by 藤田敦子(NPOピュア代表)です。
第16回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会in千葉も
もう1ヶ月をきりました。
現在、実行委員は準備に奮闘中です。
今回千葉大会では、堂本暁子千葉県知事に名誉大会長をお願いしています。
堂本知事から、参加される皆様へのごあいさつです。
ご あ い さ つ
名誉大会長 千葉県知事 堂本 暁子
去年の「日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会」は飛騨高山で開かれました。今年は、千葉で開催されると聞いて、飛騨高山大会の抄録集を開いたところ、「『身体的なケア』から『心のケア』へ、その中でもスピリチュアルな領域への注目が高まりつつある。」という一文が目に飛び込んできました。
さらに「スピリチュアルペインはある。確かにある。そして、それに向かい合ってくれる人たちがいて、初めて絶望の底から患者さん本人の力で這い上がってこられる。そのお顔はくっきりとした輪郭の、凛々しい美しさだ。」とあります。
去年は、「日本スピリチュアルケア学会」が誕生したこともあって、「スピリチュアリティ」が多く語られたのかもしれませんが、ホスピスや緩和ケアは、単に痛みをとること以上に、人間の「生と死の尊厳」を保つことの極限的な世界であると知りました。
京大教授のカール・ベッカーさんは「一昔前までは、家族や親類による介護や看取り、さらに、葬儀やお墓の供養についても、村の人たちが集まって、日本ではやっていたようだ」と語っています。外国の方にこのように指摘されて、私はハッとしました。
なぜなら、子どもの誕生や結婚、葬儀に至るまで、日本人が共有していた精神文化を、私達が失っていることに気付かされたからです。
昭和20年前半の平均寿命は50歳で、死亡原因のトップは結核、次は胃腸炎でした。それから半世紀以上の歳月を経て、いまや医療水準は飛躍的に向上し、日本人は世界に類をみない「人生80年時代」を享受しています。しかし、それは同時にこの長寿社会をいかに健康に生き、どのようにして終末を迎えるかについて各人が考えなければならないということでもありましょう。それは、新しく考え出すことなのでしょうか。本来、日本人が持っていた精神文化を取り戻すことなのかもしれません。
さらに、がんの手術の後などは、予後をどう過ごしたらいいのか、多くの人が悩み、苦しみますが、自分が過ごしたいところ、例えば、それが自宅である場合などは、その患者さんを支える訪問看護ステーションの専門家やボランティアをはじめとしたネットワークなどが不可欠です。
「緩和ケアは死ぬための医療ではない。患者と家族が、良い時を過ごし、明日を信じ、明日を生きるためのケアだと私は信じています」と千葉の在宅ケア市民ネットワークのメンバーは言っています。
今年のテーマ「地域コミュニティの場でホスピスケアを」は、こうした精神に裏付けられているのでありましょう。
本日お集まりの皆様は、患者さんやその御家族に常に寄り添い、一人ひとりの患者さんの時間を輝かせ、そして患者さんを見守る御家族に心の安らぎをあたえるため、日々努力されています。こうした患者さんと御家族の大切な時間をしっかりと支えている皆様方の活動に心から感謝したいと思います。ようこそ千葉にお越しくださいました。心から歓迎を申し上げます。
シンガーソングライターの松尾貴臣さんが、余命半年と宣言された方のお話を直接伺い、命の大切さを表現した「きみに読む物語」を大会で歌うことになっています。
またね バイバイ いつかまた会えるよ
大切なことは 僕は君が好きで君は僕が好き
そんな単純なこと
平成20年7月12日、13日
第16回日本ホスピス・在宅ケア研究会 千葉大会抄録集より
0 件のコメント:
コメントを投稿