2013年3月21日木曜日

恵みのとき―病気になったら(晴佐久昌英司祭)

NPO法人の藤田敦子です。資料を整理していたら、こんなすてきな詩が書かれた文書が出てきました。いつ、どこで、誰にもらったのか、さっぱりわかりませんが、とてもすてきな詩ですので、記しますね。詩集があるのかもしれませんね。本屋で探してみようと思います。

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病気になったら  晴佐久昌英 (カトリック司祭)

病気になったらどんどん泣こう 痛くて眠れないと言って泣き
手術がこわいと言って涙ぐみ 死にたくないよと言ってめそめそしよう
恥も外聞もいらない いつものやせ我慢や見えっぱりをすて
かっこわるく涙をこぼそう またとないチャンスをもらったのだ
自分の弱さと思いあがりを知るチャンスを

病気になったらおもいきり甘えよう あれが食べたいと言い こうしてほしいと頼み
もうすこしそばにいてとお願いしよう 遠慮も気づかいもいらない
正直にわがままに自分をさらけだし 赤ん坊のようにみんなに甘えよう
またとないチャンスをもらったのだ 人の情けとまごころに触れるチャンスを

病気になったら心ゆくまで感動しよう 食べられることがどれほど有難いことか
歩けることがどんなに素晴らしいことか 新しい朝を迎えることがいかに尊いことか
忘れていた感謝の心を取りもどし 見過ごしていた当り前のことに感動しよう
またとないチャンスをもらったのだ この瞬間に自分が存在しているという神秘
いのちの不思議に感動するチャンスを

病気になったらすてきな友達をつくろう 同じ病を背負った仲間 日夜看病してくれる人
すぐに駆けつけてくれる友人たち 義理のことばも儀礼の品もいらない
黙って手を握るだけですべてを分かち合える あたたかい友達をつくろう
またとないチャンスをもらったのだ 神様がみんなを結んでくれるチャンスを

病気になったら安心して祈ろう 天にむかって思いのすべてをぶちまけ
どうか助けてくださいと必死にすがり 深夜ことばを失ってひざまづこう
この私を愛して生み慈しんで育て いつか御自分のもとへ呼んでくださるお方に
すべてをゆだねて手を合わせよう またとないチャンスをもらったのだ
まことの親である神に出会えるチャンスを

そしていつか病気が治っても治らなくても みんなみんな流した涙の分だけ優しくなり
甘えとわがままをこえて自由になり
感動と感謝によって大きくなり 友達を増やして豊かになり信じ続けて強くなり
祈りのうちに神の子になるだろう 病気になったらまたとないチャンス到来
病のときは恵みのとき

2013年3月5日火曜日

救急医療の「出口問題」としての高齢者問題

NPO法人ピュアの藤田敦子、大学院生モードです。

先般、東海大学医学部付属病院高度救命救急センター次長・医療法人救友会理事長山本五十年さんから、平塚モデルのお話を伺い、救急と在宅医療の問題についてもっと深く知りたいと病院を訪ねた。

この病院には、全国で数少ない高度救命救急センターがあり、三次救急医療施設として、神奈川県西部地域、また山梨県・静岡県の一部に係る広範囲の救急患者を受け入れている。救急車受け入れ台数は、年間7,000台以上とも言われている。

もうそれだけで、びっくりなのだが、一番最初に「入退院センター」に案内されて、二度びっくりした。ホテルのカウンターのように受付があり、横には相談室があった。センター内には、数え切れないほどの看護師、医療ソーシャルワーカーなどがいて、入院が決定した患者に対し、入院前から入院後まで一連の手続きや相談を受け、外部医療機関との連携などを行っている。普通は、医療連携室があって、そこに一人か二人の看護師と医療ソーシャルワーカーがいて、主に退院支援を行っているのだが、ここでは、入院時からの支援がある。

すごいとうなっていると、高度救命救急センターには、もっとびっくり。そう「トリアージナース」がいるのである。症状が深刻なのか、少し待てるのかなど、緊急性のある患者から順番に医師の診察を受ける流れを作る能力をもった看護師のことを「トリアージナース」と言う。いやもう、その光り輝く姿に圧倒されました。山本さんから、救命救急センターで働く150名のナースを束ねる剱持功さんと山崎早苗さんを宝物のように紹介して頂きましたが、その穏やかな表情から、すばらしいチーム医療の現場にいることを実感しました。仕事を終えて帰る救命士の方が立ち寄る場所も作られており、病院全体で、救急の現場で働く人を育てる教育システムがあるようです。山本さんは「神奈川西部ではこれだけの規模はここだけなので、救急患者を断るなんてとんでもないと剱持さんに怒られるんですよ」と言う。こういうことをにこやかに言える関係性ってすごいことだ。MRXO(MRI/CT/angioが並列された術中画像診断システム)など、あらゆる手術に対応できるシステムや専門センター、ドクターヘリも備えているが、研修生をひき付けているのは、良好な人間関係やリーダーたちの魅了も大きいのだろう。

さて、出口問題だが、2007年10月にセンターに救急搬送された入院患者449人中、重症患者251人を対象に調査をした所、重症入院患者に占める高齢者の割合は46.2%で、平均在院日数も非高齢者に比べ長かった。また高齢者の転帰は、非高齢者に比べ自宅退院が少なく、転院・転所の症例が33.6%を占めていた。
つまり、救急医療を将来にわたって確保するためには、救急患者が治療後、速やかに慢性期医療・在宅医療、また介護施設へ移行する体制を作る必要があることがわかったのである。

このような問題意識から、急性期医療と連携した在宅医療・療養支援を実現する近未来型のスキームを確立するため検討を行い、2009年2月に、医療と介護の複合施設(湘南真田メディケアセンター)が誕生し、医療と介護の連携を模索する中で、今回、国の在宅医療連携拠点事業にも選ばれた。

猪口貞樹病院長に、がんの終末期について質問をしてみたが、治療との狭間で揺れ動く患者の姿が見えるようだった。当病院は、がん診療連携拠点病院にもなっているので、今後、緩和ケア部門の充実も望みたい。

湘南真田メディケアセンターへも行ったが、夜になってしまったので、全体像を見ることができなかった。改めて、ここだけを取材したいと思った。

今、さまざまな救急医療問題があるが、その一つに、医療と介護の連携による街づくりが行われてこなかった結果だと思う。誰もが年をとる。その時にどう暮らして生きたいのか、その姿を話し合うこともなかった。特に都市部はまったなしだから、各都道府県の医療計画や市区町村の連携事業計画を注視していきたい。

簡単なメモしか取らなかったので、感想文になってしまったが、救急の問題は高齢者の増加地域で、これから頻繁に起こってくると感じている。これからはこの問題も考えていきたい。