2012年12月30日日曜日

生むな「終末期がん難民」日ホス研千葉大会2008

シルバー新報に平成20年(2008年)7月18日「生むな『終末期がん難民』」日本ホスピス・在宅ケア研が提言、拠点病院で緩和ケアを が掲載された。2008年に第16回全国大会(藤田敦子大会長)を開催した時に研究会として提言した内容を記す。

生むな「終末期がん難民」 拠点病院で緩和ケアを 日本ホスピス・在宅ケア研が提言

NPO法人日本ホスピス・在宅ケア研究会は12日、千葉市で第16回全国大会を開催し、がん治療の拠点病院に緩和ケア病棟を設置し、時間外や休日の訪問看護費を割増するなどして終末期の患者が誰でも適切な緩和ケアを受けられるようにする「終末期がん難民を生まないための提言」を発表した。

がん難民とは、2005年に初めて開催された「がん患者大集会」などで使われ始めた言葉で、納得できない治療で病院を転々とする患者を表す。がん拠点病院や大学病院ではDPC(診断群分類包括評価)の導入で入院期間の短縮化が強まり、再発後の患者の入院に消極的なところが増えていることから、同研究会は適切な緩和ケアなどが受けられない「終末期がん難民」が増えるのではないと危機感を表明。

難民を生まないための提言として、①がん拠点病院に緩和ケア病棟の設置を必須とする、②現状で、末期がん患者を受け入れている中小病院の医師に、症状緩和教育プログラムを大々的に実施する、③在宅療養支援診療所で医師の負担を少なくする仕組みを推進、④ファーストコールを訪問看護師が受けられるように、時間外や休日の訪問看護費の割増し加算の改善、⑤死亡診断を看護師にゆだねるようにする、⑥最後の1~2週間に24時間の泊まり込み看護・介護制度の創設、⑦有床診療所による緩和ケア病棟を増やす診療報酬の改善―など。

全国大会は、医療従事者だけでなく介護職や市民まで1600人の参加者が集まり、立ち見が出るほどの熱気。初日に行われた鼎談「在宅エンド・オブ・ライフケアの課題」で、広井良典千葉大学法経学部教授は、日本の社会保障給付費は年金の割合が高いが、今後は医療・福祉重点型になっていくべきとし、財源として、消費税を欧米並みの15%程度にまで引き上げるのが望ましいとの方向性を示した。

また、「在宅高齢者のターミナルケア」をテーマに全国の訪問看護ステーションと看取りを経験した家族を調査した近藤克則日本福祉大学教授は、現在、在宅緩和ケアの質を標準化していくためのアセスメントツールを開発中であることを明らかにした。

以上、2008年7月18日シルバー新聞掲載記事

他に千葉大会では、千葉日報に「終末期ケアへの理解を深めて」が掲載された。

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