NPO法人ピュアの藤田敦子です。
平成24年2月1日に第31回がん対策推進協議会があり、平成24年からの次期がん対策推進基本計画[素案]が示されました。
平成19年6月から始まった「がん対策推進基本計画」に対し、平成22年6月に中間報告書が提出されています。
この中間報告では、協議会委員から寄せられた多くの意見が「今後の課題等に係るがん対策推進協議会の意見」としてまとめられていました。しかし、その後の協議会の中で議論が充分行われているとは言えず、平成23年8月8日にがん患者団体(30団体)から議論をしてほしい項目の要望が出されました。
・ドラッグラグの解消に向けた議論
・患者、家族が抱える就労問題、経済的負担の解消に向けた議論
・科学的根拠に基づくがん検診の普及、啓発、精度管理(偽陽性・過剰診断などの不利益に関する救済を含む)に関する議論
・サバイバーシップ概念の普及に関する議論(計画内に、サバイバーシップの言葉を織り込む)
これを受けて、第23回がん対策推進協議会(8月25日)では、今後のがん対策推進協議会の進め方が示され、平成23年内に多数のヒヤリングを行い、12月12日、26日に報告書及び基本計画修正案を提示し、平成24年1月・2月にパブコメ、3月に各省閣議、4月・5月に閣議決定という流れが示されました。
ヒヤリングは以下の通り行われ、翌開催日に委員からの意見と議論、次に報告をまとめる形で進められました。また、この際に患者関係委員から多くの提出資料が出されています。
議論及びヒヤリング済み:拠点病院、支援・情報提供、がん教育
第23回(8月25日)ヒヤリング:がんの手術、放射線療養
提出資料:都道府県がん対策予算と執行状況に関する意見書、がん教育、緩和ケア
第24回(9月9日) ヒヤリング:化学療法・ドラッグラグ
提出資料:セカンドオピニオンに関する患者の意識
第25回(9月26日)ヒヤリング:在宅医療・チーム医療
提出資料:ドラッグ・ラグ問題解決に向けての意見書
第26回(10月20日)ヒヤリング:がん登録
提出資料:がん患者に対する介護保険の適正化に向けての意見書
第27回(11月2日)
ヒヤリング:サバイバー・シップ・経済負担、就労支援、がん予防・検診
第28回(11月21日)ヒヤリング:がん対策指標
[次期がん対策推進基本計画全体構成案、骨子案一部、全体目標と個別目標]
第29回(12月12日)[次期がん対策推進基本計画骨子案一部〕
提出資料:がん患者の精神的な痛みへの対応について
第30回(12月26日)[次期がん対策推進基本計画全体構成案及び骨子案
提出資料:ドラッグ・ラグの解消に向けた制度改正等を求める要望書(60団体)
第31回(2月1日) [がん対策推進基本計画素案〕
提出資料:薬事法等制度改正についてのとりまとめについて
ヒヤリングとして在宅医療は入っていましたが「医療」のみで「がん末期の介護保険の問題」や「医療と介護の連携の問題」が話し合われていなかったので、第26回の時に、私が介護保険適正化についての意見書をまとめて患者委員に託しました。
意見書の書き方もよく知らない委員でない者が意見をまとめたこと、そして科研費と老健局の調査を一つにして提出したことで、ここに書けないことがいっぱい起こりましたが、「地域の医療・介護サービス提供体制の構築」の文言を見るたびに、やり遂げて良かったと思います。ここでは、がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう在宅医療・介護サービス提供体制の構築を目標としています。
緩和ケアも全人的ケアになり、精神心理的苦痛への対処も進みました。3年以内に緩和ケアの研修体制を見直し、拠点病院を中心に、緩和ケアを迅速に提供できる診療体制を整備するとともに、緩和ケアチームや緩和ケア外来などの専門的な緩和ケアの提供体制の整備と質の向上を図ることを目標としています。
チーム医療、がん教育、小児がん、遺族の文言も入りましたね。
そして何より、全体目標に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が入った事、重点的に取り組むべき課題に「働く世代や小児へのがん対策の充実」が入ったことはすごいことです。山本たかし議員が望んでいたことです。
ただ2月1日は、ドラッグ・ラグの解消に向けての薬事法等制度改正に関する要望については意見が十分取り入れられていないと、冒頭から患者委員の意見が続出しました。個別目標がたったの2行で、他が「目標にする」等で終わっているのに、「取組を着実に実施する」になっていました。
次の3月1日は、がん対策推進基本計画事務局案が出てきます。パブコメをすることを考えると、次回がまとめで、意見が噴出すれば議長預かりになるはず(だろうと私は思っています)。
たばこ対策、がん検診は今回事務局より資料が提出されましたが、次回を注視する必要がありますね。今回意見が表に出て水面下の戦いが起こるはず。各省閣議で変わるかもしれません。
次回の協議会も、ここまでがんばってくれた患者関係委員や流れを変えてくれた片木さんと桜井さんに感謝を込めて応援に行きます。
がん患者とその家族(遺族)にとって実り多いがん対策推進基本計画になりますように!
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