2011年10月2日日曜日

垣添忠生会長高齢がん患者「質の高い終末期」在宅で

NPOピュアの藤田敦子です。

本日読売新聞一面「地球を読む」で、日本対がん協会の垣添忠生会長が高齢がん患者「質の高い終末期』在宅で 「死の迎え方」国は整備を と論説されていた。

垣添会長は、以前、国立がんセンター総長として、日本のがん医療を引っ張っていた方です。奥様の在宅死やご自身が国立がんセンターから一歩離れた位置におられるようになって、少しずつ変わっておられることを感じています。私たち、在宅医療やグリーフケアをもっと充実させたいと望む者にとっては、嬉しい限りです。
全文を載せることはできませんが、氏の主張を抜粋します(論説がゆがむといけないので全文を読んでくださいね)。

2010年の論文によると、欧州5か国のがん患者の在宅死亡率は、ノルウェーが最低で13%、最高はオランダの45%で英国(イングランド地方)、ベルギー、イタリアはその中間であった。

在宅医療を充実させ、在宅死の割合を増やすことは、国民ががんになった時、望むところで療養し望むところで人生の最期を迎えたい、という希望に応えるために重要であるだけではない。避けては通れない我が国の医療上の課題である。

一つは少産多死社会での新しい死の迎え方を考えざる得ない事態が目前に控えていること。

二つ目の理由は、人口の高齢化がわが国のがん対策に及ぼす影響である。
世界保健機構(WHO)のデーターでは、(中略)がん死亡者の中で80歳以上が占める割合は、(中略)予測値によれば、日本は2030年以降、一貫して53~55%付近を推移する。

終末期を住み慣れた自宅で暮らし、家族に囲まれて安らかに死ぬ、という幸福な姿と、孤独死とどう対応するか、という二つの問題がついてまわる。前者に関連して2010年米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー」載った論文(中略:ホスピスケアを受けながらの在宅死は質が高く・死別後についても精神疾患の発症するリスクも低かったという内容)、後者は「在宅」を患者の自宅と狭く考えないで特別養護老人ホームや社会福祉施設等も含めて考えることが大切であろう。

「死の質―世界各国における終末期ケアの評価」が2010年、シンガポールの慈善団体、リエン財団から発表されている。(中略)2010年日本の「死の質の評価」は、基礎的医療・介護環境では高く、終末期介護の質、利用しやすさ、コストの面では低い評価で、総合評価で40か国・地域中23位と先進国としては低かった【中略】。


氏は、我が国の在宅医療の充実に向けて、①がんと慢性疾患では在宅期間が大きく異なるので、両者は分けて論じるべき、②医学教育で、家庭など総合的な診療のできるかかりつけ医の意義と教育上の位置づけを見直す、③在宅医療に見合った医師法等の法律の改正や運用面での緩和などが求められよう、15~20年後のわが国の医療状況に備えた在宅医療、在宅死のあり方の整備は医療の限界と福祉を、国としてどうつなげるかという考えにかかっている、その対応は急を要する、と結んでいる。

がん対策推進協議会の在宅医療のヒヤリングで語られなければいけなかった内容だと思います。今後の5年間で何をなすべきか、残された時間はあまりにも少ないです。(2011年10月2日)

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