2010年6月20日日曜日

第15回日本緩和医療学会学術大会に参加して

リポーター陽子のがん情報
2010年6月18~19日、東京国際フォーラムで開催された「第15回 日本緩和医療学会学術大会」に、NPO法人キャンサーネットジャパンの「学会へ行こう スカラーシップ」というプログラムで、参加してきました。

医療者でも福祉関係者でもない一般市民が、医療の学会へ参加なんて場違いではないかと不安な気持ちを抱きながら会場へ。でも、参加するシンポジウムやパネルディスカッションは、興味深い事ばかりで、とても刺激的な二日間になりました。

今日は、全体を通して感じたことを書いてみたいと思います。

18日午後のシンポジウム「遺族による緩和ケアの質の評価―J・HOPE研究から見えてくるもの―」では、患者として、一市民としての気づきがありました。
それは、緩和ケア病棟の患者さんが亡くなった後にご家族に「グリーフカード」を送付するというお話を聞きながら「そういえば、3年前に父を看取った時、お葬式が終わり落ち着いた頃、病院からグリーフカードではなく、請求書が来たな」などと思っていました。その時「ご家族にお送りしているけれど、ご家族はどのように思っていらっしゃるのか……」というパネリストの声が聞こえてきました。その声にどきっとしたのです。そして、医療者や病院がしてくれる心遣いに、私たち患者や家族は「ありがとう」の一言を伝えていないのではないかという事に気づいたのです。

医師と患者のコミュニケーションというと、医療側ばかりに非があるように語られる事が多いのですが、私たち患者や市民も、心を尽くして医療者と対話できているだろうか、とちょっと反省したのでした。

19日の午前には、楽しみにしていた「非悪性疾患の緩和ケア」というシンポジウムに参加しました。そこで聞いた「がんだけに緩和ケアが必要なわけではない」「高齢者の場合、いつからが終末期かがわからない」という事は、父を介護した家族の実感としても思っていたこと。また「悪性疾患と同様、早い時期からの緩和ケアが必要。“要介護”と認定された時からの緩和ケア」という話には、高齢となり健康上の不安からドクターショッピングのようなこともしていた父の姿を思い浮かべ、超高齢社会の今、一刻も早く、この考えが臨床の場で活かされる事に期待したいと思う。

午後のパネルディスカッション「実証研究から見るスピリチュアルケアの方向性」では、5月から始めた「船橋がんサロン」の運営のヒントとなる話でした。

このパネルディスカッションの「がん患者サロンにおける患者の「語り」を患者が「聴く」ことの意味」という発表では、患者が自らから病を語ることの意味、それを患者が聴くことの意味、そして「患者会」とは違う「がんサロン」というものです。

患者や家族が語り合うことの意味についての哲学的考察を聞くことができ、がんサロンへの思いを新たにすることができました。







0 件のコメント: