2014年5月25日日曜日

認知症の人が安心して徘徊できるまち大牟田 大谷るみ子さん


藤田敦子@大学院生モードです。

本日の大学院講義は、大牟田市認知症ライフサポート研究会(社会福祉法人東翔会グループホームふぁみりえ)の大谷るみ子さん。デンマークで学ばれた認知症介護の第一人者です。

福岡県大牟田市はかって炭鉱のまちとして栄えましたが、現在の人口は約12万と半分になり、高齢化率は32.4%、高齢者単身世帯が1割という、これから日本が向かおうとしている超高齢のまちですが、ここは、認知症の人が安心して「自由遊歩(徘徊?)」できるまちでもあるんです。

今日の講義は、「地域で支える認知症ケア」と題し、大牟田市認知症ケア研究会の歩みと、デンマーク直伝の「認知症コーディネーター」をご紹介頂きました。

大谷さんは、長く急性期病院に勤めておられましたが、1990年に地域密着型の医療法人のお誘いを受けて転任し、その法人が特養を開設したことから介護の道に入って行かれました。認知症ケアの実際に大きなギャップを感じていた時に、講演会へ行き[デンマークの寝たきり老人のいない国]に出会います。そしてデンマークオーデンセへ行き、高齢者ケアの三原則や、本人がより良く暮らし、より良く生きることができるように、その人を取り巻くすべての関係者が、本人を主体として、連携、協働し、サポートすることが大切だということ=ライフサポートを学びます。認知症コーディネーターは2年間406時間の研修・実習で理念や哲学をしっかりと身に付け、地域を基盤に支援困難事例への介入・助言や相談窓口、市民啓発などを行います(これってもしかすると、在宅介護支援センターだし、今の地域包括支援センターの原型なのかしら)。法人では毎年のデンマーク研修以外に、受け入れも行い、哲学がぶれないようにしているようです。

大牟田市では、ほっと・安心(徘徊)ネットワークがあります。徘徊模擬訓練や子供や地域を巻き込んだ様々な仕掛けがあり、地域ぐるみで、声掛け、見守り、保護をして、「安心して徘徊できるまち」を目指しています(^o^)。

「認知症だから仕方がない」とあきらめていませんか?認知症の人の行動障害は、自分の力でなんとかしようとする反応なんです。「心は生きている」んです。大事なことは「あなたはとても大切な人」を接すること。本人がどうありたいかを大事にするケアが必要なんです。

私がデンマークで見た、どんな障害をかかえても、どんな病いであったとしても、普通の暮らしの中でいきいきと生活できるケアは、確かな理念のもとに作られているんですね。

先日、千葉県の認知症講演会へ行きましたら、認知症コーディネーターを取り入れている所のお話でした。それに、船橋市はオーデンセ市と姉妹都市なんです。今までは文化が中心でしたけど、これからは福祉も交流できたらいいですね。「どんな状況でも笑顔で暮らせるまち」地域福祉計画策定時に市民代表として込めた願いを実現したいです(^o^)

それにしても、講演を聞いて、認知症の人を、「拘束」し「薬」と「力」で抑え込むのは、ただの暴力じゃないかな、個人を人として尊重する姿勢や、専門性と責任感を放棄しているんじゃないかな~と思いました。デンマークは専門性をとても重視しています。本物のプロとプロが、互いの専門性を発揮して、困難を持つ「人」を支えていきます。大谷さんは看護師です。デンマークでお会いした看護師など専門職の方も、みんな、誇りを持っておられました。本人を中心としたケアを、日本に!!

デンマークの認知症ケアをもっと知りたかったら、「デンマーク発痴呆介護ハンドブック―介護にユーモアとファンタジーを」 エルサ メーリン (著), ロルフ・バング オールセン (著), Else Melin (原著), Rolf Bang Olsen (原著), モモヨ タチエダ・ヤーンセン (翻訳), 千葉 忠夫 (翻訳), 東翔会 (翻訳) 、価格: ¥ 3,990 ミネルヴァ書房 をお求めくださいね。

2014年5月21日水曜日

「最期まで自分らしく生きる」千葉県高齢者向け啓発DVD・リーフレット公開


千葉県では、終末期医療などを考えてもらう高齢者向けビデオ「最期まで自分らしく生きる」を制作し、ホームページ上で5月20日から公開するほか、DVDの貸し出しも行っていきます。貸し出し期間は2週間までとなっています。時間は約30分です。

県によると、2010年の県内の高齢化率は21.5%ですが、2040年には36.5%になると推計されています。超高齢社会になる千葉県において、人生の最終章の医療はどのようにあるべきか、2012年に「終末期医療等に関する高齢者向け啓発プログラムの開発、実施事業」有識者会議において、千葉県1万人意識調査を行い、2013年に啓発プログラムの作成と県内公開講座を行ってきました。

1万人意識調査の中で、自分に死期が迫っている場合「自宅で最期まで療養したい」人は31.6%、「医療機関に入院して最期を迎えたい」37.4%でした。でも、実際には、自宅は14.9%で、76.3%の人が病院で亡くなっています(人口動態調査2012)。また「延命治療を望まない」と考える人は多いものの、人生の最終章について、家族とまったく話し合ったことがない人が約65%もいることがわかりました。

もし、あなたが重病になったとき、認知症になり自分で意思表示ができなくなったとき、事故に遭って意識を失った時など、自分がどのような医療を受け、どのように過ごしていきたいのか、また最期をどう迎えたいのか、日頃から大事にしていることなども含めて、あなたに変わり、家族が判断し決断していくことになります。

最期まで自分らしく生きるためには、医療や介護などの制度を知り、自分の周りにどのようなサービスがあるのか知ることも必要です。このビデオでは、脳梗塞を患い、言語障害がある90歳の男性の最終章を、家族が考える内容になっています。また、主に在宅医療を受ける上での訪問診療や訪問看護、訪問薬剤管理、訪問歯科などの紹介や、リビングウィル、意思表明の意味と重要性、あらかじめ考えておくこと、話し合っていくことの大切さを伝えています。

本人の意思表示を焦点にしましたので、胃ろうなどの問題については触れていません。私たち有識者会議委員は、意思表示を「書面で残す」ことよりも、日頃から、「考える」「話し合う」「調べる」「整理する」ことが大事だと思っています。気持ちは絶えず揺れ動いていきます。何度でも、状況に応じて、話し合い、そして今の気持ちを伝えていきましょう。

今、医療機関や介護施設によっては、お気持ちを書面に残している所も出てきています。いつでも変えることができることを確認していくといいですね。

終末期医療等に関する高齢者向け啓発プログラム(動画)を作成~最後まで自分らしく生きる~
啓発プログラムの目的や内容、公開方法、DVDの貸し出し方法など

千葉県ホームページ千葉県インターネット放送局「最期まで自分らしく生きる」動画ページ
パート1 あなたは、人生の終わりの時期をどのように過ごしたいですか? 病状説明や千葉県調査の結果など
パート2 退院時調整会議と在宅療養を支えるサービスについて
パート3 最期を迎える場所についての県民意識調査結果や現状等について説明
パート4 家族との話し合いの重要性や意思表明について説明
パート5 在宅での看取りについて、体験談を中心に説明

平成24・25年度 終末期医療等に関する高齢者向け啓発プログラムの開発、実施事業
平成24年度事業報告書(1万人意識調査など)、25年度事業報告書、啓発プログラム(動画、リーフレット、ポスター)

2014年5月2日金曜日

第1回介護よろずカフェ「人生の最終章の医療を考える」を6月8日に開催



第1回介護よろずカフェ~医療・介護職と市民・患者の対話の場~を2014年6月8日(日)13:30~16:00に開催します。いよいよですね。講演会スタイルでなく、ワールドカフェ方式で行うのは初めてです。

この介護よろずカフェは、東大の孫医師が始めた医療と市民が健康や医療、地域づくりなど様々なテーマに対して、ともに学び、対話できる場「みんくるカフェ=みんながくる場所)」の手法を学び、準じた形で開催していきます。みんくるカフェについては、みんくるプロジュースを見てくださいね。

ピュアは「自分らしく最後まで生きたい・暮らしたい」と在宅緩和ケアを推進する活動を行ってきました。今回、「介護」に注目し、医療だけでなく、介護や福祉、食やまちづくり、住まい、働き方、生き方、最後の迎え方も含めて、様々な話題を提供していきますね。
まず、ゲストスピーカーから話題提供をしてもらい、その後、お茶を飲みながら、1テーブル5~6人で、リラックスして話題を深めていきます(ワールドカフェ)。

難しく考えずに、ご興味のある方はぜひご参加ください。お申し込みは下記のFacebookからお願い致します。アドレスをお持ちでない方は、ピュア事務局へDMでもOKです。

日時:6月8日(日)13:30~16:00
場所:千葉大学(西千葉キャンパス)人文社会科学研究科棟 演習室2
定員:20名(先着順)
話題提供:「医療と市民の対話の場を作って」
 藤本晴枝さん(NPO法人地域医療を育てる会理事長)
「人生の最終章の医療を考える」
  藤田敦子(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表)
参加費:1000円(茶菓代)
申込:NPO法人ピュアFacebook 
またはピュア事務局 npo.pure*gmail.com (*を@にしてください)
お名前(ふりがな)、連絡用電話番号、参加動機、所属(職種)などを明記くださいね。

介護よろずカフェは、参加者みんなが主役です。一人一人の考えや思いが場を作っていきます。現在、作業療法士、看護師、ケアマネジャー、ヘルパー、社会福祉士、介護経験者、NPOなどが参加予定です。定員までお申込みをお受け致しますので、奮ってご参加くださいね(^o^)