2011年1月12日水曜日

緩和ケア研修必須や質の評価、心のケアも大事―がん対策協専門委

藤田敦子のひとり言(がん対策・緩和ケア)

がん対策推進基本計画の見直しに向けて、がん対策推進協議会に新たに設置された「緩和ケア専門委員会」(江口研二委員長・帝京大学教授)の初会合が1月11日に開催された。現計画で「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」を全体目標に掲げ、緩和ケアを重点課題としていながら、緩和ケアは進んできたとは言えない。提供する場も限られていて、すべての医師が研修を受けている状態ではない。委員会でも、「治療医師の考え方ひとつで、患者が緩和ケアを受けられるかが決まっている」とがん医療に従事する医師の研修必修を求める声が多かった。また、研修医の緩和ケア必須や看護師・薬剤師などへの研修の拡大、患者や家族への質の調査、緩和ケアに対する新たな加算を求める意見も出た。緩和ケアチームや緩和ケア病棟の役割の確認、専門看護師の不足、患者と家族への心のケアの必要性、相談機能強化などの意見が出された。

終末期医療のあり方に関する懇談会報告書

今回の専門委員会は、中間報告や懇談会報告書に記されている内容を具体化するために、すでにプロジェクトを進めている人を中心としていた。「声」はすでに中間報告にまとめられているので、ここではそれをいかに解決していくかが求められている。その意味では、データーに基づいた提案が出され、専門委員会は大成功だった。遺族を対象とした質の調査も行われ、患者と家族の希望にそった医療の提供を行うことを、次期基本計画の柱にしていきたい。

今回の中で、地域ケアの視点が少なく、「OPTIM」の成果報告を待つしかないのだろうか。地域連携クリティカスパスとコーディネーター機能については始まったばかりであるが、診療報酬上は点数がつけられており、新たに提案された「在宅緩和ケア終末期受入連携加算」の新設も、有床診療所や療養病床の役割見直しと一緒に考えていく必要があるだろう。「在宅支援」の方向性をしっかりと見つめていかなくてはならない。
緩和ケア病棟であるが、入院待ちが3カ月のところもあれば、入院期間が1カ月以上のところもある。「緩和ケア病棟は不採算部門と扱われているのでさらなる加算を求める」声もあったが、チーム、外来、在宅と緩和ケアを提供できる場も広がっている。施設での療養も今後広がっていくだろう。在宅も自宅だけでない集合住宅もある。限られた資源をどう使っていくのか(分配していくのか)、今はやりのサンデル教授ではないが、国民も巻き込んで、話し合っていく時期が来ている。

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