2012年7月31日火曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋 分科会②医療的ケアのある人を支える

NPO法人ピュア藤田敦子です。引き続き、9月1日の日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋の分科会についてお知らせします。
今回は、分科会② 医療的ケアのある人を支える ~法制化を踏まえて~

座長:千葉県医師会 副会長、土橋医院 院長 土橋正彦
1.厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官 高木憲司
2.鵜澤医院 院長 鵜澤龍一
3.在宅障害福祉サービス事業所 りべるたす 伊藤佳世子
4.医療法人聖徳会 小笠原訪問看護ステーション 看護部長 木村久美子

 平成24年4月から、「社会福祉士及び介護福祉士法」が一部改正され、一定の研修を受けることにより介護職員等が吸引等の一部の医療的ケアを実施することが可能となりました。しかし、これらの医療的ケアの位置づけは、あくまでも「医行為」であります。だからこそ、これまで実質的違法性阻却として容認されてきた医療従事者以外の者による「医行為」について、一定の研修や医療連携の義務付けを法整備することにより、これらの行為が可能となりました。患者さんの安全快適な在宅生活を守るためには、医療職と介護職がそれぞれの役割を果たし、お互いの専門性を尊重することが重要となります。

 この制度は、医師が、医療職ではない介護職員等に指示をし、日常生活を維持するために必要な医行為を実施させるという意味では、我が国で初めてのことですから、実務上の役割分担や不測の事故時の責任所在などについては、これから現場での経験を蓄積していく中で明確にして行かなくてはならないことと考えます。

 現場では、責任の所在が明確ではないなどの理由により、関係する医療職や介護職が消極的な対応になっている状況があるようです。この度の法改正の理念を共有し、患者さんのニーズを理解し、その立場に立って、どの様にしたら現場で上手くこの制度を運用できるかという視点で推進して行くことが求められます。法律の運用には、個々の在宅ケアの現場で患者さんと家族、医療職、介護職で意思の疎通を十分に行い、法令を遵守した上で「現場での約束」を共有することが重要となります。法制化されてから、それぞれの職種の役割の配分については、ケア会議で十分に話し合いをする必要があります。患者さん、家族、医療職、介護職、その他関わる人たちで役割をしっかり話し合うことにより、責任ある役割分担ができるものと考えます。

 本分科会では、最初にこの度の法改正の趣旨を理解するために、厚生労働省の高木憲司専門官から制度の概要を解説していただきます。さらに、医師、介護職、看護師でありトータルヘルスプランナーである方にそれぞれの立場からお話をいただき、この制度をより良く運用するための課題を提起していただきたいと考えております。

分科会全体は、こちらで確認ください。事前申し込みは、7月31日で終了しました。お問い合わせは、hha15funa*gmail.com(*を@小文字にしてくださいね)。当日も可能です。日本在宅ホスピス協会はこちらから

2012年7月29日日曜日

【日本在宅ホスピス協会】全国大会船橋 分科会①独居の看取り

在宅ホスピスに従事している医療・福祉・介護関係者の皆様

日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋より、9月1日(土)15:00~17:30に行われる分科会を紹介します。
まずは、分科会①「一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支える」1階講堂

座   長 穂波の郷クリニック院長 三浦正悦

事例発表
1.自治医科大学緩和医療講座    田實武弥
2.訪問看護ステーションあたご    安岡しずか
3.薬局つばめファーマシー       萩田均司
4.船橋市ケアチーム          高橋喜美ほか

 平成23年3月11日(金)、東日本大震災がおこり、東北地方を中心に地震、津波等により大規模な被害がもたされました。船橋市でも液上化が起こり、海沿いを中心に大きな爪痕を残しました。今後の高齢社会の中では、一人暮らしや介護力の低い人を地域の中で支えていく仕組みづくりが急務になります。

 穂波の郷クリニックの緩和ケア支援センター“はるか”では生活する地域を意識しながら、支える仲間達と“共に生きること”を大切にして、今日から明日へ“生きる力を育む”コミュニティ緩和ケアが展開されています。そのリーダーである緩和ケアコーディネーターは、どんな絶望的な状況にあっても、生命の素晴らしさと、人間的成長を信じて関わります。患者さんやご家族の心のつぶやきと苦悩を率先して気付くこと、そして本人の心の中の願いをすくいあげ、緩和ケアプロジェクトに組み入れていきます。その展開のプロセスには、地域の支援者も企画にあわせて共に歩む実践者になり、関わる人達の心に大きな感動と新たな気付きをつくりだします。一人暮らしや介護力の低い人を地域の力で支えるためには、コミュニティ緩和ケアで培ったコミュニティの介護力アップが鍵になると実感しております。

 この分科会では、各地域で行われている先駆的な取り組みを紹介し、会場と一体となって、取り組んでいる事例の紹介や問題の解決法、現状の課題や今後に必要なことを話し合いたいと思います。

 田實氏は、在宅医として関わった事例からコーディネーターの必要性を紹介しています。安岡氏は、病院や在宅医療、そして介護や福祉、住民の意識変革も含めて、様々な問題を挙げています。そして萩田氏からは、スピリチュアルな叫びを持つ若い独身男性の看取りと介護者のケアについての問いかけがあります。最後に高橋氏を中心に、ケアマネージャー、ヘルパー、自治会の方に、独居の方の看取りに関わった事例を発表して頂き、会場の皆様と話し合いたいと思います。

 今、一人暮らしや介護力の低い人を支える中で、地域の中で困っている皆様、こんな取り組みをしているとご紹介頂ける皆様のご参加をお待ちしております。

(文責 NPO法人ピュア代表 藤田敦子)

分科会全体は、こちらで確認ください。事前申し込みは、7月31日まで。お問い合わせは、hha15funa*gmail.com(*を@小文字にしてくださいね)。当日も可能です。日本在宅ホスピス協会はこちらから。

2012年7月24日火曜日

東大H-PACシンポジウム「医療を動かす、医療計画作りとは」

藤田敦子です。下記のシンポジウムで発表させて頂けることになりました。感謝です。
全国の在宅療養を送っている患者と家族のために、発言をしてきます。
医療計画や地域医療について関心のある方のご参加と応援をお待ちしております。

東京大学公共政策大学院「医療政策教育・研究ユニット」(HPU)主催
~医療政策実践コミュニティー(H-PAC) 第2回公開シンポジウム~
「徹底研究:医療を動かす、医療計画作りとは」
https://ppforum.jp/?action_entry=true&forum_id=145

日時: 2012年8月18日(土) 12:30~18:00 <12:00開場>
会場: 東京大学 本郷キャンパス内 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール
地図 http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html (赤門を入り右手)
地下鉄丸の内線 本郷三丁目駅より徒歩8分 / 地下鉄大江戸線 本郷三丁目駅より徒歩6分

2013年度から5年間の地域医療を方向づける、次期医療計画の検討が各都道府県で進められて
います。「5疾病・5事業および在宅医療の連携体制の構築」を具現化するために、今、どのよう
な考えで、どのような作業を実践し、どのような内容を計画に盛り込むべきか。昨年10月に開催
した第1回公開シンポジウムでの議論からさらに踏み込みます。11人の演者にご講演いただき、
国と地域の状況を共有のうえ、実際に医療計画作りを行っている方々にも多数ご来場いただいて
意見交換を行い、具体的アクションプランの導出につなげます。

*** プログラム ***
<演題は仮題です。一部、演題名、登壇順序などの内容が変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください>

開会挨拶 岩本 康志(東京大学公共政策大学院教授) 12:30-12:35
パート1 医療計画について 12:35-13:15
1. 新しい医療計画の方向 尾形 裕也 氏(九州大学医学研究院教授) [有識者]
2.厚生労働省医療計画通知のエッセンス 伊藤 雅治 氏(全国社会保険協会連合会理事長)
[患者支援者、政策立案者]
司会: 吉田 真季(東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット特任研究員)

パート2 良い医療計画の作り方 13:20-14:20
1.保険者からみた地域の特性データ 貝谷 伸 氏(全国健康保険協会理事) [有識者]
2.地域の現状を知る 高橋 泰 氏(国際医療福祉大学大学院教授)[有識者]
3.計画評価とPDCA 宮田 裕章 氏(東京大学大学院医学系研究科准教授)[有識者]
司会: 埴岡 健一(東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット客員教授)

~ 休憩 ~ 14:25-14:35

パート3 地域の立場から 14:35-15:35
1.≪事例1≫ 奈良県が考える医療計画 武末 文男 氏(奈良県医療政策部長)[政策立案者(行政・地域)]
2.≪事例2≫ 千葉県が考える医療計画 井上 肇 氏(千葉県健康福祉部保健医療担当部長)[政策立案者(行政・地域)]
3.≪事例3≫ 千葉県柏市が考える在宅医療 松本 直樹 氏(千葉県柏市福祉政策室長)[政策立案者(行政・地域)]
司会: 岩崎 賢一 氏(朝日新聞社記者)[メディア]

パート4 在宅とがんの計画の場合 15:40-16:40
1.地域に密着した在宅ケアの姿 武藤 真祐 氏(医療法人社団祐ホームクリニック理事長)[医療提供者]
2.がん対策推進基本計画と都道府県がん対策推進計画 鷲見 学 氏
(厚生労働省健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官)[政策立案者]
3.千葉県のがんの在宅ケアの推進 藤田 敦子 氏
(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表)[患者支援者]
司会: 本田 麻由美 氏(読売新聞社記者)[メディア]

~ 休憩 ~ 16:45-16:55

パート5 実践に向けて ~来場者と登壇者のディスカッション~ 16:55-17:55
司会: 埴岡 健一
閉会挨拶 17:55-18:00

※登壇者の肩書は2012年7月中旬時点のものです。
※本シンポジウムへのご参加にあたり、事前申込みをお願いします。(参加無料・定員450人;先着順)
参加ご希望の方は、こちらへ https://ppforum.jp/?action_entry=true&forum_id=145
※シンポジウムに関するお問い合わせは、こちらへ h.pac.jp.info@gmail.com

2012年7月22日日曜日

【日本在宅ホスピス協会】第15回全国大会船橋 大会長挨拶 (申込等詳細)

ご挨拶
第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋

大会会長  NPO法人ピュア代表    藤田 敦子
大会副会長 高木医院院長       高木 恒雄
実行委員長 板倉訪問クリニック院長  永谷 計

在宅ホスピスケアに従事している医療・福祉関係者の皆様

第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋へご参加頂き、誠にありがとうございます。
実行委員一同、皆様のお越しを心より歓迎申し上げます。

千葉県は首都圏の東側に位置し、太平洋に突き出た半島になっていて、人口は約620万人と全国で6番目に多いところです。日本の縮図とも言われ、安房圏域では、すでに3人に一人が高齢者であり、今後団塊の世代が高齢期を迎える平成27年には、高度成長期に開発された大型団地を中心に、老々介護や独居などが大きな問題になっていきます。

このような状況の中、多くの市民は「住み慣れた住居にずっと住み続けたい」という希望を持っており、千葉県が平成19年度にがん体験者・家族を含む県民に行った調査では、「終末期に自宅で過ごす」ことを希望した人の割合は、48.3%もありましたが、がん患者の在宅死亡率は、8.8%に過ぎません。どうしたら、市民の願いを叶えることができるのか、そのことを全国大会に集うホスピスケアを提供する皆様と一緒に考えていきたく、今回の大会のテーマを「地域包括で支える在宅ホスピスケア」にしました。

9月1日は、患者の願いを叶えるために何を行い、どうチームを組んでいくのかを話し合いたいと思っています。ホスピスケアの中で大事な「患者の意思の尊重」「チームアプローチ」「コミュニケーション」そして「家族ケア」について深めて頂き、午後には「一人暮らしへのチームケア」「医療的ケア」「褥瘡ケア」「リハビリテーション」と在宅ホスピスケアを4つの切り口にわけて、ただ講義を聞くだけでない、会場の皆様とともに、より良いケアを求め、大いに議論をしたいと思っております。

翌9月2日は、各分科会からの報告の後、「いのちの不思議さ~家をホスピスに~」と題し、顧問である柳田邦男氏と協会長の小笠原文雄氏による講演(市民公開講座)がありますのでご期待下さい。

また、8月31日ウェルカムパーティ、9月1日懇親会、恒例の交流会では、在宅ホスピスに情熱を傾けている方々相互の交流を図りたいと思います。オプションには、太宰治ゆかりの宿玉川旅館で古き良き時代をなつかしみながらゆ(湯)ったりして頂き、市内に残る史跡や名所めぐりでお楽しみください。少し足を延ばせば、話題の東京スカイツリー見学も総武線快速15分で行くこともできます。研修の後、夜景を見に行かれませんか?

2年前に小笠原協会長より、全国大会開催のお声がかかり、千葉県の役員である藤田と伊藤が話し合い、船橋の地で先駆的に医療・介護・福祉関係者の顔の見える関係を築いてこられた高木先生、永谷先生に助けて頂きながら、実行委員のみんなで準備を重ねてまいりました。千葉県、船橋市、関係者のご協力も頂いての開催です。

心から、皆様のお越しをお待ち申し上げております。

全国大会は、下記、大会チラシを参照のうえ、協会HPよりお申込みください

参加費は、7月31日までの事前申し込みで、
医師・歯科医師・薬剤師 協会会員2000円 非会員4000円、
他メディカル・福祉関係・学生 協会会員1000円 非会員2000円。
当日受付あり。参加費は1000円アップ。
8月31日・9月1日の懇親会は各6000円です。

分科会についてはこちらも参照ください。参加申し込みは、申込書を参照のうえ、氏名、職種、所属、連絡先(自宅・勤務先等)住所・TEL/FAX/メール、研修会・分科会・市民公開講座・オプショナルツアーの参加有無、寄付等を含めた合計額を記入し、事務局へ。オプショナルツアーは、太宰治ゆかりの宿玉川(入湯料・昼食付き)3000円[大会特別企画で普通はお受けしておりません。限定20名]、他に船橋史跡・名所めぐり散策、東京スカイツリー自由見学があります。
入金を頂いた時点で登録完了です。8月上旬に抄録集等を送付します。
振込先は 京葉銀行船橋支店普通8646521 加入者名 第15回日本在宅ホスピス協会全国大会in船橋 大会会長 藤田敦子  ご寄付もお待ちしております。

事前申込事務事務局(りべるたす)は、FAX043-497-2127 メール hha15funa*gmail.com(*を@半角にして送信ください)。7月31日までお受けします。以後は当日会場へお越しください。なお、会場であるクロス・ウェーブ船橋は宿泊付きの会場です。シングル9817円、ツイン7507円、朝食1386円でお受けしております。事前申し込み時に一緒にご用命ください。

8月1日以降のお問い合わせ先は、大会事務局 〒273-0005船橋市本町2-1-10板倉病院地域連携室内 TEL047-436-0908、メールは共通です。hha15funa*gmail.com(*を@半角にして送信ください)。

市民公開講座は、医療・福祉関係者以外に一般市民へ無料で公開しています。左記、チラシを参照のうえ、お申込み下さい。8月1日より申込開始致します。市民公開講座の申込専用FAXは、FAX047-495-9555。住所・電話番号・参加者全員氏名をお書きの上、お申込みください。定員200名に達した時点で締切し、参加不可の方のみご連絡を致します。

2012年7月7日土曜日

認知症政策を変えた番組制作 NHK川村雄次さん

NPOピュアの藤田敦子、院生モードです。
各国では、ホスピス・緩和ケア(主にがん)から、高齢者などすべての人のラストについて、すごい勢いで研究が進められています。2009年にイギリスでは「認知症と共に、よく生きる」(living well with demenntia)がスタートし、国家戦力として認知症の5か年計画ができました。そして、日本でも、認知症対策を180度転換する「認知症になっても住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けられる社会の実現」を目指し、報告書が厚労省プロジェクトチームより発表されました
施設重視の日本の中では、下記の番組がなければ、実現できなかったと思います。すごいです。

認知症の当事者の声を社会に発信し変える 川村雄次さん

〇認知症の人から見た世界

認知症になると何もかもがわからなくなると、家族やケア従事者にお任せだったのを、一人のデイレクターが変えていった。川村さんは、2003年から認知症に取り組み、クローズアップ現代で「痴呆の人 心の世界を語る」と、認知症本人が、本人の視点で医療・ケアに求めるものを語る番組を作った。

その番組の主人公であるクリスティーン・ブライデンさんが、とにかくすごい。46歳の時に認知症の診断を受けて、「残された時間が一年でも楽しい時間になるよう」にと、結婚相談所を訪ねて結婚!。そして、心の内を本音で話し、本人が求めていることへの支援を訴えていった。認知症の初期は、本人も忘れていくことへの恐怖や恥ずかしさがあると聞いたことがあったが、まさに「アイデンティティの危機」があり、彼女はその状態を「霧につつまれて生きる」と表現している。自分が自分でなくなっていく恐怖の中で、治る治療にすがるのでなく、下り坂をケアを受けながら心豊かに生きたいと訴えていた。

認知症になりたくない、なったらすべてが終わりと絶望の中にいる人たちに彼女の笑顔や日常が映像を通して語りかけていく。書籍や講演とは違い、映像はリアルタイムに多くの人に伝えることができ、そして、感情のひだまでを伝えていくことができる。認知症のシリーズは、2003年に始まり、そして2009年と続けていき、社会に大きなインパクトを与えていった。

〇認知症とは、真の自己への旅人

クリスティーンさんの登場は、認知症の世界を変えていった。認知症の症状は、様々なものが一緒になり起こっていくが、世間の眼が「患者=治してあげないといけない対象」と追いつめていった。そこを変えていく。クリスティンさんは、〝患者“という言葉は大嫌いと言う。患者と言う言葉は、不完全で望ましくない差異を表し、海上寮診療所の上野医師は、「医師は患者として位置づけた時点で、自動的に管理優先、上から目線で医療者モードに入っていく」と言う。本当にそうだ。患者と言われた瞬間、すべて医療者にお任せで、しろうとは意見を言ってはいけない位置に置かれてしまう。自分の身体、自分の心のことなのに、ただのあやつり人形になっていく。

川村さんは、デイレクターの仕事から少し距離を置く仕事になってからも、裏えにしの会である「お福の会」の事務局になり、認知症になっても、人として生きていける道を探り続け、DVD認知症ケア全3巻を作った。認知症とは、「真の自己への旅」、それこそがスピリチュアリティであり、自己存在の旅なんだと思う。進行を遅らせる薬の開発もされて、認知症の人のために早期に関わる制度もできた。

点を線にそして大きな面に、川村さんの挑戦は続く。