2011年10月21日金曜日

がん患者に対する介護保険の適正化に向けての意見書

NPOピュアの藤田敦子です。がん患者の介護保険問題について、全国の保険者に行った調査結果と意見書を患者委員の天野さんにお渡ししましたところ、すべての患者委員がご賛同くださり、本日の第26回がん対策推進協議会において、資料として提出されました。介護保険の会議でも、「がん」については話し合われていません。こんなに大きな問題なのに、なぜ、議題にも上がらないのだろうと疑問に思っていました。今回の意見書により、医療と介護の連携の分野で議論が活発に行われることを願っています。引き続き、調査結果の報告書作りにがんばります!

がん患者に対する介護保険の適正化に向けての意見書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3-att/2r9852000001sd17.pdf

                         平成23年10月9日

厚生労働省がん対策推進協議会 会長 門田 守人 様
厚生労働省健康局総務課がん対策推進室 室長 鷲見 学 様

                        がん対策推進協議会委員
                          患者関係委員名5名

       がん患者に対する介護保険の適正化に向けての意見書

 平成22年4月にがん患者団体は、末期がん患者の介護認定の迅速化とがん患者の実情に合った要介護認定が行われるように制度の改正を求めました。これを受けて厚生労働省老健局より、各都道府県と市区町村の介護保険担当課に対し、4月30日「末期がん等の方への要介護認定等における留意事項について」(介護認定の迅速化の促進)、10月25日「末期がん等の方への福祉用具貸与の取扱等について」(要支援1、2及び要介護1と判定された方への福祉用具貸与)が通知されましたが、通知後に適切に行われたか、実情が把握されておりませんでした。
 
今般、私たちは、介護保険に携わるすべての保険者(市区町村等介護保険担当課)に対して行われた「末期がん患者に対する介護保険サービスの提供に関する調査」(別紙1)、「末期がん患者の認定状況調査」(別紙2)の報告を手にし、全国の保険者の通知後の対応にばらつきがあること、迅速化を阻む要因に主治医意見書の提出の遅れや記載の不備、申請時点でがん末期と判断することが困難であること、要支援及び要介護1となり福祉用具貸与のできない例外申請が26%の保険者であったこと、そして申請から二次判定までの日数の平均が28.9日で、30日を超えている保険者が約4割おり、二次判定までに亡くなるなど、通知が出たにもかかわらず、がん患者が迅速ならびに適正に介護サービスを受けることができない現状が明らかになりました。
介護保険の適正化のために必要な施策を講ずるよう、以下の意見を提出いたします。

                 記

・国は、調査結果を踏まえ、末期がん患者の介護認定の迅速化とがん患者の実情に合った要介護認定が行われるように制度の改正に向けて検討を行うなど必要な施策を講ずること、早急に都道府県ならびに市区町村の介護保険担当課、また関係機関に対し、適切な要介護認定及び介護サービスの提供を行うことを周知徹底を図り、改善のための協議を図ること。
・厚生労働省がん対策推進協議会は、がん患者と家族が質の高い在宅療養を送ることができるよう、関連する審議会や協議会、検討会などに対し、がん患者が介護サービスを迅速かつ適切に受けられるよう医療と介護の連携強化に向けた意見を提出すること。
・都道府県ならびに市区町村等地方公共団体は、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、地域の特性に応じた施策を策定し、実施を行うこと。
・医師等関係者は、がん患者が迅速かつ適切な介護サービスを受けられるよう、問題の改善を図り、保険者や関係機関との連携を行うこと。
                           以上

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