昭和59 厚生科学課長)
後任は福島靖正さん(昭和59 横浜検疫所長)
その後任は木村博承さん(昭和61 がん・健康増進課長)
そのまた後任は宮嵜雅則さん(昭和62 医療指導監査室長)
さらに後任は泉陽子さん(昭和63 母子保健課長)
その後任は桑島昭文さん(平成02 官房付)

★防衛省大臣官房衛生監に出向の鈴木康裕さん(昭和59 医療課長)
の後任に宇都宮啓さん(昭和60 老人保健課長)
その後任に迫井正深さん(平成1 保険局企画官)
その後任は井上肇さん(平成3 官房付)

★国立がん研究センターにうつる牛尾光宏さん(昭和57 国際協力機構)
の後任は福田祐典さん(昭和60 精神・障害保健課長)
その後任は重藤和弘さん(昭和60 医薬品機構)
その後任に中野恵さん(昭和62 保健医療科学院)

★保健医療科学院次長に、関山昌人さん(昭和57 福祉医療機構)
後任に山本光昭さん(昭和59 大気環境課長)
その後任に大森豊緑さん(昭和61 名古屋市立大)

★文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長に、
川又竹男さん(昭和63 老健局振興課長)
後任に朝川知昭さん(平成2 政策企画官(社会保障担当参事官室))

★雇用均等・児童家庭局長になる石井淳子さんの
後任に鈴木俊彦さん(昭和58年 会計課長)
その後任に池永敏康さん(昭和59 医政局総務課)
そのまた後任に吉岡てつをさん(昭和60 食品安全部企画情報課)

★官房総務課参事官に堀江裕さん(昭和60年 健康局生活衛生課長)
その後任に、依田泰さん(平成1 年金局事業企画課病院室)

★官房総務課企画官に、矢田貝康之さん(平成7年 官房総務課)
後任は大塚弘満さん(平成8年 労働基準局総務課)

★桑田俊一さん(昭和55 審議官(職業能力開発担当))は、国交省に里帰り。

★依田晶男さん(昭和56 国立がん研究センター)の
後任に、藤井康弘さん(昭和58 国際課長)

★高倉信行さん(昭和56年 消防庁審議官)の
後任に、武田俊彦さん(昭和58年 社会保障担当参事官)
その後任は、福本浩樹さん(昭和59 老健局総務課長)
その後任は片岡佳和さん(昭和60 医政局国立病院課長)
そのまた後任は、土生栄二さん(昭和61 障害部障害福祉課長)
その後任は、辺見聡さん(平成2 障害部地域移行・障害児支援室長)
その後任は阿萬哲也さん(平成3 人事課企画官)

★雇用均等・児童家庭局総務課長に、定塚由美子さん

★健康局総務課長に、塚本力さん(昭和60 年金局事業企画課)
後任は八神敦雄さん(昭和62 大臣官房付)

★企業年金連合会会員センター長に、中島誠さん(昭和59 障害部企画課長)
後任に、井上誠一さん(昭和61 医政局指導課長)
その後任は、梶尾雅宏さん(昭和62 年金局年金課長)

★保険局総務課長に濱谷浩樹さん(昭和60 保険局国民健康保険課長)
後任は中村博治さん(昭和63 年金局事業管理課)

★医・労災保障部長に 中沖剛さん(昭和56 高齢・障害者雇用対策部長)
後任に 小川誠さん(昭和58 官房人事課長)
その後任は樽見英樹さん(昭和58 官房参事官(人事担当))

★年金局年金課長に度山徹さん(昭和63 老健局介護保険計画課長)
後任は、高橋俊之さん

★年金機構事業企画部長に北波孝さん(平成2 広報室長)
後任に、屋敷次郎さん(平成2 保険局医療課保険医療企画調査室長)

★ 国際医療研究センターに亀井美登里さん(昭和59 成田空港検疫所長)
後任に、丸山浩さん(昭和58 医薬品機構)

★石塚正敏さん(昭和53 関信厚生局長)の
後任は安達一彦さん(昭和54 近畿厚生局長)

★新木一弘さん(昭和60 支払基金)は、新潟・ゆきぐに大和病院へ

以上です。異動は頻繁に行われるので、2012年9月10日付になります。
ここから、どのように変わっていくのか、何が行われていくのか、眼が離せませんね。

*ゆきさんからの追加の情報を一部加えました。9月14日

★伊原和人さんは、食品安全部企画情報課長。
後任の日本年金機構記録問題対策部長には柳楽晃洋さん(年金機構事業企画部長)

★大島一博さんは、保険局保険課長。
後任の官房長官秘書官は大西友弘さん(内閣官房社会保障改革担当室)
その後任に宮本直樹さん(アフターサービス推進官)
その後任は大隈由加里さん(雇用均等・児童家庭局均等待遇推進室長)

★高倉信行さん(消防庁審議官)は、年金管理審議官に。

★東北厚生局長だった藤木則夫さんは、国立病院機構理事(管理担当)に。
後任は岡部修さん(年金積立金管理運用独立行政法人理事)

★依田晶男さんは、年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の審議役としてのWHO
で活躍した尾身茂理事長の右腕に。
後任の国立がん研究センター統括事務部長は藤井康弘さん(国際課長)。

★若き医系技官は3・11支援に
・保険局医療課課長補佐の 前田彰久さんは内閣府で原発被災者の健康支援へ。
・奈良県医療政策部長だった武末文男さんは文部科学省原子力安全課放射線安全企画官に。

2012年9月5日水曜日

【日本在宅ホスピス協会】船橋大会の報告

皆様

大会会長の藤田敦子です。
平成24年8月31日~9月2日にかけて開催した第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋(主催:日本在宅ホスピス協会)は、盛会裏に終了しました。全国から約300名の医療・福祉関係者の参加があり、閉会式後に行われました市民公開講座には、約250名の一般市民等が参加されました。ここに感謝申し上げます。

協会による総会(講堂)
本大会は、「最後の時を自分の家で自分らしく過ごしたい」という患者の思いの実現を目指して、「思い」を共有する医療、介護、福祉、行政、市民が集い、毎月1回の実行委員会を行い、セミナーハウスクロスウェーブ船橋で開催しました。

参加した医療・介護・福祉関係者は、8月31日に行われたウェルカムパーティー、9月1日の3つの教育講演、口腔ケア研修と分科会、懇親会、2日の分科会報告会の場で、顔と顔を合わせて、互いの職種による違いや、疑問や思いを本音で語り合いました。大きな学会とは違う、知り合い、深め合い、高めあい、癒やしあうことを目的としているため、オプションには太宰治が泊まったとされる「玉川旅館(画像)」での温泉(昼食付)や懇親会後の23時までの交流会なども設けています。

この日本在宅ホスピス協会は、がん緩和ケアのホスピスケアの部分に焦点を当て、患者と家族のQOLを最優先し、患者と家族が安心して家で過ごせるケアを実施するとした「在宅ホスピスケア基準」を作り、普及に努めています。


分科会1
1日に開催された分科会1「一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支えるため」では、地域住民も含めて、家で最期までが可能なこと、がん末期の患者さんの場合は在宅医療をする医師の訪問診療を入れること、在宅医の緩和ケア技術のアップには緩和ケア病棟医師のアドバイスを可能にする医師と医師との連携が必要なことなどが話されました。自治会の理解の下、一人暮らしを支えた事例などもあり、住居の問題もクローズアップしました。各地からの来た医師からの本音トーク、緩和ケア医が参加する中での意思の共有や連携の在り方の討議、市民からの声など、たくさんのことが得られた分科会でした。

分科会2「医療的ケアのある人を支える」は、厚労省担当者の介護職によるたんの吸引等制度の説明があり、医師から疑問、看護師からの医行為を介護職がすることへの不安などが話しあわれ、実際にケアを提供している介護職からの課題が出ました。会場から、ALSなどの患者も参加され、議論に議論を重ね、トータルヘルスプランナーでもある看護師の「ヘルパーが安全に行われるように教えることも看護師の大切な仕事」という話も出て、2日の報告では、介護職の吸引等は、平常時に行うものであり、異常時・緊急時にどう医療職につなぐかが大事という結論に至りました。

大研修室での口腔ケアや分科会2~4
分科会3「がんターミナル期の褥瘡ケアのあり方を考える」では、在宅で手に入る簡単な材料や方法も活用し、多職種で情報共有できるかが大事という話になりました。翌2日の報告会で、小笠原会長から、「褥瘡ができてはいけないと、病院で2時間おきの体位変換を行い、それを在宅でも強いると、患者も家族も、ほとんど眠れなくなってしまう。ターミナル期をどう捉えるか、まずはぐっすり寝てもらい、患者と家族に笑顔が戻ってきてから、褥瘡ケアを行っていくことも大事ではないか」というアドバイスもありました。

分科会4「在宅ホスピスにおけるリハビリテーション」では、ターミナル期に、どうリハビリテーションを導入していくのか、患者の希望を、たとえ小さなことでも実現できるように、援助していくことが大事ではないかと、さいたま市、豊島区、柏市の事業所の実践報告がなされました。2日のまとめの中で、患者さんの笑顔も成果を図る大事な目安になるのでは、という意見も出ました。今回、大会の中で初めてセラピストの分科会を設けましたが、懇親会や交流会で、緩和ケア医や他職種と意気投合し、抱き合っている姿を見て、「理念」って共有できるんだな~、顔と顔と合わせてざっくばらんに話し合える場って大事だな~と深く感じました。

柳田邦男さんと小笠原文雄さんの市民公開講座は、多くの市民の方が大嵐の中参加してくださり、「最期まで自分らしく、明るく朗らかに、おひとり様でも大丈夫」という在宅ホスピスケアが求められていると感じました。当日は、市の職員も参加し、これからの地域包括ケアをどう作り上げていくのか、理念や知識を共有することができました。

次の大会は、平成25年9月27日(金)~29日(日)に浜松市(ホテルコンコルド浜松)で開催されます。詳細は、日本在宅ホスピス協会のホームページで紹介しますので、ぜひ、ご参加ください。

最後になりましたが、高木副大会長、永谷実行委員長、そして、忙しい中、19時半から始まる実行委員会に集った実行委員の皆様、また、当日、会場係などのボランティアとして集まって下さった方々、広報に協力して下さった関係機関、寄付や冊子広告、助成金を下さった皆様、惜しみない協力をして下さった船橋市担当職員の皆さん、実行委員会の会場提供など多くのサポートをして下さった板倉病院、クロスウェーブ船橋の職員の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました! 藤田敦子

2012年8月31日金曜日

【日本在宅ホスピス協会】本日開会!小笠原協会会長挨拶

いよいよ、本日31日から9月2日まで、第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋の開催です。
31日は、会員向けのウェルカムパーティ
1日は、一日、教育講演、在宅ホスピス実践報告、遺族の体験談、分科会と続きます。
2日は、分科会報告の後、市民公開講座を行います。

市民公開講座は満席となりました。お申し込みをありがとうございました!
1日は、当日受付もございます。

全国大会については、こちらにて確認くださいませ。
皆様にお会いできますのを楽しみにしております。 大会会長 藤田敦子

*********ごあいさつ****************

 日本在宅ホスピス協会 会長 小笠原医院 院長 小笠原 文雄

 私が、日本在宅ホスピス協会会長を引き継いで、2回目の全国大会を迎えることとなりました。
 
 2年越しで準備されている、藤田敦子さん、髙木先生、永谷先生はじめ実行委員会の皆様には大変ご尽力いただきまして誠に有難うございます。この場をかりて御礼を申し上げます。
 
 今大会は、『地域包括で支える在宅ホスピスケア 〜最後の時を自分の家で自分らしく過ごしたい〜』という思いの実現に向けての講演会、研修会が企画されています。

 思えば協会創立のきっかけは、川越博美前会長や川越厚顧問方が、“在宅こそホスピスケアの原点。在宅ホスピスを広め、誰でも望めば在宅ホスピスケアを受ける事ができる社会にしたい。そのために、医療者だけでなく市民にも呼びかけたい。”というもので、毎回大勢のボランティアさんが大会を盛り上げていらっしゃいました。私もその思いを受け継ぎ、第15 回船橋大会は市民代表 藤田敦子さんに大会会長をお任せしました。千葉の地でまた新たな在宅ホスピスケアの形を示してくださることと大変楽しみにしています。
 
 私も、協会顧問の柳田邦男先生と「いのちの不思議さ 〜家をホスピスに〜」と題しましたシンポジウムでお話させていただきます。
 
 身体を壊し病院医師を辞め、在宅治療を始めて、がんの看取りの際「自宅だと何故人はこれほど安らかに旅立つことができるのか?」とカルチャーショックを受けて以来、20 年あまりたちますが、いまだに在宅緩和ケアの素晴らしさに魅了され続けています。

 文芸春秋6 月号に在宅緩和ケアをされている岡部医院の岡部先生が癌に冒され“余命10 ヶ月”と宣告された時「病院には生活がない。あそこは治って帰る為に患者がひたすら耐える場所。日常の生活が人の命や心を支える大切な働きをしていることが入院をしてみて思い知った」という実感をリアリティをもって語られています。
 
 是非、大会でこの思いを共有し、地域に持ち帰って、全国各地のレベルアップに努めていきましょう!!


2012年8月9日木曜日

社会保障と税一体改革に挑む厚労省香取照幸さん

NPOピュア藤田敦子、大学院生モードです。

◎介護保険の鉄人から社会保障の鉄人へ
「介護保険の鉄人」の称号を持つ香取照幸厚労省政策統括官(画像左)は、日本の社会保障を語る時になくてはならない人だ。ゆきさん(大熊由紀子教授:画像右)の『物語 介護保険』に最多登場するということは、要所要所で、必ず改革を成し遂げていることに他ならない。最近購入した荻島國男遺稿集『病中閑話』にも香取さんは寄稿している。今回、社会保障と税の一体改革のトップバーターからお話を伺くことで、より一層、改革の必要性を感じ、ジャーナリスト分野で学ぶ学生として講義の内容を私なりにまとめてみた(平成24年7月5日現在)。


◎社会保障と税の一体改革をめぐる問題
社会保障は、高度経済成長期である1960年~70年代に骨格が完成し、会社による正規雇用・終身雇用・完全雇用に守られ、皆保険・皆年金を達成した。給付の増加は、経済の成長により問題にはならなかったが、現在は、雇用環境が変化し、非正規が全雇用の34%(2010年)になっている。また、2015年には団塊の世代が65歳に達し、今後、医療や介護を必要とする後期高齢者の著しい増加、特に一人暮らしの問題が社会問題となっていく。支える側の弱体は大きく、合計特殊出生率は1.39(2010年)になっており、産み育てることのできる社会の構築が急務となっている。また、社会保障の給付が年金に偏っているため、世代間の不公平が起きている。そして歳出・歳入の変化も著しく、一般歳出の半分以上を社会保障が占め、その費用を賄うため、公債金(借金)が歳入の半分近くになっている。現在の状況は、太平洋戦争末期と同水準にあり、市場の介入などで経済の津波が起こると、私たちの暮らしが一瞬にして変わる危機的状態とも言える。

この問題を解決する為、一体改革は行われる。目指す将来像は、「社会保障の充実・安定化」と「財政の健全化」であり、この問題は一歩も後に回してはいけない問題でもある。 今回の改革で変わることは多義に渡る。年金は国庫負担2分の1の恒久化が大きい。幼保一体化の総合こども園の創設はならなかったが、内閣府が一元的に認定こども園制度等の改善を図り、子ども・子育て支援の強化を図る。また、在宅医療の充実、地域包括ケアシステムの構築、高額な医療費負担の軽減など、医療と介護の充実を図る。そして、年金制度の改善、就労促進や貧困・格差対策の強化、医療イノベーションを行うなど、様々な改革が行われる。

消費税を上げることにより消費が落ち込みことが心配されているが、社会保障と経済とは相互作用があり、雇用の創出や労働力保全機能が生まれ、経済の活性化につながることが期待されている。低所得者への配慮として、社会保障・税番号制度の導入を図っていく。簡素な給付措置は、消費税が8%となる時期から実施する(以上は7月5日現在の状況であり、今後、国会などで審議される中で内容が変わっていく可能性もある)。

◎理念を共有し、伝えていくことの大切さ
香取さんは、スウェーデンの中学校の教科書を例にとり、自助と共生、自立と連帯、助け合い、相互扶助、官と民、公と私について、日本の教科書は教えていない実態を伝えていた。また、「人間としての感性、共感できる心がなければ、いくら現場を歩いても、現場の人に接しても、現場の気持ちも喜びも苦しみも感じることはできない」「専門家がいなければ、現場の事象に振り回される」と、制度には理念があり、現場には実践があり、その二つは相互に支え合う関係だと述べていた。制度を作る側と実践する現場、そしてそれを国民にわかりやすく目指すべき方向である「理念」や「真実」を伝えていく役割がジャーナリストなのだと思う。

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講演資料1(PDF) 大熊由紀子教授HP ゆき・えにしネットより
当日追加資料「一体改革の現場で思うこと」(PDF)同上

9月21日追加資料
講演議事録をゆき・えにしネットの上段2列目「医療福祉の財源の部屋」で見れます!
★ 「社会保障政策転換の発信源として」(上)
社会保障・税一体改革の基本的考え方/2.社会保障改革のポイント
★ 「社会保障政策転換の発信源として」(下)
3.一体改革の現場で思うこと/4.閣僚による「全国行脚」/院生・聴講生との意見交換
内閣府官房社会保障改革室 内閣審議官(当時) 香取照幸さんの大学院講義録

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講義の後、昨年、デンマークへ行き感じたことを思った。デンマークでは、スウェーデンと同じく、「教育」をとても重視し、「自立」や「考える力」を養っていた。「貧困対策」に力を注ぎ、親の貧困が子に及ぶことがないように社会保障を充実させていた。在宅ケアと住宅政策が充実し、障害を持っても、病気をしても、自分らしく生きることが保障されていた。日本はとても豊かな国なのに、幸福感が少ない。

平成23年総務省統計局「家計調査」によると、二人以上の世帯の貯蓄現在高は、平均1664万円で、67.9%の世帯が平均を下回っている。全体の約1割である4000万以上の世帯が貯蓄全体の41.5%を占めている。また貯蓄は、金融機関が多く、生命保険なども含まれる。他国に比べて、持ち家が多く、住宅ローンなどの負債が減ったことにより、資産が高く感じるが、本当に自由に使える資金が高いかは不明だと感じた。国債の国内投資家だけが保有している現状が、もし崩れれば、銀行の倒産など、日本経済だけでなく国民の暮らしも危うくなってくる。

現在でも、持てる者と持たざる者との二極化が進み、在宅ケアの現場でも、お金がなく、介護保険で必要なサービスを利用できない人も出ている。がん患者の高額な治療費や病気を持つ人の雇用の問題も、命と直轄し、大きな問題となっている。また、今後の少子化を考えると住宅の売却は進まず、要介護で住むことが難しくなると、「住居」がなくなる人の増加が考えられる。低所得者に対しての住宅政策を今後進めていく必要を感じている。

大人になり自立できるまでの間、そして病気や障害を持ちながら生きること、高齢となりケアを必要としたり生活が困窮すること、誰もが起こりえることであり、そのために社会保障は存在している。そして互助の精神は、寄付や助け合いの文化も育む。日本人として生まれ、温かな人の輪の中で暮らし、最期の時に「いい人生だった」と思い亡くなっていける、そんな国にしていきたい。 自分ができることは小さいけれど、これからも「理念」を発信続けていこうと改めて思った。

2012年8月8日水曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋 後援・寄付等のご支援

NPOピュアの藤田敦子です。

平成24年8月31日~9月2日に開催される「第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋」は、多くの方のご支援により開催されます。ここに厚く御礼を申し上げます。

第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋(平成24年8月8日現在)

協会会長:小笠原文雄(小笠原医院院長、日本在宅ホスピス協会会長)
大会会長:藤田敦子(NPO法人ピュア代表、日本在宅ホスピス協会役員)
大会副会長:髙木恒雄(髙木医院院長)
実行委員長:永谷 計(板倉訪問クリニック院長)

主催:日本在宅ホスピス協会
共催:公益社団法人 船橋地域 福祉・介護・医療推進機構
後援:船橋南部在宅療養研究会

助成:公益財団法人正力厚生会助成事業

市民公開講座後援:
千葉県、船橋市、千葉県医師会、船橋市医師会、千葉県歯科医師会、船橋歯科医師会、千葉県薬剤師会、船橋薬剤師会、千葉県看護協会、千葉県社会福祉協議会、千葉県訪問看護ステーション連絡協議会、千葉県地域包括・在宅介護支援センター協会、千葉県社会福祉士会、千葉県医療社会事業協会、千葉県介護支援専門員協議会、船橋市介護支援専門員協議会、千葉県介護福祉士会、千葉県ホームヘルパー協議会、千葉県理学療法士会、千葉県作業療法士会、千葉県言語療法士会、千葉県栄養士会、千葉県民生委員児童委員協議会、千葉ヘルス財団、ちば県民保健予防財団、千葉県在宅ネットワーク、千葉緩和医療学会、医療・福祉ネットワーク千葉、千葉大学福祉環境交流センター、㈱千葉日報社、NHK千葉放送局、チバテレビ

ご寄付(団体):アステラス製薬株式会社、アボットジャパン株式会社、MSD 株式会社、エーザイ株式会社、大塚製薬株式会社、小野薬品工業株式会社、株式会社岩瀬歯科商会、グラクソ・スミスクライン株式会社、塩野義製薬株式会社、第一三共株式会社、大正富山医薬品株式会社、武田薬品工業株式会社、田辺三菱製薬株式会社、大日本住友製薬株式会社、中外製薬株式会社、日大第三外科同門会、帝人在宅医療株式会社、帝人ファーマ株式会社、船橋歯科医師会

その他、個人の方からご寄付、多くの企業・団体に抄録集への広告掲載を賜りました。厚く御礼申し上げます。
なお、平成24年8月8日現在を記載致しました。誤字脱字、修正等ございましたら、大会事務局へご連絡下さいませ。

大会事務局:医療法人弘仁会 板倉病院 地域連携室
TEL 047-436-0908 FAX047-432-8576 Email:hha15funa*gmail.com(*を@にして下さい)

2012年8月5日日曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋分科会④在宅リハビリテーション

セラピストの皆様へ

9月1日の日本在宅ホスピス協会では、セラピストの皆様のターミナル期における働きを話し合う場も設けています。維持期、回復期だけでない、ターミナル期における「リハビリテーション」の役割について徹底討論しませんか?
分科会全体は、こちらで確認ください。事前申し込みは、7月31日で終了しました。お問い合わせは、hha15funa*gmail.com(*を@小文字にしてくださいね)。当日も可能です。日本在宅ホスピス協会はこちらから

分科会④在宅ホスピスにおけるリハビリテーション
開催日時:9月1日(土)15:00~17:30
会  場:3階 大研修室C 321号
座長:千葉県立保健医療大学 健康学部 准教授 安部能成
基調講演:千葉県立保健医療大学 健康学部 准教授 安部能成
話題提供:1.東大宮訪問看護ステーション 作業療法士 佐治 暢
       2.医療法人社団愛語会 要町病院 リハビリテーション室 理学療法士・作業療法士 岩城 基
       3.のぞみの花クリニック 理学療法士 西尾玲子
翌日報告者:船橋市訪問看護ステーション理学療法士 松川基宏

基調講演:在宅ホスピスにおけるリハビリテーションの特色とは何か? 安部能成

 これまでの医学的リハビリテーションは、主として病院のリハビリテーション室での活動を前提として展開してきた。
 歴史的にみると草創期は、機能回復訓練による社会復帰が目的であった。したがって、退院後は自宅復帰よりも再就職の方が好まれた。次に機能維持を目的としたリハビリテーションに注目が集まるようになった。同時に、病院を含む施設のみならず、自宅・地域におけるリハビリテーションも注目されるようになった。さらに、がん対策基本法の成立・施行を受けて、ホスピス緩和ケアが焦点化されるようになった。患者さんのQOL向上のためには、御本人の希望に添うことが必要であり、残り少ない日々を自宅で過ごすことを希望されるなら、その実現のために努力する必要がある。

 しかし、リハビリテーションは機能回復、または機能維持を目的として展開してきており、早晩機能低下の避けられないホスピス緩和ケアの患者さんに、どのように介入すべきか、まだコンセンサスはない。しかも、このことを在宅で行うのは、まだ少数にとどまっている。

 だからこそ、今回の日本ホスピス協会の全国大会では、在宅リハビリテーションに求められることを明らかにすべき好機である。緩和ケアで始まるとしても、死亡で終わることの多いターミナルケアにおいて、あるいは機能低下の状況で、リハビリテーションは何をなすべきか?

 予後の迫る中、患者の希望を、たとえ小さなものであっても実現することが求められる。残された時間が少ないので、その日その場での対応を求められる。最終場面で突然登場するのは、患者の心理機能低下のために困難であるなら、いつ・どのようなタイミングで介入すべきか、話し合うべき問題点は多々ある。患者との個人的関係に終わることの多かったリハビリテーションは、患者家族とどのような関係を持てばよいのだろうか?

 原疾患の治癒は望めなくとも、退院できること。自宅での生活を少しでも維持すること。たとえば、入浴し易く、食事し易く、トイレに行かれ易く、趣味の活動をし易くすることに援助するためのリハビリテーション活動。

 そのような在宅リハビリテーションの実践を提示し、必ずしもターミナルケアに特化していない、在宅リハビリテーションの経験者が職種の違いを超えて集い、その問題点を話し合いあい、より良いターミナルケアとしての在宅リハビリテーションに寄与したい。

2012年8月3日金曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋分科会③がんターミナル期の褥瘡ケアのあり方

9月1日に開催される日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋では、午後に分科会をします。
今回は、「分科会③がんターミナルケア期の褥瘡ケアのあり方を考える」について紹介します。

開催日時:9月1日(土)15:00~17:30
会  場:2階 大研修室A 221

分科会③ 座長:要町ホームケアクリニック 院長 吉澤明孝
1.船橋市立医療センター(皮膚・排泄ケア認定看護師) 大塚眞由美   
2.本町在宅介護センター 鈴木ひとみ
3.セントケア東京(株)セントケア訪問看護ステーション文京管理責任者 平野綾子
4.板倉訪問クリニック 院長 永谷 計


褥瘡の原因は①圧迫 ②ずれ ③栄養と言われています。がんターミナルケア期では、良
性疾患の高齢者、寝たきりの患者さんとは状態が違ってくると思います。ターミナルケア期
といっても、前期、中期、後期と分ける考え方があり、その時期によっても違ってくると思
います。また栄養ひとつをとっても、ターミナルケア後期では悪液質が進み、体が栄養を受
け付けないとも言われています。今回「がんターミナルケア期の褥瘡ケアのあり方を考える」
という機会を頂き、4人の講師にそれぞれの立場からご講演を頂き、皆様と考えて行きたい
と考えています。

まず初めに、船橋市立医療センターWOC看護師 大塚眞由美先生から褥瘡とは・・・か
ら、現在の標準治療について専門職の立場からお話いただき、その後、褥瘡ケアを必要とす
る患者さんに対して病院から在宅に移行する場合の要件はあるのか?ご示唆いただけること
になっています。

次に本町在宅介護支援センター主任介護支援専門員 鈴木ひとみ先生から在宅ケアで環境整
備から介護の現場を統括する立場でターミナルケア期の褥瘡ケア患者に関して、現場でのご
苦労も含めたお話をいただけると聞いております。

そして次に在宅ターミナルケア期の現場で欠かすことの出来ない訪問看護ステーションの
立場からセントケア東京訪問看護統括係長 平野綾子先生からがんターミナルケア期の褥瘡
ケアに関して在宅ケアでの良いところ悪いところを含め、病院との連携についてお話しいた
だきます。

最後に在宅医の立場から板倉訪問クリニック院長永谷計先生より在宅と病院とのケアの違
い、ホスピス(ターミナル)ケアでの医師の考えをお聞かせいただければと思っています。
当日お会いできることを楽しみにしております。

分科会全体は、こちらで確認ください。事前申し込みは、7月31日で終了しました。お問い合わせは、hha15funa*gmail.com(*を@小文字にしてくださいね)。当日も可能です。日本在宅ホスピス協会はこちらから

2012年8月1日水曜日

尊厳死からコミュニティケアへ ケアタウン小平 山崎章郎さん

藤田敦子 大学院モードです。今回は長年、聖ヨハネ会桜町病院ホスピスで、終末期医療やホスピスケアを届けてきた山崎章郎さんに、新たに「ケアタウン小平」を作り、コミュニティケアを提供したいきさつなどをお伺いしました。


◎「尊厳死」を言わなくても、患者の意思は尊重される

小平にある「ケアタウン小平」は、21戸の賃貸住居「いっぷく荘」に隣接し、往診する医師、訪問看護師、ヘルパー事業所があり、デイサービス、子育て支援、ボランティアがいる複合施設。そこは、長い間、がん患者に終末期ケアを提供する「桜町ホスピス」に従事していた山崎医師や長谷さんたちの思いがいっぱい積もった場所だ。「ホスピスは専門家の提供にゆだねるが、在宅ケアは家族に達成感があり、一体感がある」と山崎氏は語る。そう、そこに住む人たちみんなが安心と幸せと自分の役割を持てる場所-それがケアタウン小平なのだろう。
以前、ホスピスにリビングウィル(本人の意思書)を持って患者さんが来られた時、「ここは『リビングウィル(意思書)』を提出しなくても、たえず、ご本人の意思を確認しながらしていきますから、大丈夫ですよ」と優しく山崎さんが答えて、患者さんは安心したという。気持ちは絶えず揺れていくから、その都度、本人の思いをチームで聴いて、疑問に答えて、そして家族を支えていくことが、ホスピス・緩和ケアの基本だ。
がん患者だけに提供されていたホスピス・緩和ケアの理念が、在宅に拠点を設けることで、認知症など誰にでも提供できるケアになった。安心して暮らせるコミュニティは、「最期まで、人権を守られ、尊厳と自立(自律)をもって暮らせることを保障する」コミュニティである。
もしかして、諸外国で提供されているホスピス・緩和ケアって、こういう形なのかもしれないな。キュアからケアへ―ホスピスからコミュニティケアへ。ケアを提供するチームに、ホスピスマインドや緩和ケア技術があることが、一番大事だから、私たちは、「もっと地域の中でホスピス・緩和ケアの理念」を訴えていかなくてはいけないのだ。
愛する人たちに囲まれて、自分がいたいと思える場所で、人生の幕を精いっぱい駆け抜けることができたら、どんなに幸せだろう。私たち市民が思うのは、「死」ばかりを見つめている日本の「尊厳死」でなく、「死ぬまで誇りを持って暮らす」ことを保障してほしいのだ。

◎ホスピスケアとの出会い

山崎氏は、高校3年生の時に、サリドマイドの事件にスウェーデンから医師が来日したことを伝えるテレビを偶然観て、建築家の夢を捨て、医学の道に進むことにした。2年浪人して千葉大学に入学したが、時は安田講堂事件が起こり、博士号を取らない運動も起こっていた。研究の道に挫折を感じて、大学病院ではなく、地域の病院で働くことに決め、その過程の中でしばらく船員としてのんびり働くことに決めた。捕鯨船に乗っていた1983年に、運命を変えた「死ぬ瞬間」(E.キュブラー・ロス)に出会う。『死ぬ瞬間』では、当時行っていた蘇生術をせず、家族に囲まれて死ぬことができることが書かれていた。
1985年、日本に戻った山崎氏は、千葉県の病院へ移り、精力的に仕事をこなしながら、外科病棟の看護師と一緒に『八日市場ターミナルケア研究会』を立ち上げた。1カ月に1回の勉強会やグループ討議を行い、医療者だけでなく、いろいろな人の発想が必要と感じ、看護学校に課外授業を行ったりもした。時を同じく、アルフォンス・デーケン氏が『死の準備教育』を唱えていた。
1986年、柏木哲夫氏が「ホスピスケア」に関する著書を出され、山崎氏は直感的に「これだ!」とひらめき、朝日新聞に「もっと多くのホスピスを」と論壇記事を投稿した。そして1988年、デーケン氏らと一緒に、アメリカのキューバー・ロス氏を訪ね、「安楽死を望まれた場合、どうしたらいいのか」を聞き、ロス氏は「安楽死を望むのは、皆さんのケアが少ないから」と答えている。ホスピスケアには、身体的、精神的、社会的苦痛とスピリチュアルペインが存在する。当時、スピリチュアルペインを「宗教的苦痛」と訳されていたが、「他の3つをしっかりやれば、自然とストンと落ち、スピリチュアルペインも解消できる」と教えてくれた。
ロス氏の手作りによる歓迎の宴で、クッキーも出され、山崎氏は、「このクッキーと南極の氷は、冷凍庫に入っている。最期の時に、この二つを使おうと大事に取っている」と話した。このことは、ロス氏とホスピスケアと出会いが、山崎氏にとってどれほど衝撃的な出来事だったかが伺えるエピソードであろう。

◎病院で死ぬということを発刊してから

事務をやって下さっていた鈴木さんが、30代で乳がんになり、同じく40代で肺がんになった方とそれぞれの思いを語りあったものを本に出来ないかと出版社に掛け合ったところ、主婦の友編集者木村さんから、「自分のことを書いてみないか」と持ちかけられ、何度も何度も書き直しをし、書いたものを1カ月熟成させ、そして感情を消して、原稿に仕上げていく作業をしていった。それが、ベストセラーになった『病院で死ぬということ』だった。本を出したことで教授にご迷惑をおかけしないか心配だったが、教授から「いい本を書いた」と『公認』を頂き、2刷からあとがきに寄せて頂いた。
その後、山崎氏は、聖ヨハネ会桜町病院ホスピスへ移り、日本のがん医療を変えていき、ホスピス緩和ケアを全国に広める啓蒙活動や研究を次から次に発表していった。ただ、ホスピス緩和ケアを極めれば極めるほど、何故、がん患者(エイズも対象になっている)にしか提供できないのか、診療報酬がつくようになってホスピスの理念が置き去りにされて、ボランティもいない緩和ケア病棟が作られていくことに疑問を感じ始めていった。
そんな時、大熊由紀子さんに「ホスピスの中だけでいいんですか?」と言われ、大熊さんと一緒にデンマークやケアタウン鷹巣へ行くことで、もやもやしていた気持ちが、一気に晴れ、ケアタウン小平の構想になったと言う。このケアタウン小平の仕組みで、「新ホスピス宣言」が日本全国に生まれてほしい。

2012年7月31日火曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋 分科会②医療的ケアのある人を支える

NPO法人ピュア藤田敦子です。引き続き、9月1日の日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋の分科会についてお知らせします。
今回は、分科会② 医療的ケアのある人を支える ~法制化を踏まえて~

座長:千葉県医師会 副会長、土橋医院 院長 土橋正彦
1.厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官 高木憲司
2.鵜澤医院 院長 鵜澤龍一
3.在宅障害福祉サービス事業所 りべるたす 伊藤佳世子
4.医療法人聖徳会 小笠原訪問看護ステーション 看護部長 木村久美子

 平成24年4月から、「社会福祉士及び介護福祉士法」が一部改正され、一定の研修を受けることにより介護職員等が吸引等の一部の医療的ケアを実施することが可能となりました。しかし、これらの医療的ケアの位置づけは、あくまでも「医行為」であります。だからこそ、これまで実質的違法性阻却として容認されてきた医療従事者以外の者による「医行為」について、一定の研修や医療連携の義務付けを法整備することにより、これらの行為が可能となりました。患者さんの安全快適な在宅生活を守るためには、医療職と介護職がそれぞれの役割を果たし、お互いの専門性を尊重することが重要となります。

 この制度は、医師が、医療職ではない介護職員等に指示をし、日常生活を維持するために必要な医行為を実施させるという意味では、我が国で初めてのことですから、実務上の役割分担や不測の事故時の責任所在などについては、これから現場での経験を蓄積していく中で明確にして行かなくてはならないことと考えます。

 現場では、責任の所在が明確ではないなどの理由により、関係する医療職や介護職が消極的な対応になっている状況があるようです。この度の法改正の理念を共有し、患者さんのニーズを理解し、その立場に立って、どの様にしたら現場で上手くこの制度を運用できるかという視点で推進して行くことが求められます。法律の運用には、個々の在宅ケアの現場で患者さんと家族、医療職、介護職で意思の疎通を十分に行い、法令を遵守した上で「現場での約束」を共有することが重要となります。法制化されてから、それぞれの職種の役割の配分については、ケア会議で十分に話し合いをする必要があります。患者さん、家族、医療職、介護職、その他関わる人たちで役割をしっかり話し合うことにより、責任ある役割分担ができるものと考えます。

 本分科会では、最初にこの度の法改正の趣旨を理解するために、厚生労働省の高木憲司専門官から制度の概要を解説していただきます。さらに、医師、介護職、看護師でありトータルヘルスプランナーである方にそれぞれの立場からお話をいただき、この制度をより良く運用するための課題を提起していただきたいと考えております。

分科会全体は、こちらで確認ください。事前申し込みは、7月31日で終了しました。お問い合わせは、hha15funa*gmail.com(*を@小文字にしてくださいね)。当日も可能です。日本在宅ホスピス協会はこちらから

2012年7月29日日曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋 分科会①独居の看取り

在宅ホスピスに従事している医療・福祉・介護関係者の皆様

日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋より、9月1日(土)15:00~17:30に行われる分科会を紹介します。
まずは、分科会①「一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支える」1階講堂

座   長 穂波の郷クリニック院長 三浦正悦

事例発表
1.自治医科大学緩和医療講座    田實武弥
2.訪問看護ステーションあたご    安岡しずか
3.薬局つばめファーマシー       萩田均司
4.船橋市ケアチーム          高橋喜美ほか

 平成23年3月11日(金)、東日本大震災がおこり、東北地方を中心に地震、津波等により大規模な被害がもたされました。船橋市でも液上化が起こり、海沿いを中心に大きな爪痕を残しました。今後の高齢社会の中では、一人暮らしや介護力の低い人を地域の中で支えていく仕組みづくりが急務になります。

 穂波の郷クリニックの緩和ケア支援センター“はるか”では生活する地域を意識しながら、支える仲間達と“共に生きること”を大切にして、今日から明日へ“生きる力を育む”コミュニティ緩和ケアが展開されています。そのリーダーである緩和ケアコーディネーターは、どんな絶望的な状況にあっても、生命の素晴らしさと、人間的成長を信じて関わります。患者さんやご家族の心のつぶやきと苦悩を率先して気付くこと、そして本人の心の中の願いをすくいあげ、緩和ケアプロジェクトに組み入れていきます。その展開のプロセスには、地域の支援者も企画にあわせて共に歩む実践者になり、関わる人達の心に大きな感動と新たな気付きをつくりだします。一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支えるためには、コミュニティ緩和ケアで培ったコミュニティの介護力アップが鍵になると実感しております。

 この分科会では、各地域で行われている先駆的な取り組みを紹介し、会場と一体となって、取り組んでいる事例の紹介や問題の解決法、現状の課題や今後に必要なことを話し合いたいと思います。

 田實氏は、在宅医として関わった事例からコーディネーターの必要性を紹介しています。安岡氏は、病院や在宅医療、そして介護や福祉、住民の意識変革も含めて、様々な問題を挙げています。そして萩田氏からは、スピリチュアルな叫びを持つ若い独身男性の看取りと介護者のケアについての問いかけがあります。最後に高橋氏を中心に、ケアマネージャー、ヘルパー、自治会の方に、独居の方の看取りに関わった事例を発表して頂き、会場の皆様と話し合いたいと思います。

 今、一人暮らしや介護力の低い人を支える中で、地域の中で困っている皆様、こんな取り組みをしているとご紹介頂ける皆様のご参加をお待ちしております。

(文責 NPO法人ピュア代表 藤田敦子)

分科会全体は、こちらで確認ください。事前申し込みは、7月31日まで。お問い合わせは、hha15funa*gmail.com(*を@小文字にしてくださいね)。当日も可能です。日本在宅ホスピス協会はこちらから。

2012年7月24日火曜日

東大H-PACシンポジウム「医療を動かす、医療計画作りとは」

藤田敦子です。下記のシンポジウムで発表させて頂けることになりました。感謝です。
全国の在宅療養を送っている患者と家族のために、発言をしてきます。
医療計画や地域医療について関心のある方のご参加と応援をお待ちしております。

東京大学公共政策大学院「医療政策教育・研究ユニット」(HPU)主催
~医療政策実践コミュニティー(H-PAC) 第2回公開シンポジウム~
「徹底研究:医療を動かす、医療計画作りとは」
https://ppforum.jp/?action_entry=true&forum_id=145

日時: 2012年8月18日(土) 12:30~18:00 <12:00開場>
会場: 東京大学 本郷キャンパス内 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール
地図 http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html (赤門を入り右手)
地下鉄丸の内線 本郷三丁目駅より徒歩8分 / 地下鉄大江戸線 本郷三丁目駅より徒歩6分

2013年度から5年間の地域医療を方向づける、次期医療計画の検討が各都道府県で進められて
います。「5疾病・5事業および在宅医療の連携体制の構築」を具現化するために、今、どのよう
な考えで、どのような作業を実践し、どのような内容を計画に盛り込むべきか。昨年10月に開催
した第1回公開シンポジウムでの議論からさらに踏み込みます。11人の演者にご講演いただき、
国と地域の状況を共有のうえ、実際に医療計画作りを行っている方々にも多数ご来場いただいて
意見交換を行い、具体的アクションプランの導出につなげます。

*** プログラム ***
<演題は仮題です。一部、演題名、登壇順序などの内容が変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください>

開会挨拶 岩本 康志(東京大学公共政策大学院教授) 12:30-12:35
パート1 医療計画について 12:35-13:15
1. 新しい医療計画の方向 尾形 裕也 氏(九州大学医学研究院教授) [有識者]
2.厚生労働省医療計画通知のエッセンス 伊藤 雅治 氏(全国社会保険協会連合会理事長)
[患者支援者、政策立案者]
司会: 吉田 真季(東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット特任研究員)

パート2 良い医療計画の作り方 13:20-14:20
1.保険者からみた地域の特性データ 貝谷 伸 氏(全国健康保険協会理事) [有識者]
2.地域の現状を知る 高橋 泰 氏(国際医療福祉大学大学院教授)[有識者]
3.計画評価とPDCA 宮田 裕章 氏(東京大学大学院医学系研究科准教授)[有識者]
司会: 埴岡 健一(東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット客員教授)

~ 休憩 ~ 14:25-14:35

パート3 地域の立場から 14:35-15:35
1.≪事例1≫ 奈良県が考える医療計画 武末 文男 氏(奈良県医療政策部長)[政策立案者(行政・地域)]
2.≪事例2≫ 千葉県が考える医療計画 井上 肇 氏(千葉県健康福祉部保健医療担当部長)[政策立案者(行政・地域)]
3.≪事例3≫ 千葉県柏市が考える在宅医療 松本 直樹 氏(千葉県柏市福祉政策室長)[政策立案者(行政・地域)]
司会: 岩崎 賢一 氏(朝日新聞社記者)[メディア]

パート4 在宅とがんの計画の場合 15:40-16:40
1.地域に密着した在宅ケアの姿 武藤 真祐 氏(医療法人社団祐ホームクリニック理事長)[医療提供者]
2.がん対策推進基本計画と都道府県がん対策推進計画 鷲見 学 氏
(厚生労働省健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官)[政策立案者]
3.千葉県のがんの在宅ケアの推進 藤田 敦子 氏
(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表)[患者支援者]
司会: 本田 麻由美 氏(読売新聞社記者)[メディア]

~ 休憩 ~ 16:45-16:55

パート5 実践に向けて ~来場者と登壇者のディスカッション~ 16:55-17:55
司会: 埴岡 健一
閉会挨拶 17:55-18:00

※登壇者の肩書は2012年7月中旬時点のものです。
※本シンポジウムへのご参加にあたり、事前申込みをお願いします。(参加無料・定員450人;先着順)
参加ご希望の方は、こちらへ https://ppforum.jp/?action_entry=true&forum_id=145
※シンポジウムに関するお問い合わせは、こちらへ h.pac.jp.info@gmail.com

2012年7月22日日曜日

【日本在宅ホスピス協会】第15回全国大会船橋 大会長挨拶 (申込等詳細)

ご挨拶
第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋

大会会長  NPO法人ピュア代表    藤田 敦子
大会副会長 高木医院院長       高木 恒雄
実行委員長 板倉訪問クリニック院長  永谷 計

在宅ホスピスケアに従事している医療・福祉関係者の皆様

第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋へご参加頂き、誠にありがとうございます。
実行委員一同、皆様のお越しを心より歓迎申し上げます。

千葉県は首都圏の東側に位置し、太平洋に突き出た半島になっていて、人口は約620万人と全国で6番目に多いところです。日本の縮図とも言われ、安房圏域では、すでに3人に一人が高齢者であり、今後団塊の世代が高齢期を迎える平成27年には、高度成長期に開発された大型団地を中心に、老々介護や独居などが大きな問題になっていきます。

このような状況の中、多くの市民は「住み慣れた住居にずっと住み続けたい」という希望を持っており、千葉県が平成19年度にがん体験者・家族を含む県民に行った調査では、「終末期に自宅で過ごす」ことを希望した人の割合は、48.3%もありましたが、がん患者の在宅死亡率は、8.8%に過ぎません。どうしたら、市民の願いを叶えることができるのか、そのことを全国大会に集うホスピスケアを提供する皆様と一緒に考えていきたく、今回の大会のテーマを「地域包括で支える在宅ホスピスケア」にしました。

9月1日は、患者の願いを叶えるために何を行い、どうチームを組んでいくのかを話し合いたいと思っています。ホスピスケアの中で大事な「患者の意思の尊重」「チームアプローチ」「コミュニケーション」そして「家族ケア」について深めて頂き、午後には「一人暮らしへのチームケア」「医療的ケア」「褥瘡ケア」「リハビリテーション」と在宅ホスピスケアを4つの切り口にわけて、ただ講義を聞くだけでない、会場の皆様とともに、より良いケアを求め、大いに議論をしたいと思っております。

翌9月2日は、各分科会からの報告の後、「いのちの不思議さ~家をホスピスに~」と題し、顧問である柳田邦男氏と協会長の小笠原文雄氏による講演(市民公開講座)がありますのでご期待下さい。

また、8月31日ウェルカムパーティ、9月1日懇親会、恒例の交流会では、在宅ホスピスに情熱を傾けている方々相互の交流を図りたいと思います。オプションには、太宰治ゆかりの宿玉川旅館で古き良き時代をなつかしみながらゆ(湯)ったりして頂き、市内に残る史跡や名所めぐりでお楽しみください。少し足を延ばせば、話題の東京スカイツリー見学も総武線快速15分で行くこともできます。研修の後、夜景を見に行かれませんか?

2年前に小笠原協会長より、全国大会開催のお声がかかり、千葉県の役員である藤田と伊藤が話し合い、船橋の地で先駆的に医療・介護・福祉関係者の顔の見える関係を築いてこられた高木先生、永谷先生に助けて頂きながら、実行委員のみんなで準備を重ねてまいりました。千葉県、船橋市、関係者のご協力も頂いての開催です。

心から、皆様のお越しをお待ち申し上げております。

全国大会は、下記、大会チラシを参照のうえ、協会HPよりお申込みください

参加費は、7月31日までの事前申し込みで、
医師・歯科医師・薬剤師 協会会員2000円 非会員4000円、
他メディカル・福祉関係・学生 協会会員1000円 非会員2000円。
当日受付あり。参加費は1000円アップ。
8月31日・9月1日の懇親会は各6000円です。

分科会についてはこちらも参照ください。参加申し込みは、申込書を参照のうえ、氏名、職種、所属、連絡先(自宅・勤務先等)住所・TEL/FAX/メール、研修会・分科会・市民公開講座・オプショナルツアーの参加有無、寄付等を含めた合計額を記入し、事務局へ。オプショナルツアーは、太宰治ゆかりの宿玉川(入湯料・昼食付き)3000円[大会特別企画で普通はお受けしておりません。限定20名]、他に船橋史跡・名所めぐり散策、東京スカイツリー自由見学があります。
入金を頂いた時点で登録完了です。8月上旬に抄録集等を送付します。
振込先は 京葉銀行船橋支店普通8646521 加入者名 第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋 大会会長 藤田敦子  ご寄付もお待ちしております。

事前申込事務事務局(りべるたす)は、FAX043-497-2127 メール hha15funa*gmail.com(*を@半角にして送信ください)。7月31日までお受けします。以後は当日会場へお越しください。なお、会場であるクロス・ウェーブ船橋は宿泊付きの会場です。シングル9817円、ツイン7507円、朝食1386円でお受けしております。事前申し込み時に一緒にご用命ください。

8月1日以降のお問い合わせ先は、大会事務局 〒273-0005船橋市本町2-1-10板倉病院地域連携室内 TEL047-436-0908、メールは共通です。hha15funa*gmail.com(*を@半角にして送信ください)。

市民公開講座は、医療・福祉関係者以外に一般市民へ無料で公開しています。左記、チラシを参照のうえ、お申込み下さい。8月1日より申込開始致します。市民公開講座の申込専用FAXは、FAX047-495-9555。住所・電話番号・参加者全員氏名をお書きの上、お申込みください。定員200名に達した時点で締切し、参加不可の方のみご連絡を致します。

2012年7月7日土曜日

認知症政策を変えた番組制作 NHK川村雄次さん

NPOピュアの藤田敦子、院生モードです。
各国では、ホスピス・緩和ケア(主にがん)から、高齢者などすべての人のラストについて、すごい勢いで研究が進められています。2009年にイギリスでは「認知症と共に、よく生きる」(living well with demenntia)がスタートし、国家戦力として認知症の5か年計画ができました。そして、日本でも、認知症対策を180度転換する「認知症になっても住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けられる社会の実現」を目指し、報告書が厚労省プロジェクトチームより発表されました
施設重視の日本の中では、下記の番組がなければ、実現できなかったと思います。すごいです。

認知症の当事者の声を社会に発信し変える 川村雄次さん

〇認知症の人から見た世界

認知症になると何もかもがわからなくなると、家族やケア従事者にお任せだったのを、一人のデイレクターが変えていった。川村さんは、2003年から認知症に取り組み、クローズアップ現代で「痴呆の人 心の世界を語る」と、認知症本人が、本人の視点で医療・ケアに求めるものを語る番組を作った。

その番組の主人公であるクリスティーン・ブライデンさんが、とにかくすごい。46歳の時に認知症の診断を受けて、「残された時間が一年でも楽しい時間になるよう」にと、結婚相談所を訪ねて結婚!。そして、心の内を本音で話し、本人が求めていることへの支援を訴えていった。認知症の初期は、本人も忘れていくことへの恐怖や恥ずかしさがあると聞いたことがあったが、まさに「アイデンティティの危機」があり、彼女はその状態を「霧につつまれて生きる」と表現している。自分が自分でなくなっていく恐怖の中で、治る治療にすがるのでなく、下り坂をケアを受けながら心豊かに生きたいと訴えていた。

認知症になりたくない、なったらすべてが終わりと絶望の中にいる人たちに彼女の笑顔や日常が映像を通して語りかけていく。書籍や講演とは違い、映像はリアルタイムに多くの人に伝えることができ、そして、感情のひだまでを伝えていくことができる。認知症のシリーズは、2003年に始まり、そして2009年と続けていき、社会に大きなインパクトを与えていった。

〇認知症とは、真の自己への旅人

クリスティーンさんの登場は、認知症の世界を変えていった。認知症の症状は、様々なものが一緒になり起こっていくが、世間の眼が「患者=治してあげないといけない対象」と追いつめていった。そこを変えていく。クリスティンさんは、〝患者“という言葉は大嫌いと言う。患者と言う言葉は、不完全で望ましくない差異を表し、海上寮診療所の上野医師は、「医師は患者として位置づけた時点で、自動的に管理優先、上から目線で医療者モードに入っていく」と言う。本当にそうだ。患者と言われた瞬間、すべて医療者にお任せで、しろうとは意見を言ってはいけない位置に置かれてしまう。自分の身体、自分の心のことなのに、ただのあやつり人形になっていく。

川村さんは、デイレクターの仕事から少し距離を置く仕事になってからも、裏えにしの会である「お福の会」の事務局になり、認知症になっても、人として生きていける道を探り続け、DVD認知症ケア全3巻を作った。認知症とは、「真の自己への旅」、それこそがスピリチュアリティであり、自己存在の旅なんだと思う。進行を遅らせる薬の開発もされて、認知症の人のために早期に関わる制度もできた。

点を線にそして大きな面に、川村さんの挑戦は続く。

2012年6月18日月曜日

エンド・オブ・ライフケア講座①7月8日(日)

NPO法人ピュアの会員の皆様

7月8日(日)に下記の「エンド・オブ・ライフケア講座①」を開催します。今回は、会員限定の催しです。お友達やご夫婦一緒に参加できるように、同伴者は可にしました。皆様、7月8日にお会いしましょうね \(^o^)/

エンド・オブ・ライフケア講座①
~あなたは、どこで、誰と、最後を過ごしたいと思いますか~

日時:7月8日(日)13:00~16:00(開場12:45)
場所:千葉大学福祉環境交流センター
社会科学研究科棟 3階)
話題提供
「病院で死ねない!って本当なの?」
NPO法人ピュア代表 藤田敦子

「サービス付き高齢者施設と地域拠点について」
生活クラブいなげビレッジ虹と風 施設長 日下直人

参加:ピュア会員限定 会員:無料 同伴者:1,000円
申込:ピュア事務局 メール npo.pure#gmail.com (#を@にしてくださいね)
FAX  047-448-7689
*当日、1階のカギが閉まっていたら、事務局TEL070-5554-3734へ連絡ください。

さて、NHKクローズアップ現代で話題になった「もう病院で死ねない。~医療費抑制の波紋~」をご覧になりましたか?この番組を見た私(藤田)は激怒しました。どうしてかというと、説明があまりにも少なくて、まるで国や医療者がすべて悪いみたいな印象を持たせますし、そもそも論、高齢化で医療費がどんどん膨れ上がっていくのは確かですし、退院支援という考え方が間違っていて在宅療養支援になっていないこと、救急車の扱いが極端すぎて誤解を与えること、そして何より、病院か、在宅か、それも急性期病院か、在宅かの二者選択になっていたことです。訪問看護師の紹介もありませんね。他にも、もっとたくさんあります。少し前の放送ならともかく、今、流す内容なのか・・・・・・と言い出したら、きりがありません。
それで、少しずつでも、会員の方に、「現状の理解」と「備えあれば憂いなし」を持って頂きたく、エンド・オブ・ライフケア講座の開催を始めます。今、話題になっている「社会保障と税の一体改革」でも、もっと正しい理解が必要だと思います。

今回は、今後、主流になっていく「ケア付き高齢者住宅」に焦点を当てました。ここに住みながら、医師や看護師、ヘルパーの訪問を受けていく形です。こういう複合拠点は、高齢者住宅の住人だけでなく、周辺に住む人にも、在宅医療とケアが届けられていきますから、その辺の仕組みをしっかりと学んでほしいと思います。この形は全国に広がっていきます。

せっかく大学院へ行き、修士「医療福祉学」を修め、わかりやすい情報発信力に磨きをかけてきました。ブログの中での「公」で発信するのとは違う形で、講座の中で会員の皆様限定につぶやいていきますね(笑)。

エンド・オブ・ライフケアについては、千葉大学看護学のホームページを参照ください。「最後の日々の痛みや苦しみが十分治療され、本人の望むとおりに過ごせ、遺族にはよい思い出が残るようなケア」と私は理解しています。専門的にはいろいろありますが、患者も家族も、「いい人生で良かった」と思えることは大事ですよね。

会員の皆様、7月8日に千葉大学でお会いしましょうね。

2012年6月13日水曜日

質の高い終末期を 生活の場で

NPOピュアの藤田敦子です。ちょっとだけ院生モードです。

昨年10月10日に、東京大学公共政策大学院 医療政策教育・研究ユニット(略称 HPU)の「医療政策実践コミュニティー」(Health Policy Action Community、略称 H-PAC)で発表させて頂きました。

パート2 地域医療計画編 ~高齢化時代の地域に根差した医療とケアをどう構築するか~
1. 新しい地域医療体制構築のための政策課題  武藤 正樹 氏 (国際医療福祉大学大学院教授,医療計画の見直し等に関する検討会座長)
2.超高齢化社会の地域医療ビジョン 高橋 泰 氏(国際医療福祉大学大学院教授)
3.実践から見る地域医療の課題  武藤 真祐 氏(医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック理事長)
【パネルディスカッション】
『新しい地域医療建設への工程表』
岩崎 賢一 氏(朝日新聞社記者)〔メディア〕
高橋 泰 氏〔政策立案者〕
藤田 敦子 氏(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表)〔患者・市民〕
武藤 真祐 氏〔医療提供者〕
武藤 正樹 氏〔政策立案者〕
コーディネーター:本田 麻由美 氏 (読売新聞社記者)


その時に発表した内容が、ホームページで公開されていた。

緩和ケア病棟の現状と課題
終末期医療の現状と未来
質の高い終末期を 生活の場で

この3つは、私の研究テーマでもありますので、詳細は書きませんが、ほんのさわり程度の解説を入れます。

緩和ケア病棟については、やっと医療計画の中に数値目標は入りましたが、その医療圏の人の受診の動向やケアへ移行するときの動きなどが分析されているわけではありません。がん登録の法制化が進まず、敵もわからず、計画を作っているわけで、今後の高齢者の増加に伴い、地域の中に、どれだけの資源が必要なのかも示さず、ただ数字合わせをしているだけです。
今後、急速な高齢化が起こる首都圏は、人口比に対し、圧倒的に支える医療が不足しています。まして、現状の緩和ケア病棟が、診療報酬の通りに、在宅療養の補完やレスパイト機能、地域ケア支援を行っているのか疑問があります。
デンマークへ行ったとき、緩和ケア医が言っていたのは、「どれだけ、地域訪問看護師を知っているかが大事」というでした。デンマークでは、看護師は民間の参入がないからかもしれませんが、緩和ケア医はケア付き住宅へも往診へ行ったり、アドバイスをしたり、とても重要な役割を持っていました。まあ、緩和ケア病棟自体が、病院の一部でない、地域の中に別建てでホスピスとしてありましたけど。

終末期医療の現状と未来では、がん診療連携拠点病院から同じような機能をもつ病院へ行っていて、何もわからないまま、救急車で病院へ運ばれている現状を伝えました。今は、救急を受けられるけど、これから、高齢者の数が増えれば、脳こうそくや心疾患など、一刻も争う人たちの数も増えてきます。救急を行う医師の数もベッド数も救急車も限られている中、救急と、患者側にとっては一大事だけどほかのやり方で問題を解決できるケースを考えなければいけない時代が来ると思います。未来を作るのは、医療と介護と行政と市民が、同じ目標を持って、自分たちの役割を果たすことだと私は思います。医療計画だけでは語れないけど、エンド・オブ・ライフケア計画とか、まあ、地域包括ケア計画とか、支える機能の充実のため、大きな視点が必要なんだと考えます。

質の高い終末期を 生活の場で と最後に語りました。デンマークへ行って感じたこと、見てきたことを話しました。日本では、緩和ケアというと、がんが主流になりますが、緩和ケアが大切にしている「チームケア」「患者の意思の尊重」「コミュニケーション」「家族ケア」が、認知症やほかの疾患の高齢者のために活かされていて、『国民が望む、自分らしい暮らしを最後まで守る』ことが実践されていました。「国民の75%が望んでいるのに、、まだまだです」と言われた緩和ケア医の言葉が印象に残りました。また、多職種をつなぐために、ITが重要な役割を持っていて、本人もそのデーターを見ることができることに、「患者の意思の尊重」の精神を見た思いでした。
個人主義だと誤解をしていましたが、ターミナル期には、家族が動揺するので、家族をしっかりと支えるのも、緩和ケアの役目ですという言葉に、「そうそう」とうなずいていました。

『自分らしく最後まで生きたい、暮らしたい」。その願いの実現のためには、何が必要なのか、答えを見つけられるよう、院生として研究をがんばります。そして、ピュア代表としては、少しずつでも、ケア従事者の皆様と一緒に、実践していきます。


2012年6月6日水曜日

【日本在宅ホスピス協会】第15回船橋全国大会分科会速報

在宅ホスピスケアに従事している医療・介護関係者の皆様

2012年9月1日(土)2日(日)に開催します第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋の続報です。
9月1日は、医療・福祉従事者の方向けに、研修・講演会・分科会を企画しております。
お申込等は、日本在宅ホスピス協会のホームページより、お願い致します。
(一般の方は、9月2日の市民公開講座のみのご参加となっておりますので、ご了承下さいませ)

分科会についてのご連絡です。まだ、変更がでるかもしれませんが、申込をされるときの目安にしてくださいませ。会場の定員数が限られていますので、なるべく事前申込をお願い致します。分科会によって、進行が違いますが、ただ講演を聴くのではなくて、会場と一体となって、討論をしたいと思っています。日頃、悩みを抱えている方にとって、役に立つようにと願いを込めて、企画しました。

分科会① 一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支える
座   長 三浦正悦(穂波の郷クリニック院長・宮城県)

事例紹介 
田實 武弥(自治医科大学 医師・栃木県)
安岡しずか(訪問看護ステーションあたご・高知県)
萩田 均司(薬局つばめファーマシー・宮崎県)
船橋市ケアチーム

2日報告者   大石春美(緩和ケア支援センターはるか・宮城県)
総合司会 藤田敦子(NPO法人ピュア代表・千葉県)

分科会② 医療的ケアのある方を支える~法制化を踏まえて~
座   長 土橋 正彦(土橋医院 院長・千葉県医師会副会長)

基調講演 高木 憲司(厚生労働省障害保健福祉課 障害福祉専門官)

医師の立場            鵜澤龍一(鵜澤医院 院長・千葉県)
ヘルパーの立場          伊藤佳世子(りべるたす・千葉県)
看護師・在宅コーディネーターの立場 木村久美子(小笠原内科看護部長・岐阜県)
*一部、発表者を変更しました(6月30日)

2日報告者 杉山宏之(ミヤマ薬局・千葉県)

分科会③ がんターミナル期の褥瘡ケアのあり方を考える
座   長 吉澤 明孝(要町病院副院長・東京都)

永谷 計(板倉訪問クリニック院長・千葉県)
大津眞由美(船橋市立医療センター、WOC認定看護師・千葉県)
平野綾子(セントケア㈱訪問看護統括係長・東京都)
鈴木ひとみ(アースサポート㈱本町在宅介護センター・千葉県)

2日報告者 発表者から

分科会④ 在宅ホスピスにおけるリハビリテーション
座長&講演 安部 能成(千葉県立保健医療大学准教授・千葉県)

西尾 玲子(のぞみの花クリニック理学療法士・千葉県)
佐治 暢 (東大宮訪問看護ステーション作業療法士・埼玉県)
岩城 基 (要町病院 理学療法士・作業療法士・千葉県)

2日報告者 松川 基宏(船橋市訪問看護ステーション理学療法士・千葉県)
*発表者を変更しました(7月21日)

以上です。

*************************************

日本在宅ホスピス協会全国大会に関するすべての投稿はこちらから

5月23日 会概要は、地域包括で支える在宅ホスピスケアを参照ください。

7月22日 大会長挨拶を追加しました。大会チラシ、市民公開講座チラシ、申込方法も記載してあります。


2012年5月29日火曜日

【朝日新聞】がん 絆で癒やす 県内各地に患者サロン

朝日新聞2012年5月28日朝刊千葉に、船橋がんサロンの記事が出ました。がんサロンの意義や重要性がしっかりと書かれていて、とてもいい内容です。記者さんがピュアへ来られた時に、「県内には同じようなサロンはありますか?」と聞かれたので、匝瑳市民病院の取組みや、県が行っているピア・サポーターについてお知らせしました。さすが記者さん、取材に行かれたのですね。良かった。
ただ、「家族以外、誰にも自分ががんになったことを言っていない」と言われた参加者が、一番、顔がわかる位置に座られていて、仕方なく、顔がわからない、下を向いている写真が載ってしまいました。う~~~ん、なんで、みんなうつむいているんですかね~。笑顔でいっぱいの写真を載せたかったです・・・・。でも、がん患者の揺れる心をわかって、と記者さんにお願いをしたのは私です。今度、取材を受けるときは、この記事を見せて、顔が出る席に座っている一人ずつに確認をしますね。でも、朝日新聞の記者さん、ご配慮、ありがとうございます!

ピュアでは、がんサロンを使いたい、作ってみたい人向けに、がんサロンの手引きを作成し、500円で頒布しています。FAX047-448-7689へお申込くださいね。

ピュアが行っている船橋がんサロン「ここにおいでよ」は毎月第2月曜日(祝祭日は日程確認ください)に、船橋市中央公民館で開催しています。いつも15~20名集っています。部位も期も問いません。助成金で運営しているので、会費もいりません。ただ、椅子に座り輪になって話をするだけなのに、ほっとできる場です。会員制でもないので、自分の都合のつく時の参加で大丈夫ですよ。お気軽にお越し下さいね!


平成24年5月28日朝日新聞朝刊 千葉

がん絆で癒やす 県内各地に患者サロン

悩み打ち明け、笑顔に

がん患者らが集って不安や悩みを打ち明けたり、情報交換をしたりするサロンの設立が県内で相次いでいる。県も今年から、がん経験者が努めるサポーターを交えたサロンを始めた。

「がんの再発を言われた時、普通の精神状態でいられなかった」「同じ人生なら、楽しく生きないと損だと思った」―――。がん患者や家族ら15人が集まり、抱える悩みや実体験を赤裸々に語り合った。

NPO法人「千葉・在宅ケア市民ネットワーク ピュア」主催のがんサロンが14日、船橋市の中央公民館であった。この日、初めて参加した人からは「セカンドオピニオンで診てもらった人はいますか」という質問も。最後に世話人で直腸がんの本村幸広さんが「がんを時々忘れて一日でも長く生きていきましょう」と声をかけて締めくくった。

このサロンは、患者や家族なら誰でも自由に参加できる場をつくろうと、2010年5月から、毎月第2月曜日に開いている。ピュアの藤田敦子代表は「最初は悩んで暗かったが、笑顔になって帰っていく人たちもいる。自分の気持ちを同じ境遇の人に知ってもらうことで立ち直るきっかけにもなる」と話す。

ほかに、闘病医師が相談乗る(国保匝瑳市民病院「がんお悩み相談サロン」の冨田伸医師の話)、県も経験者招き開催(千葉県の取組みや千葉県がんセンターで行っているサロンのこと)が記事に載っていました。

私の夢――千葉県中に、がんサロンの輪ができるといいな。「あなたはひとりじゃない。ここにおいでよ!」。船橋がんサロンのメンバーが、待っています。
次は、6月11日(月)、7月9日(月)、共に船橋市中央公民館、10時~11時半です!


2012年5月26日土曜日

【千葉県】我孫子聖仁会病院緩和ケア病棟6月オープン

NPO法人ピュアの藤田敦子です。

千葉県・我孫子市に新しく我孫子聖仁会病院緩和ケア病棟が6月1日にオープンします!
病棟見学会がありましたので、報告します。

JR常磐線天王台駅で降りて、北口より、「川村学園女子大学・大和団地行き」に乗り、「NEC日本電気前」で下車、右側に我孫子聖仁会病院があります(または、南口より、病院の送迎バスがあります)。

緩和ケア病棟は、一番右側の南館(3階建て)の3階に出来ました。南館1階からエレベーターで直接病棟へ行けます。
緩和ケア病棟の特徴(パンフレットより)
緩和ケア病棟では、積極的な抗がん剤治療や延命治療は行いませんが、医師や看護師をはじめ様々な医療スタッフが協力し、患者さんとご家族の様々なつらさに対応いたします。そして、患者さんの意思を尊重するとともに、その人らしく穏やかに過ごせることを目標にします。ご自宅で過ごすことを希望されれば在宅療養のお手伝いもいたします。当院の緩和ケア病棟では、がんのつらさで入院を希望される成人のがん患者さんを対象としています。ここでは、24時間面会できますし、家族の方が一緒に泊まったり、病棟内で簡単な料理を作ったりすることも可能です。

病室整備(パンフレットより)
全て個室で、共通の整備として、電動ベッド、車椅子対応トイレ、洗面台、テレビ、冷蔵庫、セーフティボックス、収納家具などを備えております。
特室A
畳敷き上がりかまちがありご家族の方がお泊りになることができます。

特室B(写真)
ソファベッド、オットマンがありご家族の方がお泊りになることができます。

一般個室(写真)
リクライニングチェア、オットマンがあり、ご家族の方が休憩することができます。

家族室
畳敷きのご家族の方の控室です。シャワーがついており、宿泊可能です。必要時は看護師にお申し出ください。

中庭に面した所に、ラウンジ(写真)があり、友人や家族とゆっくり歓談できます。他に、身体の不自由な方でも入浴を楽しめる特別浴室、患者さんやご家族が食事を温めたり調理ができるキッチン(写真)があります。また、
全個室20床のうち、差額なしの一般個室が10床、有料(1日7,350円)の特室が10床になっています。
料金は、入院日数により違いますが、平均的な30日以下ですと、70歳未満3割負担で1日15,171円(入院料14,391円+食事代780円)×日数になります。但し、上限額があり、上限額15万+(医療費-50万×1%)になります。また、70歳以上の方ですと、上限額が違い、1割負担の方で1か月上限額44,400円+食事代、3割負担で1か月上限額80,100円+(医療費-267,000×1%)に食事代がプラスされます。そのほか、差額個室代(特室の場合)やオムツ代(必要な方)がかかります。このように、料金は、保険の種類や負担割合により違いますので、説明をお受けになるときに、ご確認ください。

入院を希望される方は、紹介状・詳しい検査データが必要になりますので、まず、現在のかかりつけの主治医にご相談ください。また、初めに病棟見学をしていただき、その上で緩和ケア病棟への入院を希望された場合に、緩和ケア内科外来を受診していただきます。病棟見学、外来ともに、予約制になっていますので、日時の予約を下記にてお取りください。

【地域連携室】医療ソーシャルワーカー
電話 04-7181-1100(代表) 月~土(祝祭日を除く)9時~16時

緩和ケア病棟内の写真は、緩和ケア内科部長の野本靖史先生(写真)がお撮りになったものです。きれいに撮れていますね。やさしい先生ですから、安心してご相談くださいね。
野本先生は、「患者さんとそのご家族のことを第一に考え、素敵な緩和ケア病棟を作っていきます。また,我孫子の地の緩和ケアの発展に努力します。」と抱負を語ってくださいました。我孫子市は柏・松戸の東葛北部に位置していますが、どちらかというと印旛地域に近いなと感じました。また、土浦・取手など茨城県の方も利用しやすいかもしれません。

今、千葉県では、医療計画で、緩和ケア病棟の充実を図っています。現在は、千葉市、船橋市、柏市、木更津市、旭市にあります。また千葉市と南房総市に緩和ケアを提供する有床診療所があります。建設中の地域もありますから、随時アップしていきます。NPO法人ピュアの「在宅ホスピス相談(千葉県緩和ケア情報)」でご確認の上、ご連絡くださいね。

2012年5月23日水曜日

【日本在宅ホスピス協会第15回全国大会】地域包括で支える在宅ホスピスケア

日本在宅ホスピス協会の会員の皆様
医療・介護従事者の皆様

こんにちは。NPO法人ピュアの藤田敦子です。
超高齢社会を迎え、千葉県のがん患者の48%は在宅で最後まで生きたいと希望しています。全国でも同様に、少しでも長く普通の暮らしの中で生きていきたいと願っています。しかし、現在は、がん以外も含んでの在宅での看取りは、千葉県で14%、がんではその半分しか希望を叶えられていません。

おりしも、今年は、地域包括ケア元年、医療と福祉が連携し、患者と家族を支えるスタートの年。
がん患者と家族の願いを叶えるため、千葉@船橋で、医療と介護従事者のみんなで実行委員会を作り、力を合わせて、日本在宅ホスピス協会の全国大会を開催することにしました。

申し込みは、6月からスタートします。
日本在宅ホスピス協会のホームページから、チラシと申込書をダウンロードして頂き、メールまたはFAXでお申し込みくださいね。

8月31日(金)はウェルカムパーティのみです。
9月2日(日)は、市民公開講座をします。
ノンフィクション作家の柳田邦雄氏と協会会長の小笠原文雄氏の講演です。

9月1日(土)は、朝から研修・講演・分科会と盛りだくさんです。

「在宅緩和ケアが支えるもの-管理された闘病を家族との暮らしに変える―」
藤本 肇氏(ふじもと在宅緩和ケアクリニック院長)

「ケア従事者のための臨床倫理学・死生学-高齢者の意思決定をめぐって-」
清水哲郎氏(東京大学 死生学・応用倫理センター特任教授)

「患者と家族の支援の観点から見た医療コミュニケーション」
木下寛也氏(国立がん研究センター東病院緩和医療科・精神腫瘍科 科長)

「患者の願いを叶えたい-地域包括ケアで支えるまちへ」
藤田敦子(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表)

「在宅ホスピス実践報告」&「遺族の体験談」
永谷 計(板倉訪問クリニック院長)ほか

講習会「口腔ケア」

分科会①「一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支える」
分科会②「医療的ケアのある人を支える~法制化を踏まえて~」
分科会③「がんターミナル期の褥瘡ケアのあり方を考える」
分科会④「在宅ホスピスにおけるリハビリテーション」

分科会については、発表者などを順次ご案内していきますね。

では、がん患者と家族を支えている皆様に、千葉@船橋でお会いできますことを楽しみにしています!



2012年5月20日日曜日

コミュニケーション・社会・幸せ 野沢和弘さん


NPOピュアの藤田敦子・院生モードです。
今回のお話は、毎日新聞論説委員 野沢和弘さんからお聞きしました。自閉症のお子さんとの会話や知的障害をもつ人の為にわかりやすい新聞を作った話など、今回も「発信力」を高めるために、多くを学べました。

◎世の中の理不尽を追求する

野沢さんは、毎日新聞に入社し、厚労省担当のキャプになった1995年に、転機となった薬害エイズ事件に出会いました。
当時、薬害エイズになったことは、世間にも内緒の時代でしたが、血友病患者のお母さんたちにインタビューをして記事にしていきました。最初は「なんで、そんなものを記事にするのか」と厚労省だけでなく、当事者のお母さんの中からも批判の声があがっていましたが、だんだんと世の名に伝わっていき、「自分は間違っていた。書いてくれてありがとう」と言われるようになりました。
次に疑問に感じたのが、茨城県で起こった知的障害者への虐待問題でした。当事者の証言能力を問われ、救うことができず、地元のメディアも書くことができないでいました。野沢さんは、「職をなげうってもやらなくては」と思い、デスクと相談し、年末の社会面に、今までどういう取材をしてきたか、放置されてきた現状を書きました。すると、全国の読書からFAXが届き、記事に反対していた上層部も、もっと書くようにと変わっていきました。

◎自己選択・自己決定のための情報保障

90年代後半に入り、社会が措置から契約、介護保険、支援費制度と変わっていき、自己選択・自己決定の時代になっていきました。選ぶためには、情報、体験、判断能力、交渉能力が必要でした。スウェーデンなど北欧では当事者主義と情報保障がなされていることから、野沢さんは、知的障害者のための新聞「ステージ」を出すことを提案しました。大赤字になることをふせぐため、新聞記者は無料にし、他に編集委員に知的障害の本人、福祉職員・育成会職員が加わり、年4回発行していきました。
野沢さんは、「難しいことを難しく書くのはやさしい。難しいことをやさしく書くのは難しい」と言います。知的障害・発達障害は、比喩や婉曲的な言い方がわからない、文脈を読んだり、相手の気持ちを推測するのが苦手で、「ネコの手も借りたい」と言われ、本当に猫を探しに行った人もいました。記事は、知的障害者にもわかるように、長い文章、複合文、難しい漢字、ひらがなだけ、二重否定、比喩、抽象的な語彙、専門的な語彙、省略をやめていきました。

◎心の奥の無意識に働きかける

野沢さんは、取材者の生い立ちから入り、相手の内面(人生)にコミットし、「こういう人生を歩んできたんだな」と思った時に、初めて相手の言葉が落ちてくると言います。取材者と「共同作業」を行い、質問と答えが繰り返されていくことで、「無意識」が「意味付けされた言葉」に変わっていき、それが記者の中にストンと落ちてきた時、取材者の言いたかった「ことば」になっていきます。
目が見えない、耳が聞こえない東京大学教授の福島智さんは、「コミュニケーションは手段に過ぎず、目的にはならない。ことば以外の肩を触る、手を握るということでもいい。重要なのは、手段ではなく目的の部分、つまり相手が、うれしいのか悲しいのかという感覚を大事にすること」だと言います。
言葉の奥の無意識に働きかけるための手段は、音楽だったり、芸術だったりします。取材する側の記者の価値観、一般の国民の価値観で判断するのではなく、「感情的な心の交流で豊かな、やわらかく、ゆるやかに感じるか(福島さん)」そのことが大事なことであり、障害の有無でなく、社会がそう感じられるかどうかが、今、問われているのでしょう。

◎とことん向き合い、社会を動かす力に

講義の最後に、野沢さんは、最初の仕事だった「代理母」の記事を出してきました。1992年に始まった代理母のことを、どんどん記事にしましたが、1996年に、T病院でステロイド剤の「適応外使用」があり、三つ子を妊娠していたA子さんは植物状態になり、胎児である三つ子は死亡しました。
「自分の仕事(記事)でこんなことになった」と思った野沢さんは、植物状態になった奥さんの病室にずっと泊まり込み看護する工藤さんに、ずっと向き合い、毎年暮れにそば屋で一杯やりながら、語り合ってきました。奥さんが亡くなる直前に工藤さんが綴った日記は、「あい・らぶ・ゆー 眠り続ける君へ」と言う本になり、そのことを野沢さんは、「散歩道」2001年1月19日に記事にしています。
このことは、長い年月を経て、とことん取材者に向き合って、取材者の心の奥の叫び、伝えたいことが野沢さんの心の中に落ち、野沢さん自身が納得できる「意味付けされたことば」として、世の中に発信することができた瞬間でもありました。グリーフケアを勉強している私から見ると、今回の記事は、大事な人を亡くした遺族が、傷つきながら成長し、新たに生まれ変わる過程に付き添うケア者のように思えます。

そして、今回の講義を受けて、ジャーナリストは、声なき声を社会へわかりやすく発信していくことで、社会へ問題を投げかけ、社会の意識を動かし、本物の「幸せ」を感じられる社会に変革する、大きな役割を担っているのだと感じました。

講義資料(PDF)大熊由紀子教授HP ゆき・えにしネットから
*倫理と変革の部屋に入ってください

2012年5月9日水曜日

高齢社会の問題解決を紐解く 武藤真祐さん


NPOピュアの藤田敦子です。大学院生モードです。

今回は、医療法人社団鉄祐会 理事長 武藤真祐さんから「戦略コンサルティング集団での経験が活きる」という講義の内容を、藤田流でまとめました。講義を受けた人の主観が入りますので、ご了承くださいね。

『あるべき姿を定めることが、問題解決手法の基本』

医療法人社団鉄祐会 理事長 武藤真祐さんから

◎侍医からコンサルタント、在宅医療へ

武藤さんは、東京大学医学部を卒業後、循環器内科へ入局、そこで金澤一郎先生、黒川清先生、矢崎義雄先生、永井良三先生とすばらしい4人のメンター(人生の師)に出会いました。推薦で侍医を務めた後、「社会の課題を解決したい」と戦略コンサルティング会社「マッキンゼー&カンパニー」へ突然入社し、課題解決の手法を学びました。そして2年後、2010年1月に文
京区で在宅医療診療所を開設し、翌2011年5月に、高齢者の孤立を防ぐ社会システムを創りたいと、一般社団法人「高齢先進国モデル構想」の活動を開始しました。

また、東日本大震災の支援で訪れた石巻市の悲惨な状況を改善したいと同年9月に石巻市に診療所を開設し、被災地と都市部で高齢者の健康と生活を守っています。今回の講義では、医師を一度離れ、「自分の生きる道」を「在宅医療」に見いだした武藤さんから、「問題解決の手法」を学びました。*参考資料:秦充洋氏作成

◎問題の本質を探る「ロジカルシンキング」

問題を解決するためには、「問題」となっていることを的確に見つけ出すことが大切で、ここが簡単のようで難しい。一見、問題のように思えても、本質的な解決へつながらないことがある。まず、「あるべき姿(ゴール)」をきちんと考え、「課題(what)を特定」、「原因(why)を究明」、「解決策(how)を立案」と進んでいく。この時に大切なことは、「問題」から、いきなり「解決策」を導くような場当たり的な対応を行わないことである。問題を深く掘り下げていくことにより、真の問題にぶつかり、そこから細かな原因を究明し、解決のためのアイデアを複数で出し合って、一つずつ個別的な解決策が生み出されていくのである。

また、問題から課題を見つけ出すためには、いくつかの「切り口」に分けて考えていくことが大切であり、この「切り口」は次のアクションにつながるものでなければならない。分解するポイントは、下位の論点が上位の論点を説明し、横方向は同じレベルがモレダブりなく並ぶ「ロジックツリー」であり、定めた軸に従ってMECE(ミーシー、個々に見てダブりがなく、全体的にみてモレがないこと)に分解すること、また、「計算式」や「プロセス」、「マトリクス」などフレームワークを定めていくとモレがない。一般的に使う「5W1H」や「戦略の3C」なども有名である。

◎いくつもの引き出しから答えを紐解く

個々の課題が特定されたら、課題に至る因果関係を解明するため、「仮説」を立てて、そこから「検証」を行っていく。この検証を行う段階で大事なことは、「なぜを最低5回繰り返す」ことであり、現場感があって具体的なものや実際のアクションにつながっているものが、良い「論点深掘り」と言われている。
原因を究明したところで、ブレーンストーミングでたくさんアイデアをだし、自分だけでなく、複数の人の力を借り、フレームワークを使いながら、「解決策」を導き出していく。この時に、「過去志向」でなく「未来志向」で訊いていき、打ち手を一緒に考えていく。わかっている事やすでにある議論をもとに整理をしても、ただの「整理学」で終わってしまう。MECEなフレームワークを組み合わせて問題を分解することにより、真の原因や思いもよらない発見が隠されていることがわかる。

結局、問題を解決していく難しさとは、「あるべき姿」が間違っていたり、イメージができていない、「現状」の認識・分析ができていない、偏った「解決策」で視野・発送が狭窄することであろう。「自分の立場」、「現状」からの思い込みからは何も生まれてこない。「固定観念」を解き放ち、無意識の「前提条件」にチャレンジしてこそ、問題を解決することができるのである。

◎リーダーシップの旅へ

武藤さんは、マッキンゼーに入り、人生を決める大事な本「リーダーシップの旅」と出会いました。その著者であるISL代表理事野田智義さんは、「リーダーシップとは、多くの人にはまだ見ていないものを見て、新しい方向性とビジョンを打ち出し、人々を巻き込み納得させて実現に向かわせることである」と言っている。「コロンブスの卵」でわかるように、成し得る前には想像もつかない、不可能に思えることが、事後には当たり前に思えること、つまり非連続を飛び越えていくことに他ならない。

リーダーは、確たる価値観に基づく使命感、夢や情熱、さらにはプロフェッショナルとしての自負を持ち、「リード・ザ・セルフ」の旅に立つ。人を巻き込み、人を引きつけ、そして自分の夢を全体の夢に昇華する「リード・ザ・ピープル」となり、社会全体に広がっていく「リード・ザ・ソサエティー」となっていくのである。リーダーとは、人を率いる者ではなく、いつの間にか人が自発的に付いてくる人間のことを指す。人々を飴とムチで動かすのではなく、人々の内在的な意欲に基づく行動を誘発するのである。ただ、付いてくる人(フォロワー)が多くなると、マネジメントとリーダーシップは近似し始めてくる。「利用された」と感じ、離れてくる人も出てくる。鍵となるのは、「自分が人をリードする」のではなく、「自分が人に助けられ、その結果、より自分をリードできるのだ」という意識の進化である、と野田さんは言っている。

武藤さんは、自らの内なる声を聴き、「困っている人を救いたい」「団塊の世代がボロボロで死んでいく社会の課題を解決したい」と立ち上がった。今、武藤さんの旅は始まったばかり。問題解決の手法は、知るだけなく、使いこなしていくからこそ、意味が出てくるのである。私も、野田さんの講義を前に聴いたことがある。今回、武藤さんから問題解決の手法を伺い、また人柄に触れて、武藤さんの「リーダーシップの旅=住み慣れた地域で自分らしく生きれる社会システム」の行方を、これからも見つめていきたいと思っている。

2012年5月4日金曜日

がん患者と家族の集い 船橋がんサロン5月14日

NPOピュアの藤田敦子です。

2012年5月の船橋がんサロン「ここにおいでよ」は
5月14日(月)10時~11時半船橋市中央公民館第2集会室(4階)で開催します。
(船橋駅南口、バス道路を市役所方面、十字路渡りすぐ、駅より徒歩約7分)

部位を問わない、期も問わない、がんサロンです。
ただ会って、話をするだけですが
毎回、みんな笑顔になって、満足感を持つことができています。

例えば、部位ですが
胃がん、大腸がん、咽頭がん、食道がん、甲状腺がん、肺がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、甲状腺がん、悪性リンパ種、皮膚がん、多重がん・・・と様々です。
期も様々で、5年生存率をクリアしたサバイバーから、進行がん、余命を言われた人、家族が緩和ケアや在宅ケア情報を求めてくる場合もあります。

それでも、みんなが一つになって、話をして、話を聴いて、ただそれだけなのに充実した時間が過ぎていきます。

助成金をもらって運営していますので、参加費はいりません。
予約も特別いりません。ただ当日は「お約束事」を説明しますので(守秘義務等)、開始15分前ぐらいに会場に来て頂けると嬉しいです。

でも、過去にも、迷って、迷って、そして一歩を踏み出した人を、何人も見てきました。会員制でもありませんので、1回来たら、次から必ず参加しなくてはいけないなんていう制約もありません。あなたが来たい時にいらしてくださいね。

原則、第2月曜日に開催しています。
日程は、ピュアホームページに出しますので、必ず、日にちを確認してから、いらしてくださいね。

2012年4月25日水曜日

ミスター介護保険山崎史郎局長が語る「制度設計に必要なこと」

NPOピュアの藤田敦子です。ミスター介護保険と呼ばれている山崎史郎厚生労働省社会・援護局長のお話を伺いましたので、私なりにお話をまとめてみました。

山崎氏が厚労省に入省したのが、1978年。高齢化の波が日本へ押し寄せてきた時でした。その後、1990年代に介護保険制度に関わり、企画・施行・見直しと10年近く向き合ってきました。

オセロゲームのようだった介護保険成立

当時は、国民が介護に困っていて、誰も制度を作ることに反対しませんでした。でも、各論に入っていくと、反対意見が噴出しました。審議会を200回行い、朝から晩まで介護保険の問題点を考えつくし、1000人説明をして回りました。何度も、オセロの石が一斉に真っ黒になりましたが、ダメになりそうになると、市民団体が動き、現場や市町村もやっていこうという声があがっていきました。介護保険が成立したのは、「最初の段階で土台があった」ことだと言います。「介護保険を作り、介護を社会全体で支えていこう」という明確な考えがあったからこそ、法案後に起こった、「介護は家族が行うもの、保険料は取らない」という旋風が吹いても、オセロの石は、最後は真っ白になっていきました。

福祉・医療制度の設計に必要な「8の字」サイクル

30年近く厚生労働省で制度を作っていく中で、福祉・医療制度には2つの視点が必要だと山崎氏は指摘します。制度を考える時には、国全体の経済・社会システムの視点を持つ「鳥の目」が必要で、その一方で、支援を受ける人、支援をする人達の視点、現場と生活の視点である「蟻の目」が入らなければ、制度にならないと言います。また、どんなによくできた制度でも、実際に実施すると必ず問題が出てきます。一番の問題は、制度の排除、そして縦割りです。現場はこれを乗り越えようと様々な提案や取り組みが出てきますが、個人的な問題になってしまい、先生によってやり方が違い、前に進まなくなってきます。その中で、もう一度制度を見直していくことができる制度は、回っていきます。この「制度(政策)」と「現場(生活)」を結ぶことを「8の字」サイクルと言っています。

ジャーナリストの果たす役割

介護保険は最初から5年後見直しを入れました。今までに見直しを入れる考えがなかったので、通すのが大変でした。医療と福祉は、人が人を支えるものだから、社会も、現場も変わっていきます。制度ができて、実際に動いていくのに時間軸があり、数十年かかるのは当たり前のことです。やってみなければわからないこともあり、だからこそ見直しが必要です。そして、現場と国民の間、両者をつないでいく、回していくのがジャーナリストの役割だと思います。
内閣府参与だった湯浅誠さんが「霞が関と永田町に関わって初めて、そのブラックボックスの内部が調整と決定の現場であり、自分がその当事者になったことを知った」と書かれています(社会運動の立つ位置,世界2012.3)。「こっち側」と「あっち側」という考え方は、「8の字サイクル」になっていません。この制度(政策)と現場(生活)との交差点をつなぐ「プラットホーム」は、社会政策上きわめて重要なことです。

根本に変えるは、地道に積み重ねをしていくこと

官僚主義にはいいところもあるが、人事異動があり、パッションとか作った時の意識が伝わっていきません。学問は大事なことで、官僚はベースにして制度にしていくことはできますが、本質やケアは研究していかないとできません。それがないと受け皿は間違った方向へ行ってしまいます。福祉・医療の制度とサービスは時間軸がずれます。制度を作っても、サービスが追い付かないことがあります。特養の多床室の問題も、一旦多床室を作ったら、30年間、負の遺産になってしまいます。30年の利用者のことを考えなくてはいけません。地方はがんばりましたが、都市部は高齢者が増えたのに十分考えてこなかったので、これから考えても20年はかかります。深い政策を考えていかないといけません。現状は、10年20年前の努力の結果でもあります。
民主主義というのは、全部違う国民がいるということです。反対意見に納得してもらうために、一人一人に説明をしていくことのほうが早いと私は考えます。

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3時間近くお聞きしたお話をまとめるのは無謀ですが、私の強く印象に残った
お話をまとめてみました。介護保険ができたことは奇跡であり、それを動かし
ていったのは、情熱と地道な努力の結果ということを知りました。
「私たちの街は、私たち市民が作る」そこが大事だと再認識しました。がん患者
が安心して最後まで暮らし続けられる街を作るために、NPO法人として
がんばろうと、意を強くしました。がん末期の介護保険問題を追っていきます。

2012年4月5日木曜日

2012年4月、在宅医療・ケアの新たな夜明け


NPO法人ピュアの藤田敦子です。
私ごとになりますが、3月に国際医療福祉大学大学院修士課程を無事終えることができました。今まで知らなかった医療や福祉の動向や制度のこと、社会保障など、たくさんの講師から多くを学ばさせて頂きました。この修士の研究の中で「末期がん患者に対する介護保険サービスの提供に関する調査(厚労科研費事業渡辺班分担研究)」を行うことができました。

量的調査はやっていたのですが、質的調査は初めてのことだったので、前期に講義を受けて、後期にまとめるというハードスケジュールになってしまいましたが、がん対策推進協議会で発表することもでき、老健局とも、調査を行う前からアドバイスを受け、調査まとめ後も、引き続き、がん患者にとってより使いやすい介護保険にするべく、話し合いを行ってきました。

年度末でNPO法人としての総務書類に埋没されていますが、なるべく早い時間に、報告書をホームページ上にアップ致しますね。ただ、医療と介護・福祉とのつなぎの部分、人生のラストステージの部分を私のフィールドワークにしようと思い、4月から、博士課程に進学することにしました(画像は嵐の中の入学式)。それで、今回単発でなく、このホームページを見ると、がんの在宅療養について情報を得ることができるように作りたいな~と思っておりまして、ソフトは買ったのですが、なかなか進みませんね。う~ん、まずPDFでアップが一番いいのかもしれませんね(どうしようか、迷っています。トホ)

都道府県が作る医療計画の中に在宅医療が入り、これから全国で計画が策定されていきます。特筆すべきことは、市民や患者を入れて作りなさいと書いてることです。今日、予算が通れば、在宅医療の連携拠点が全国で100個決まるでしょうね。どうなるのかな、ワクワクしています。地域包括ケアも動き始めます。まさに、今年は在宅医療・ケアの新たな夜明けです。がん対策推進基本計画も装いも新たにします。

そんな大事な時に、在宅ホスピスの全国大会を船橋市で開催することは、私の持って生まれた「運」なのかもしれませんね。よい年となりますよう、がんばります。

せっかく大学院ですごい講義を受けますので、私ごとではありますが、今後、ブログで発信していきますね。ラベルは、「持続可能な福祉社会へ」になります。よろしくお願いします。

2012年3月30日金曜日

【東北大震災】よりそいホットライン-24時間悩み相談

NPOピュアの藤田敦子です。全国どこにいても、どんな悩みでもご相談に乗る24時間のホットラインができました。下記は、HPから代表理事のご挨拶を掲載しました。

一般社団法人 社会的包摂サポートセンター
昨年の10月11日に、仙台で1回線だけで始めた「よりそいホットライン」ですが、3月11日から国の補助金をいただいて、全国で受け付ける体制が整いました。

よりそいホットライン・・・0120-279-338(つなぐ、ささえる)

 「よりそいホットラン」は「どんな人のどんな悩みでも」受け付けて、一緒に解決を考える24時間の無料の電話相談です。いままで、このような形の電話相談はありませんでした。

 今までは、「どのようなことを相談したいか」によって、窓口が分かれていて、相談者が、「どこに相談したらいいか」知らなければなりませんでした。「よりそいホットライン」は、何でも相談ですから、「どこに相談したらいいか分からない」方でも大丈夫です。相談員がちょっとお時間をいただいたとしても、一緒に「どのようにしたらいいか」を考えていきます。そのために弁護士の方など専門領域の方のバックアップもお願いしています。

 悩みは、決して単独ではありません。皆さん複合した悩みを抱えておられます。私たちは、電話をかけてくださった方に「よりそって」、一つ一つ問題を解きほぐし、まずできることから一歩すすめるお手伝いをしたいと考えています。

 仙台でスタートしたとき、相談者の方から「相談員が優しい」というお言葉をいただきました。相談者の方の孤独を感じました。「社会的排除」は本当に進んでいます。「よりそいホットライン」が「排除から包摂へ」、誰もが「居場所」と「出番」を持てる社会となる役割を担えれば、こんなに幸せなことはありません。

 被災地に暮らし、医師として被災された方々を診療するなかで、そして3期12年市長として宮古市のまちづくりをしてきた者として、ホットラインは絶対にやらなければならない仕事だと思っています。

 理事の皆さん、運営委員の皆さんも本当に素晴らしいメンバーに集まっていただきました。どうぞ、一人でも多くの方に、0120-279-338(つなぐ、ささえる)の番号が届き、一人でも多くの方の悩みに答えることができますよう、ホームページを見てくださった皆さんもお力添えいただけるようお願い申し上げます。

熊坂 義裕
一般社団法人 社会的包摂サポートセンター
代表理事 (医師 前宮古市長)

2012年3月21日水曜日

【ピュア活動】2011在宅緩和ケアフォーラムの打ち上げ会


NPO法人ピュアの藤田敦子です。
昨日は、千葉大学福祉環境交流センターで、先日の在宅がん緩和ケアフォーラムの打ち上げ会を行いました。

総勢9名が集まり、それぞれ一品を持参し、ビール&ワイン&ソフトドリンクで、500名満席御礼!も兼ねて乾杯しました。

新年会定番の祝い寿司、ちくわの揚げおつまみ、野菜の煮しめ、いちご大福は手作りで、私は、生ハム、チーズ、スモークサーモン、イタリアンサラダ、ノンアルコールビール、冷たいビール、そしていちごを持参し、他にチョコやナゲットなどの持ち込みがありました。

しっかりとフォーラムの統括も行い、垣添さんを目指し、受付を通らずに会場へ殺到した人の為に、車椅子用の席にも椅子を並べたり、席を詰めて頂いたり、当日の誘導係からの話に、受付係も書籍係も目が点でした。
だって、受付には50部も資料が残っていたのですから。
次回は、受付と書籍をエレベーターの真ん前に並べて、在宅機器の業者さんには、奥のほうで席を作って頂くことにしました。

う~ん、このパターンでちゃんとできるかどうか…、今日の話し合いに参加したみんなの力が必要ですね。

私の役目は、500名の会場を満席にできる講師を呼んでプログラムを作ること。
来年に向けて(鬼が笑いそうですが)、始動しますね\(^o^)/

2012年3月14日水曜日

【日本在宅ホスピス協会】第15回全国大会船橋予告

NPO法人ピュアの藤田敦子です。
今、毎月1回以上、板倉病院に医療・福祉関係者が集まり、打ち合わせをしています。参加費、懇親会費、オプショナルツアーがあと少しで決定します。後援依頼も始めていきます。申込開始は6月ごろを予定、日本在宅ホスピス協会の皆様、そして関心を持って下さった皆様、もうしばらくお待ちくださいね!

*公益財団法人正力厚生会からの助成が決定いたしました!!

第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋
「地域包括で支える在宅ホスピスケア」

日時 2012年8月31日(金)~ 9月2日(日)
会場 セミナーハウス クロス・ウェーブ船橋

大会会長  藤田敦子:NPO法人ピュア代表、協会役員
大会副会長 高木恒雄:(公)船橋地域福祉・介護・医療推進機構代表理事
実行委員長 永谷 計:板倉訪問クリニック院長

9/ 1(土)
研修会 藤本 肇氏(ふじもと在宅緩和ケアクリニック)
清水哲郎氏(東京大学特任教授)
木下寛也氏(国立がん研究センター東病院)
講 演(大会会長藤田敦子)&在宅ホスピス報告(永谷計氏)
分科会 ①一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支える
②医療的ケアのある人を支える~法制化を踏まえて~
③がんターミナル期の褥瘡ケアのあり方を考える
④在宅ホスピスにおけるリハビリテーション
9/2 (日)
分科会報告   
市民公開講座「いのちの不思議さ~家をホスピスに~」
柳田邦男氏(ノンフィクション作家・評論家)
小笠原文雄氏(小笠原内科・協会会長)

*ウェルカムパーティ(8/31)、懇親会(9/1)あり
*オプショナルツアー(9/1午前中)あり
*市民公開講座は無料

主 催 日本在宅ホスピス協会
共 催 公益社団法人船橋地域福祉・介護・医療推進機構

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関連記事 ラベル 日本在宅ホスピス協会
5月23日 地域包括ケアで支える在宅ホスピスケア 申込スタート
6月6日  分科会速報