2012年6月13日水曜日

質の高い終末期を 生活の場で

NPOピュアの藤田敦子です。ちょっとだけ院生モードです。

昨年10月10日に、東京大学公共政策大学院 医療政策教育・研究ユニット(略称 HPU)の「医療政策実践コミュニティー」(Health Policy Action Community、略称 H-PAC)で発表させて頂きました。

パート2 地域医療計画編 ~高齢化時代の地域に根差した医療とケアをどう構築するか~
1. 新しい地域医療体制構築のための政策課題  武藤 正樹 氏 (国際医療福祉大学大学院教授,医療計画の見直し等に関する検討会座長)
2.超高齢化社会の地域医療ビジョン 高橋 泰 氏(国際医療福祉大学大学院教授)
3.実践から見る地域医療の課題  武藤 真祐 氏(医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック理事長)
【パネルディスカッション】
『新しい地域医療建設への工程表』
岩崎 賢一 氏(朝日新聞社記者)〔メディア〕
高橋 泰 氏〔政策立案者〕
藤田 敦子 氏(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア代表)〔患者・市民〕
武藤 真祐 氏〔医療提供者〕
武藤 正樹 氏〔政策立案者〕
コーディネーター:本田 麻由美 氏 (読売新聞社記者)


その時に発表した内容が、ホームページで公開されていた。

緩和ケア病棟の現状と課題
終末期医療の現状と未来
質の高い終末期を 生活の場で

この3つは、私の研究テーマでもありますので、詳細は書きませんが、ほんのさわり程度の解説を入れます。

緩和ケア病棟については、やっと医療計画の中に数値目標は入りましたが、その医療圏の人の受診の動向やケアへ移行するときの動きなどが分析されているわけではありません。がん登録の法制化が進まず、敵もわからず、計画を作っているわけで、今後の高齢者の増加に伴い、地域の中に、どれだけの資源が必要なのかも示さず、ただ数字合わせをしているだけです。
今後、急速な高齢化が起こる首都圏は、人口比に対し、圧倒的に支える医療が不足しています。まして、現状の緩和ケア病棟が、診療報酬の通りに、在宅療養の補完やレスパイト機能、地域ケア支援を行っているのか疑問があります。
デンマークへ行ったとき、緩和ケア医が言っていたのは、「どれだけ、地域訪問看護師を知っているかが大事」というでした。デンマークでは、看護師は民間の参入がないからかもしれませんが、緩和ケア医はケア付き住宅へも往診へ行ったり、アドバイスをしたり、とても重要な役割を持っていました。まあ、緩和ケア病棟自体が、病院の一部でない、地域の中に別建てでホスピスとしてありましたけど。

終末期医療の現状と未来では、がん診療連携拠点病院から同じような機能をもつ病院へ行っていて、何もわからないまま、救急車で病院へ運ばれている現状を伝えました。今は、救急を受けられるけど、これから、高齢者の数が増えれば、脳こうそくや心疾患など、一刻も争う人たちの数も増えてきます。救急を行う医師の数もベッド数も救急車も限られている中、救急と、患者側にとっては一大事だけどほかのやり方で問題を解決できるケースを考えなければいけない時代が来ると思います。未来を作るのは、医療と介護と行政と市民が、同じ目標を持って、自分たちの役割を果たすことだと私は思います。医療計画だけでは語れないけど、エンド・オブ・ライフケア計画とか、まあ、地域包括ケア計画とか、支える機能の充実のため、大きな視点が必要なんだと考えます。

質の高い終末期を 生活の場で と最後に語りました。デンマークへ行って感じたこと、見てきたことを話しました。日本では、緩和ケアというと、がんが主流になりますが、緩和ケアが大切にしている「チームケア」「患者の意思の尊重」「コミュニケーション」「家族ケア」が、認知症やほかの疾患の高齢者のために活かされていて、『国民が望む、自分らしい暮らしを最後まで守る』ことが実践されていました。「国民の75%が望んでいるのに、、まだまだです」と言われた緩和ケア医の言葉が印象に残りました。また、多職種をつなぐために、ITが重要な役割を持っていて、本人もそのデーターを見ることができることに、「患者の意思の尊重」の精神を見た思いでした。
個人主義だと誤解をしていましたが、ターミナル期には、家族が動揺するので、家族をしっかりと支えるのも、緩和ケアの役目ですという言葉に、「そうそう」とうなずいていました。

『自分らしく最後まで生きたい、暮らしたい」。その願いの実現のためには、何が必要なのか、答えを見つけられるよう、院生として研究をがんばります。そして、ピュア代表としては、少しずつでも、ケア従事者の皆様と一緒に、実践していきます。


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