藤田敦子のひとり言(緩和ケア・がん対策)
まさか自分が関わると思っていなかった厚生労働省の「終末期医療」。
平成20年3月に調査を行い、やっと報告書がまとまりました。
この問題を、「尊厳ある生き方を貫くための検討会」と思い込んでいた自分は、本当にバカだったと思います。懇談会で発表することになり、改めて歴史を学んでみると、アメリカのカレン事件、ブービア事件後の延命治療の中止と患者の意思決定、どちらかというと安楽死について話し合っていたのでした。
そして、平成3年におこった東海大学附属病院事件で、がん末期患者に対し、医師が家族に望まれて行った行為が殺人罪に問われたことで、一気に治療の不開始、医療の中止の問題になりました。この事件のときに「安楽死4要件」が出ています。
その後、いくつかの事件が起こり、患者本人の意思リビングウィルを法制化する動きになっています。
平成18年に富山県で起こった「人工呼吸器取り外し事件」を契機にして、「尊厳死」のルール化の議論が活発になり、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定しました。
この事件とがん対策基本法との動きを知る人は少ないけど、富山の事件が、緩和ケアを後退させて、当初、がん対策基本法では小さな扱いになっていて、私たち患者関係者は緩和ケアの文字を入れてもらうために戦いました。本当に山本孝史さんがいなければ、今の緩和ケアはありませんでした。
そして今回、がん対策基本法以後、はじめて患者側のヒヤリング(私も発表)も行われ、話し合いを進めてきました。今までと違う形で、終末期医療のあり方に関する懇談会報告書を作ることができたと思っています。どこが今までと違うのか、前回の報告書と比べてくださいね。
今回の報告書で強調している項目は下記です。
1.終末期のあり方を決定する際のプロセスの充実とリビング・ウィルについて
2.終末期医療に関する患者・家族と医療福祉従事者間の情報格差
3.終末期医療体制の整備と医療福祉従事者に対する知識の普及
4.緩和ケアについて
5.家族ケア・グリーフケア
そして次回調査・議論への提言としては、調査の内容、調査対象者の範囲や用語の適切な使用、終末期医療の新しいニーズに適した調査項目を検討することにしました。また、「次のときには、課題を絞って議論をして具体的な方向性を示すことが期待されている。そして、少子高齢化を迎え、医療機関のみでなく、地域社会を念頭に置いた議論を深めていく必要があります」、とまとめられています。
諸外国では、緩和ケアは、がんだけでなく、ALSや高齢者などに広がりを見せています。
日本はやっと、「緩和ケア」が動き出したところ・・・・。なんだか、目の前がクラクラしてきますが、次回に向けて、一歩一歩、前進あるのみ、がんばっていかなくてはと決意を新たにしました。
今回、「暮らしを支える視点」や「家族ケア・グリーフケア」を入れることができ、本当に嬉しいです!
0 件のコメント:
コメントを投稿